核軍縮・不拡散

令和6年3月12日
深澤陽一外務大臣政務官による開会挨拶

 2024年2月20日から22日まで、第30回アジア輸出管理セミナーが一般財団法人安全保障貿易情報センターの主催、外務省及び経済産業省の共催により開催され、34の国・地域の輸出管理当局者と、国際輸出管理レジーム長等9の国際機関等から約180人が参加しました。

1 背景

 アジア各国・地域が経済成長に伴い、生産拠点や中継貿易地として発展を続ける中、大量破壊兵器等に転用可能な物資・技術にかかる懸念国等による違法な調達活動に意図せず関わる危険性が高まっています。本セミナーはこうした状況を背景に、アジア各国・地域の輸出管理担当者の認識向上と能力構築を図り、我が国の安全保障にも直結するアジアの不拡散体制を強化することを目的に平成5年から開催されています。

2 概要

(1)開会挨拶

 冒頭、深澤陽一外務大臣政務官から、貿易量の増加やサプライチェーンの複雑化、厳しい地域・国際情勢、また科学技術の急速な発展に伴う汎用品の拡散リスクの高まりを踏まえ、各国による輸出管理の実施が一層重要となる中、第30回を迎えた本セミナー開催の意義に触れ、輸出管理は、拡散防止だけでなく、貿易・投資相手国の信頼を醸成し、貿易や投資を阻害するのではなく、むしろ更なる経済成長のための良好な環境作りに貢献することを強調しました。また、平和で安定した世界の実現に向け、不拡散コミュニティが全体として取組を進めるため、本セミナーを通じて輸出管理上の課題認識を共有し、知見を深めるよう呼びかけました。(第30回アジア輸出管理セミナー 深澤陽一外務大臣政務官挨拶(PDF)別ウィンドウで開く)。

(2)昨今の安全保障リスク

 大量破壊兵器の拡散やテロリズム活動を助長するような不正調達、拡散金融、無形技術移転等の安全保障上の脅威に対抗するために、各国の輸出管理当局間の協調、国内の関係省庁間の連携、規制当局と輸出者との間の対話がますます重要性を増していることを確認しました。

(3)アジア各国・地域の輸出管理の取組

 フィリピン、カンボジア、中国、ラオス、マレーシア、シンガポール、バングラデシュ、タイ、パキスタン、香港及びインドネシアの代表から、各国・地域の輸出管理制度の現状について報告が行われました。

(4)学術界へのアウトリーチ

 豪州、ドイツ及び我が国から、大学や研究機関における無形技術移転について、具体的な違反事例に関する事例研究、政府機関によるアウトリーチ活動の紹介がありました。また、研究者の輸出管理に対する理解を深めることの重要性や、海外から短期で訪問する研究員や留学生を受け入れる際の実務的な問題に取り組むことの必要性について議論が行われました。

(5)国際的な枠組みにおける活動

 国連安保理1540委員会専門家グループ、国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範、化学兵器禁止機関及びワッセナー・アレンジメントの代表から、各国際機関・国際輸出管理レジームの取組について報告が行われました。

(6)執行面におけるベスト・プラクティス

 カナダ、韓国、オランダ、スイス、アラブ首長国連邦、我が国及び米国が、キャッチオール規制、積替規制及び仲介規制に関するベスト・プラクティスや、輸出者の内部遵守規程の策定促進、拡散対抗の取組等について紹介しました。

3 参加国・地域・国際機関等

(1)アジア(19か国・地域)

第30回アジア輸出管理セミナーにおける外務省の発表

 我が国、バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、カザフスタン、ラオス、マレーシア、モンゴル、パキスタン、フィリピン、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム、香港及び台湾

(2)アジア域外(15か国・地域)

 豪州、カナダ、チェコ、エクアドル、EU、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、ラトビア、オランダ、ノルウェー、スイス、アラブ首長国連邦、英国及び米国

(3)国際機関等(9団体)

 国連安保理1540委員会、国連安保理北朝鮮制裁委員会、国連政治・平和構築局、化学兵器禁止機関、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範及び国際輸出管理レジーム(オーストラリア・グループ、ミサイル技術管理レジーム、原子力供給国グループ及びワッセナー・アレンジメント)


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