核軍縮・不拡散

平成30年12月19日

 平成30年12月5日及び6日,ウィーンにおいてワッセナー・アレンジメント(WA)(注1)の第24回総会が開催されたところ,同総会の後に発出された議長声明の主要点は以下のとおり。

1 冒頭

 2018年,WAは,通常兵器及び関連汎用品・技術の移転に係る透明性と,より大きな責任を促進することにより,国際及び地域の安全と安定に貢献する努力を継続した。WA参加国は,望ましくない輸出の探知及び拒否が確実になされるよう引き続き協力した。

2 2018年の取組

(1)WAを通じた輸出管理の重要性の確認

 WA参加国は,国際の平和と安定を確保する重要なツールとしての強固な輸出管理に対するコミットメントを維持し,この文脈において,引き続きWA設立時の原則を遵守することの重要性を確認した。

(2)地域情勢等に係る情報交換の実施

 WA参加国は,武器及び関連汎用品・技術の合法及び非合法の移転に係る情報交換,並びに紛争地域を含む特定の懸念される地域への不安定化を招き得る武器の流入に関連したリスク評価を引き続き実施した。

(3)テロとの闘いのための輸出管理の強化等

 WA参加国は,グローバルなテロとの闘いの一環として,テロリストによる武器転用並びに通常兵器及び関連汎用品・技術の入手を防止するために,強固な輸出管理及び緊密な協力が果たす重要な役割を強調した。

(4)小型武器の拡散

 WA参加国は,小型武器の拡散リスクに特段の注意を払った。

(5)規制リストの改正等

 WA参加国は,ポスト量子暗号アルゴリズム,宇宙空間用の飛翔体の打ち上げ用の飛行プラットフォーム,電磁波対策ソフトウェア及び爆発物を含む多数の分野の新たな輸出管理品目を採択した。
 また,既存の管理品目について,暗号機能有効化の手段,水中センサー,1946年以前に製造された航空機及びエンジン,非磁性ディーゼル・エンジン,回流水槽,海軍用原子力関連設備,集積回路製造に関する製品に係る現在の規制を明確化した。
 さらに,産業用IoT(Internet-of-Things),高性能持続波レーザー,赤外線カメラに関する民生市場の急速な発展を考慮した閾値の改正など,一部の規制を緩和した。

(6)審査及び執行に関する協議

 WA参加国は,審査及び執行に係るプラクティスに関する経験を共有し,無形技術移転(ITT)に関する情報交換を含む,輸出管理の実施を強化する方策について議論した。

(7)新たな提案の検討及び既存ガイドラインの見直し

 WA参加国は,新たなベスト・プラクティスに関する提案を検討するとともに,2003年に策定された「産業界への助言的質問リスト」をアップデートし,さらに2019年に定期的な見直しの対象とする既存のガイドラインを特定した。

(8)アウトリーチ

 WA参加国は,内部管理プログラムの推進を含む,産業界,大学及び研究機関などへの双方向の関与を強化する方策について特段の注意を払った。

(9)他の輸出管理レジームとの協力

 WA参加国は,規制リストに関する課題について,ミサイル技術管理レジーム(MTCR)及び原子力供給国グループ(NSG)との非公式な技術的協議を継続した。

3 結び

(1)武器貿易条約(ATT)との協力の継続

 WAとATTの目的の整合性に鑑み,WA事務局はWAの目的に沿った形で,国際的な協力にWAが貢献するための機会を引き続き模索する。

(2)新規参加

 WAは,2017年12月にWAに加盟したインドによる2018年における貢献を歓迎した。WA参加国は,今後とも現行の新規参加基準を適用することを確認しつつ,多数の新規参加申請に係る進展を検討した。

(3)次回総会の予定等

 次回のWA総会は,2019年12月にウィーンで開催される。ギリシャが来年の総会議長を務めることとなり,また,トルコが一般作業部会,ラトビアが専門家会合,英国が審査官・執行官会合の各議長国を努める。

(4)主要関連文書

 規制リストやベストプラクティス・ガイドラインを含むWAの主な文書は,WAのウェブサイト別ウィンドウで開くに掲載されている。

(注1)WAは,通常兵器及び関連汎用品・技術の過度の蓄積を防止することによって,地域及び国際社会の安全と安定に寄与することを目的とする国際的な輸出管理レジーム。

(注2)同総会にて発出された議長声明は,総会議長国である英国のウェブサイト別ウィンドウで開くに掲載されている。


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