核軍縮・不拡散
第21回アジア輸出管理セミナー開催結果
平成26年3月1日
本年2月26日~28日,東京において,39か国・地域・機関から約150人の参加を得て,第21回アジア輸出管理セミナーが経済産業省及び外務省の協力の下で一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)の主催により開催された。
1 セミナー開催の背景
- (1)アジア諸国・地域,特にASEAN諸国においては,経済発展に伴い,大量破壊兵器の開発に転用可能な物資・技術の生産能力を獲得してきていることに加え,中継貿易地として発展を遂げているところもあり,これらの国・地域が拡散者による違法な調達活動に意図せずして関わる危険性が高まっている。
- (2)本セミナーは,このような状況の中,アジア地域の不拡散体制を整備していくためにはこれら諸国・地域の協力が必要不可欠との認識の下に1993年から毎年開催されており(今回で21回目),アジア地域の輸出管理当局者が集まるセミナーとしては最大規模。人的ネットワークを拡大しつつ,輸出管理の重要性に対するアジア諸国・地域の共通認識を高め,その輸出管理制度を強化することにより,アジア地域及び国際的な不拡散への取組の強化に資することを目的としている。
2 今次セミナーの概要
- (1)今次セミナーでは,各国・地域の代表に加え,4の国際輸出管理レジーム,ASEAN事務局,EU,金融活動作業部会(FATF),国連安保理1540委員会,同1874委員会及び同1929委員会専門家パネル,世界税関機構(WCO)といった国際機関や,米国ニューヨーク州立大学等の学界の参加も得て,これらの関係者との間でも有意義な情報交換が行われた。
- (2)最近の国際情勢に関する議論では,輸出管理制度を導入することは,輸出管理の対象となるような高度な技術を伴う投資や貿易を促進する効果があること,かかる制度の導入に伴う負担は,産業界へのアウトリーチ等を含む国際的な支援によって減らすことが可能であること等について指摘があった。
- (3)輸出審査,産業界及び学界へのアウトリーチ,通過・積替え・仲介規制における課題等に関する議論では,こうした課題に対する各国の取組についてプレゼンテーションが行われ,参加国間で具体的な取組を共有する有意義な機会となった。また,東京税関への視察も行われた。
- (4)今次セミナーでは,アジア地域において輸出管理強化の重要性についての共通認識及び担当者間のネットワークが一層深まり,地域における輸出管理の強化につながっていることがうかがえた。今後とも我が国としてこれらアジア諸国・地域に対する働きかけを継続していく方針である。
3 参加国・地域・機関
豪,バングラデシュ,カンボジア,中国,仏,独,香港,インド,韓国,ラオス,マレーシア,メキシコ,モンゴル,ミャンマー,オランダ,パキスタン,フィリピン,シンガポール,スリランカ,台湾,タイ,UAE,英国,米国,ベトナム,ASEAN事務局,EU,金融活動作業部会(FATF),国連安保理1540委員会,同1874委員会及び1929委員会専門家パネル,原子力供給国グループ(NSG),オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),ワッセナー・アレンジメント(WA),世界税関機関(WCO),ストックホルム国際平和研究所(SIPRI),米国ニューヨーク州立大学,米国モントレー国際大学院,日本