日本の安全保障と国際社会の平和と安定

輸送セキュリティに関する机上演習

於:東京, 2013年11月12~14日

平成26年3月24日

 (和文骨子)

背景

 日本国政府が主催する机上演習は,2013年11月12~14日,東京で成功裏に実施された。70名以上が出席したこのイベントは,2012年3月,米国ハワイ州ホノルルで実施された日米二国間合同机上演習に由来するものである。輸送セキュリティに関するバスケット提案の参加国であるフランス,韓国,英国及び米国を含め,国際原子力機関(IAEA)やオブザーバーとして他のサミット参加国からも参加があった。世界核セキュリティ協会(WINS)や世界原子力輸送協会(WNTI)は,このイベントの実施を支援するために日本国政府によって招待された。

目的および机上演習の構成

 本机上演習の目的は,参加国における核物質等の安全な輸送のための国際・国内の取組に関する議論と考察を行うことであり,具体的には以下の3点が挙げられた。

  • 優良事例の共有
  • 既存の連携の強化及び新たな人脈の構築
  • 輸送セキュリティと事案対応に説明責任を有する者の間の輸送業務の継続的な改善の促進

 また,以下の項目について議論が行われた。

  • 準備と輸送計画(技術面,その他)
  • 計画及び脅威の分析評価
  • 規制及び他の事前承認
  • 役割と説明責任(指揮統制,対応要領等)
  • 緊急時対応計画
  • 緊急対応と復旧
  • 外部の利害関係者との連絡

シナリオに基づく議論 (陸上及び海上のシナリオ)

 最も重要な論点と議論の結果は以下のとおり。

脅威評価,更新,及び連絡

  • 脅威情報を明確に理解することが重要。
  • 脅威情報を分析評価し,最新の状態に維持し,役割と責任を明確化することが不可欠。
  • 設計基礎脅威(DBT)を「超える」脅威の影響の特定・評価が必要。

産業界と規制当局の間で円滑な関係

  • 原子力推進組織からの規制当局の独立性を確保することが必要。
  • 原子力業界と規制当局の関係を促進するためには,非対立的態度等が重要。

情報セキュリティ

  • 輸送において,情報セキュリティは最大の課題の一つ。
  • 情報セキュリティ政策と手続は,プライバシー維持に配慮すべき。
  • 機密情報は,知る必要のある者に制限されるべきであり,適切な訓練が必要。

輸送セキュリティ計画と輸送セキュリティ体制の検証

  • 輸送セキュリティ計画の承認手続は,規制当局との情報共有に不可欠。
  • 輸送セキュリティ計画では,全ての関係者の役割と責任を明確化すべき。
  • 危機管理計画と手順に関する訓練を頻繁に実施すべき。
  • 訓練や演習では,現実的な仮定等に基づいて,改善点を特定すべき。
  • 効果的な演習のためには,参照事項の確立や構築すべき能力の特定が有益。

輸送部門と関連するセキュリティ機器の設計

  • 輸送部門やセキュリティ機器は,明確な目標に基づいて設計されるべき。
  • セキュリティ対策の有効性は定期的にテストされるべき。
  • 輸送部門は,堅固な連絡手段・装置を装備すべき。

複数の機関の関係や事案を管理するための準備

  • 複数の機関間の協力・調整では,各機関の役割を確認することが必要。
  • 幅広く準備することや指揮命令系統を確立することが優先事項。
  • 法に基づく明確な事案対応要領は,事前に整えておくべき。
  • 安全面とセキュリティ面を調整することが重要。
  • 管轄区域をまたぐ際の責任の移転を明確にすることが課題。

事案発生中及び発生後の連絡

  • 時宜を得た効果的な連絡は,運用レベルと戦略レベルの両方で重要。
  • 運用レベルでは,役割と責任の明確な定義や迅速かつ正確な情報伝達が必要。
  • より戦略的なレベルでは,メッセージが事前に調整され一貫すべき。
  • 安全情報の開示とセキュリティ情報の機密保持とのバランスが課題。
  • 一般市民への広報の重要性は,輸送業界における進行中の課題。

専門能力開発

  • 脅威に対する効果的な対応は,関係者の能力や知識に大きく依存。
  • 技能や能力の実証可能性が重要。認識を向上し技能・能力を維持・開発する必要性を議論。
  • 時間をかけて知識と経験を維持することが,最大の課題の一つ。

国際原子力機関(IAEA)と5か国の協力

  • 国際的勧告等の実施は前提。IAEAのプログラムへの支援を確認。
  • 良好事例の特定及び共有の強化のために,更なる取組が可能。
  • 輸送セキュリティの国際体制の開発支援を約束。

結論と今後の取組

 参加者は,本机上演習が,準備段階も含め非常に有益な訓練であったと結論付けた。輸送セキュリティへのアプローチは各国様々であることが認識されたが,高い基準や期待の促進が強く奨励された。さらに,先進国が輸送実施経験の少ない国に対して,要請に基づき,支援を行う強い理由があることを結論付けた。参加国は,他国との情報交換の機会を得たことを評価した。参加国は,各国の法律や規制で認められる範囲内で,高い水準の透明性,開放性,信頼性が,情報交換及び人脈構築を促進したことを指摘した。

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