原子力の平和的利用

平成28年3月22日

1 背景

 米国同時多発テロ(2001年9月11日)以降,国際社会は新たな緊急性を持ってテロ対策を見直し,取組を強化してきました。2009年4月,オバマ米大統領がプラハ(チェコ)において演説を行い,核テロは地球規模の安全保障に対する最も緊急かつ最大の脅威とした上で,核セキュリティ・サミットを提唱しました。サミットにおいては,首脳レベルで核テロ対策に関する基本姿勢や取組状況,国際協力の在り方について議論しています。

2 経緯

  • (1)2010年4月,ワシントン(米国)において核セキュリティ・サミット開催(47か国及び3国際機関が出席)。成果文書としてコミュニケ及び作業計画を採択。
  • (2)2012年3月,ソウル(韓国)において核セキュリティ・サミット開催(53か国及び4国際機関が出席)。成果文書としてソウル・コミュニケを採択。
  • (3)2014年3月24日,25日,ハーグ(オランダ)において核セキュリティ・サミット開催(53か国及び4国際機関が出席)。成果文書としてハーグ・コミュニケを採択。
  • (4)2016年3月31日~4月1日には,ワシントン(米国)において開催予定。

3 これまでの我が国の取組

  • (1)我が国は,2010年のワシントン・サミットで,(ア)核セキュリティ強化のためのアジア総合支援センターを2010年中に我が国に設立,(イ)核物質の測定,検知及び核鑑識に係る研究開発の実施,(ウ)IAEA核セキュリティ事業に対する一層の財政的・人的貢献,(エ)世界核セキュリティ協会(WINS)会合の本邦開催,の4つの協力措置を表明し,ソウル・サミットの際に,これら全てを達成したことを報告しました。
  • (2)ソウル・サミットでは,核セキュリティ分野の実効的な取組を促進する観点から,核セキュリティ向上のための様々なテーマにつき,リード国が中心となって有志国をとりまとめ,具体的な取組を実施する「バスケット提案方式」を採用しました。我が国は,輸送セキュリティに関するバスケット提案をリードしています。
  • (3)ハーグ・サミットに出席した安倍総理は,初日の全体会合において、以下の三つの柱からなるステートメントを発表し、我が国の核セキュリティ向上への姿勢を世界各国の首脳に対して表明しました。
    • (ア)国内の研究施設にある核物質の移転・処分を内容とする日米合意の発表を含む、核物質の最小化と適正管理についての我が国のこれまでの取組と今後の方針。
    • (イ)核物質防護条約改正への対応等の国内取組強化。
    • (ウ)核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)による各国の人材育成・能力構築、輸送セキュリティに関するバスケット提案等の国際貢献の強化。
原子力の平和的利用へ戻る