科学技術

平成28年2月12日
第6回日スウェーデン科学技術協力合同委員会開催1
第6回日スウェーデン科学技術協力合同委員会開催2

 2016年2月12日,東京において,桂誠外務省科学技術協力担当大使及びヨーナス・ビョルク・スウェーデン教育研究省研究政策局長の共同議長の下,1999年に発効した日スウェーデン科学技術協力協定に基づき設置された日スウェーデン科学技術協力合同委員会の第6回会合が開催された。

 今回の合同委員会は,2月16日から2月20日のカール16世グスタフ国王陛下率いる国王科学技術代表団の訪日に先立ち行われ,同合同委員会には,両国の広範な府省庁,助成機関,研究機関,及び駐日スウェーデン大使館からハイレベルな代表者が参加した。

 合同委員会では,両国は双方の現況について紹介し,科学技術・イノベーション政策の進捗状況,「生命科学(薬剤耐性を中心に)」,「高齢化社会」,「環境/農業・森林及び気候変動」,「極地研究」といった主要な分野別協力並びに「科学技術イノベーション協力の枠組み」及び特定の議題である「パブリック・アカデミック・アウトリーチ」について意見交換を行った。

 科学技術イノベーション政策の進捗状況に関する議論では,両国は,持続可能な成長を実現するための基幹としての科学技術イノベーション政策の重要性を力説し,両国におけるイノベーションの実績に対する政府の高い意気込みを強調した。

 生命科学では,日本医療研究開発機構(AMED)とスウェーデン研究会議(SRC)がEUのイニシアティブで進められている薬剤耐性菌の案件を取り上げた。双方は,本件研究の重要性を強調し,このテーマに対して国際的な注目が高まっていることを考慮し,このイニシアティブを通じてこの分野に貢献し続けることを了解した。

 高齢化社会の分野では,両国は科学技術振興機構(JST)とスウェーデン・イノベーションシステム庁(Vinnova)間の進展を歓迎した。MOUに基づき,高齢者のためのコミュニティー設計とサービスを通じて高齢化問題に取り組むためのイノベーション創出に向けて,両国における産学の専門知識とリソースを統合することを目的とした新規共同公募を準備中である。

 環境/農業・森林及び気候変動は以前の合同委員会から継続している議題であり,環境・農業科学・地域計画研究会議(Formas),農林水産省,森林総合研究所(FFPRI),国立環境研究所(NIES)の幅広い観点からの関心を踏まえ,双方はバイオマスの利用に関する研究政策,統計及び研究の見通しを共有し,潜在的な協力分野について提案を行った。両者は森林のエコシステム研究や低炭素社会に向けたスマートシティのデザイン分野における将来に向けた潜在可能性についても留意した。

 極地研究の議題では,欧州非干渉散乱レーダー計画(EISCAT)が推進する北極大気のプラズマ物理学とジオスペース環境観測に特に焦点を当てた国立極地研究所(NIPR)とSRC間の共同事業を高く評価した。両国の科学者が高い関心を有していることに基づき,アップグレードした次世代欧州非干渉散乱レーダー計画(EISCAT_3D)に向けて継続的な協力を行うことで双方合意に至った。スウェーデンの「オデン砕氷船」の活用可能性についてもまた将来的な協力に向けた対話がSRCによって提案された。

 協力枠組みのセッションでは,両国は,日本学術振興会(JSPS)とスウェーデン研究・高等教育国際協力財団(STINT)間のMOUに基づく研究者交流や国際共同研究事業の活用を継続していくことを推奨した。これらは,両国のハイレベルの研究者間の研究者交流と研究協力の促進に貢献するものである。

 また,両国は,パブリック・アカデミック・アウトリーチの議題に際して行われた,JSPS及びノーベル財団共催で行われたノーベル・プライズ・ダイアログ(於:東京)に関するJSPSの発表,また日スウェーデン学長サミットに関する駐日スウェーデン大使館の発表を好意的に評価した。これらのイベントはいずれも2015年に開催されたものであり,双方は,科学技術イノベーション分野における一般また学術界の関与を促進するため,類似のイベントを開催することを表明した。

 これらの主要な協力分野のほぼ全てが,協力を一層強化するため,合同委員会に引き続いて行われた関連機関間の分科会において個別にフォローアップされた。

 建設的な本合同委員会を通じた科学技術イノベーション分野における幅広い協力関係に留意し,両国の共同議長は,この分野の協力を増強するという両国の決意を確認し,継続的に専門的知見を共有することによる二国間の将来のパートナーシップの拡大を通じてグローバル課題の解決に貢献するという期待を示した。

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