核軍縮・不拡散
高村外務大臣政務官の2026年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第2回準備委員会出席(結果)
7月21日から7月23日(現地時間、以下同)まで、高村正大外務大臣政務官はジュネーブを訪問し、2026年NPT運用検討会議第2回準備委員会(7月22日から開催)に出席しました。概要は以下のとおりです。
1 2026年NPT運用検討会議第2回準備委員会における一般討論演説
7月22日、高村政務官は、2026年NPT運用検討会議第2回準備委員会に出席し、一般討論演説(英文(PDF)/仮訳(PDF))を行いました。
演説の中で高村政務官は、国際社会は現在、歴史の転換期にあり、安全保障環境が急速に厳しさを増している中だからこそ、日本は、唯一の戦争被爆国として、NPTを国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石とし、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下で「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組を主導する旨述べました。また、核軍縮措置の基盤である透明性強化の重要性や核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の即時交渉開始の必要性を訴えるとともに、包括的核実験禁止条約(CTBT)の普遍化・早期発効にも強くコミットしている旨表明しました。
また、核不拡散について、日本は国際社会と協力し、北朝鮮及びイランに関する問題を含む核不拡散の取組を進めていく旨述べたほか、日本は原子力の平和的利用の促進に向けて積極的に取り組んでいる旨表明しました。
2 FMCTに関するサイドイベント参加
7月22日、高村政務官は、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関するサイドイベントに出席し、冒頭挨拶を行いました。
挨拶の中で高村政務官は、世界は冷戦の最盛期以降初めて、核兵器数の減少傾向が逆転しかねない瀬戸際に立っており、減少傾向を維持するためには、核兵器用核分裂性物質の生産を禁止することによって核兵器の増加を制限することが極めて重要であり、FMCTの交渉開始は喫緊の課題であると述べました。また、その観点から、本年3月には、我が国が主導する形でFMCTフレンズの創設を発表した旨説明しました。
続いて、パネリストとして出席したダミーコ・ブラジル軍縮代表部大使、ソレータ・フィリピン在ジュネーブ国連代表部大使、ベル米国務次官補代理等から、FMCT交渉開始の重要性や交渉開始に向け各国が柔軟性を発揮する必要性等を述べた後、本イベント参加者の間で活発な意見交換が行われました。
3 要人との会談
(1)中満国連事務次長(軍縮担当上級代表)との会談
7月22日、高村政務官は、中満国連事務次長(軍縮担当上級代表)と会談を行いました。
高村政務官から、今回の準備委員会は、2年後のNPT運用検討会議に向けて、プロセスの中間会合となる重要な会合であり、締約国が一致してNPT体制の維持強化に向けて強いコミットメントを示すことを期待する、「核兵器のない世界」の実現に向けて、今後も国連と協力していきたい旨述べました。また、国連の中枢で中満次長のような日本人が指導力を発揮していることを誇りに思う旨述べ、邦人職員が活躍できるよう、日本として一層取組を強化していきたい旨述べました。
これに対し、中満次長から、核軍縮分野での日本の取組を高く評価するとともに、今後も2026年NPT運用検討会議に向けて協力していきたい旨の発言がありました。また、国際機関職員を志す若者を増やす取組が重要であり、今後も日本政府と連携していきたい旨述べました。また、核軍縮を進めていく上で、日本政府が世界の未来を担う若者の関与を促進する取組を行っていることを評価するとともに、多くの若者が被爆の実相に触れて、今後何が必要であるのか考えることのできる人材を育成することが重要である旨述べました。
両者は、日本と国連の連携を一層強化すべく、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
(2)ラフメトゥリンNPT運用検討会議第2回準備委員会議長との会談
7月22日、高村政務官は、ラフメトゥリンNPT運用検討会議第2回準備委員会議長と会談を行いました。
高村政務官から、議長就任に祝意を伝えつつ、我が国のNPTにおける優先事項を伝えました。また、今回の第2回準備委員会は2026年運用検討会議に向けたプロセスの中間となる重要な会合であり、日本と議長の出身国であるカザフスタンは、ともに核の影響を受けた核の実相を知る国である、日本政府としてラフメトゥリン議長への協力を惜しまない旨述べました。さらに、来月カザフスタンで「中央アジア+日本」対話・首脳会合が開催される予定となっており、議長国であるカザフスタンと幅広い分野で連携していきたい旨述べました。
これに対し、ラフメトゥリン議長から、NPTの維持・強化に係る取組をはじめ、核軍縮の進展に向けた日本のこれまでの取組を高く評価する、今回の準備委員会も含め、今後も協力していきたい旨の発言がありました。また、「中央アジア+日本」の枠組みは中央アジア5か国として重視しているフォーマットであり、日本の貢献に感謝する旨述べました。
両者は、NPT第2回準備委員会の成功に向け、一致して取り組んでいくことを確認しました。
(3)フロイド包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会暫定技術事務局長との会談
7月22日、高村政務官はフロイドCTBTO準備委員会暫定技術事務局長と会談を行いました。
高村政務官から、フロイド事務局長の就任以来、9か国が新たにCTBTを批准するなど、同事務局長の下で条約の普遍化が着実に進展していることを評価している旨述べました。また、日本は本年のCTBTO準備委員会の議長としても、事務局長のリーダーシップを支えるとともに、CTBTの早期発効や検証体制の強化に向けて一層貢献していくと述べました。さらに、北朝鮮による核・ミサイル活動の進展は国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、北朝鮮への対応を含め、CTBTO準備委員会暫定技術事務局と一層緊密に連携したい旨述べました。
これに対しフロイド事務局長から、CTBTの早期発効に向けた日本の取組や昨年のG7議長国としての取組を評価するとともに、北朝鮮への対応を含め引き続き日本と一層緊密に連携していきたい旨の発言がありました。
両者は、CTBTの普遍化・早期発効促進に向けた取組を強化していくことで一致しました。
(4)エラード世界貿易機関(WTO)事務局次長との会談
7月23日、高村政務官は、エラードWTO事務局次長と会談を行いました。
高村政務官から、WTOを中核とするルールに基づく自由で公正な多角的貿易体制は、世界、そして日本の成長を支える重要なインフラであり、日本は、WTO体制の維持・強化のため、貢献したい旨述べました。また、漁業補助金協定の第1段階の協定の早期発効、第2段階の交渉の早期妥結、投資円滑化協定のWTO協定への組込み及び紛争解決制度改革が重要であり、日本としても努力したい旨述べました。
これに対し、エラード事務局次長から、日本政府のこれまでのWTOに対する支援に対し、改めて謝意が示されました。また、漁業補助金協定、投資円滑化協定及び紛争解決制度改革について日本と協力して取り組みたい旨述べ、日本が共同議長国を務める電子商取引交渉の進展を歓迎する旨述べました。
両者は、2026年のWTO第14回閣僚会議(MC14)を念頭に、貿易を巡る諸問題に関して連携を強化していくことで一致しました。
4 視察等
(1)広島県及び平和首長会議によるバナー展示視察
7月22日、高村政務官は広島県及び平和首長会議それぞれによる被爆の実相等に関するバナー展示を視察しました。同視察には湯﨑英彦広島県知事、松井一實広島市長、鈴木史朗長崎市長ほかが立ち合いました。
(2)ユース交流レセプション出席
7月22日、高村政務官は、NPT第2回準備委員会参加のためユース非核特使を委嘱されたユース関係者との交流レセプションに出席しました。同レセプションにおいて、高村政務官は、被爆の実相を次世代へ継承する観点から、ユースの活動の重要性を強調した上で、参加者に敬意を表し、今会議を通じて多くのことを学んでほしい旨述べました。
(3)国際機関邦人職員との意見交換
7月23日には、高村政務官は在ジュネーブの国際機関邦人職員と懇談し、国際機関における邦人職員の増強に向けての取組等について率直な意見交換を行いました。
(4)その他
このほかにも、高村政務官は、現地の日本企業を訪問し、関係者との意見交換等を行いました。