核軍縮・不拡散

平成30年6月11日
  1. 5月28日から6月8日まで,ジュネーブにおいて核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関するハイレベル専門家準備グループ第二回(最終)会合が開催されました。
  2. FMCTに関するハイレベル専門家準備グループは,FMCTの将来の交渉開始に向け,条約の実質的な要素について検討し,勧告を作成するため,国連の下に立ち上げられた25か国の専門家から構成されるグループで,2017年7月に第一回会合を開催しました。第一回及び第二回のいずれも我が国からは佐野利男政府専門家(前軍縮代表部大使)が出席しました。
  3. 今次会合では,これまでの議論を踏まえ,条約の実質的な要素と勧告を盛り込んだ報告書を作成し,採択しました。同報告書には,将来の条約に盛り込むべき義務規定,定義,法的事項及び組織的事項,透明性及び信頼醸成措置のそれぞれについての選択肢が示され,加えて,将来の交渉者が考慮すべき様々な事項も併せて記載されています。
  4. 今次会合で採択された報告書は第73回(2018年)国連総会に提出され,加えて,ジュネーブ軍縮会議(CD)においても同報告書が検討されることが求められています。

(参考)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)概要

  • (1)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約は,通称カットオフ条約又はFMCT(Fissile Material Cut Off Treaty)と呼ばれる。FMCTは核兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウラン及びプルトニウム等)の生産そのものを禁止することで,新たな核兵器国の出現を防ぐとともに,核兵器国による核兵器の生産を制限するものである。1996年に包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択された後,国際社会が次に取り組むべき現実的かつ実践的な多数国間の核軍縮・不拡散措置と位置付けられており,核軍縮・不拡散の双方の観点から大きな意義を有する。なお,核兵器不拡散条約(NPT)上の核兵器国のうち米国,ロシア,英国,フランスは核兵器用核分裂性物質生産モラトリアムを宣言しているが,中国はこの宣言を行っていない。
  • (2)FMCTは,1993年9月,クリントン米国大統領(当時)が国連総会で提案し,同年11月には,その交渉を適当な国際的フォーラムで行うことを勧告する国連総会決議がコンセンサスで採択された。その後,交渉の場をジュネーブ軍縮会議(CD)とすることが合意されたものの,現在に至るまで実質的な交渉は開始されていない。
  • (3)CDにおいてFMCTの交渉が開始されない状況を受け,第71回(2016年)国連総会決議(A/RES/71/259)において,国連事務総長の下にFMCTに関するハイレベル専門家準備グループを設置し,2017年及び2018年にそれぞれ2週間の会合をジュネーブで開催することが決定された。同準備グループは,地理的衡平性に基づいて選ばれる25か国(注)で構成され,2年間かけて将来のFMCTの交渉に資するよう,条約の実質的な要素について検討し,勧告を作成。同報告書を国連事務総長に提出される。
  • (注)FMCTに関するハイレベル専門家準備グループのメンバー国:
    アルジェリア,アルゼンチン,オーストラリア,ブラジル,加,中国,コロンビア,エジプト,エストニア,フランス,独,インド,インドネシア,日本,メキシコ,モロッコ,オランダ,ポーランド,韓国,ロシア,セネガル,南アフリカ,スウェーデン,英,米

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