11月23日(火曜日)から26日(金曜日)まで,ファイヤード・パレスチナ自治政府首相が来日したところ,概要と評価は以下のとおりです。
1.主要日程
- 11月24日(水曜日) 日パレスチナ首脳会談,外務大臣主催夕食会等
- 11月25日(木曜日) 衆議院議長との会談,中東調査会主催講演会等
2.主な随行者
- (1) マーリキ・パレスチナ自治政府外務庁長官
- (2) ジャルバーウィ計画・行政開発庁長官
3.概要
- (1) 24日の日パレスチナ首脳会談では,菅総理から,次の点を伝えました。
- (ア) 我が国は,イスラエルとパレスチナが平和裡に共存する二国家解決を支持。我が国は,イスラエルとパレスチナ間の和平交渉再開を強く促す。
- (イ) パレスチナの国家建設努力を引き続き支援していく。特に,本年度は,約1億ドルの支援を実施する見通しである。
- (ウ) 地域協力モデルとして,「平和と繁栄の回廊」構想を,パレスチナ自治政府,イスラエル,ヨルダンの協力を得つつ,引き続き進めていきたい。また,インドネシア,マレーシア,シンガポール等の東アジア諸国の協力も動員しつつ,パレスチナの国づくりへの支援の輪を広げていきたい。
- (2) ファイヤード首相からは,日本の政治的・経済的役割を高く評価しつつ,パレスチナとして,和平交渉に関与していく旨述べた上で,パレスチナ国家建設に対する日本政府及び日本国民の支援に感謝する旨述べました。また,同首相より,2011年までに,パレスチナ国家を樹立する準備が整うように引き続き支援をお願いしたい旨述べました。
- (3) 24日に首脳会談に引続いて行われた前原大臣主催夕食会では,首脳会談での話し合いの内容に沿って,以下のやりとりがありました。
- (ア) 前原大臣より,イスラエル・パレスチナ直接交渉の再開と,交渉を通じた二国家解決の実施を強く促しつつ,イスラエルに東エルサレムを含む入植活動の完全凍結を求めることを含め,中東和平についての我が国の立場を説明しました。
- (イ) 前原大臣より,パレスチナ国家建設支援を継続する,今年度の支援が約1億ドルに達する見込みである旨述べました。
- (ウ) ファイヤード首相より,和平交渉を続けることを確約する,日本の中東和平に関する立場の明確化は,中東和平の前進に貢献するものであり,評価する旨述べました。また,同首相より,「平和と繁栄の回廊」構想,パレスチナの国づくり支援のための東アジア諸国との協力を含め,日本の対パレスチナ支援に感謝する旨述べました。
- (4) 両会談終了後に,「中東和平についての我が国の立場について」(英文・和文・アラビア語(PDF)
)及び「我が国のパレスチナ支援の詳細について」(英文(PDF)
・和文(PDF)
)を発表しました。「中東和平についての我が国の立場について」の発表は,ファイヤード首相より,二国家解決の内容を明確化することにより和平交渉を促進するものとして,高く評価されました。
4.評価
- (1) 今般のファイヤード・パレスチナ自治政府首相の訪日は,2004年以来であり,同首相が首相職に就いてからは初めての訪問となります。本年2月のアッバース大統領の訪日に続き,同年中に首相を訪日招待することは,日・パレスチナ関係史上初めてのことです。今次訪日により,親日的なパレスチナ自治政府との関係が一層強化されました。
- (2) 菅総理および前原外務大臣より,我が国がパレスチナ独立国家とイスラエルが平和裡に共存する二国家解決を支持する旨を説明しつつ,和平交渉の再開を働きかけ,また,入植地,境界,エルサレム等の枢要な課題に関する日本の考え方を明らかにし,交渉を通じた解決を奨励しました。これは,中東和平促進のための我が国としての政治的貢献と位置づけられます。
- (3) 今般,我が国は,今年度1億ドルのパレスチナ支援を行う見通しであることを表明しました。これは,93年以来11億ドル余りの支援を行ってきた我が国として,パレスチナ支援に対する継続的な積極姿勢を改めて示すものです。
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