11月10日,飯倉公館において,「中央アジア+日本」対話・第4回外相会合が開催されました。
今次会合では,日本と中央アジア諸国との外交関係樹立20周年を総括するとともに,今後の協力の方向性についてまとめた「日本・中央アジアの新たなパートナーシップの構築に関する共同声明」(日本語全文・骨子)が署名されました。また,ワーキングランチでは東アジアをはじめとする地域情勢につき意見交換がなされました。会合後には,玄葉外務大臣と各国外相との間でそれぞれ二国間会談も実施されました。
1.出席者
日本(議長) 玄葉光一郎外務大臣
カザフスタン エルラン・イドリソフ外務大臣
キルギス エルラン・アブディルダエフ外務大臣
タジキスタン ハムラーハン・ザリフィ外務大臣
トルクメニスタン ラシッド・メレドフ副首相兼外務大臣
ウズベキスタン ウラジーミル・ノロフ第一外務次官(前外相)
2.概要
(1)中央アジア5か国の国造り及び外交関係樹立以来の日本との関係を評価しつつ,「より強靱で」「より豊かな」かつ「開かれた」中央アジアを実現するための地域協力のあり方について意見交換を行いました。
(2)中央アジアに共通する課題である(ア)貿易・投資,(イ)環境,省エネ・再生可能エネルギー,(ウ)ミレニアム開発目標(MDGs)達成と格差是正,(エ)アフガニスタン安定化に向けた協力,(オ)防災協力,の5分野で協力を推進することで一致しました。
(3)特に,中央アジアに隣接するアフガニスタンの安定化に向けた我が国の様々なイニシアティブが高く評価されるとともに,各国による独自の取組についても説明がなされ,引き続きアフガニスタンの更なる安定化及び経済復興に協力して取り組んでいくことが必要であるとの認識で一致しました。
(4)また,各国における貿易・投資環境の改善への取組の一環として,貿易投資促進における地域協力の役割をテーマとする我が国との知的対話を開催することとなりました。
(5)各国より我が国の支援に高い評価及び期待感が表明され,日本側からは上記5分野での地域協力を支援するため総額7億ドル規模の事業実施を表明しました。
3.評価
(1) 今次会合には,カザフスタン,キルギス,タジキスタン,トルクメニタンから外相,ウズベキスタンから第一外務次官(前外相)との過去最高レベルの出席者を得ました。特に,従来現地大使級の参加にとどまっていたトルクメニスタンから副首相兼外相が参加したことは,本会合への評価が中央アジアにおいて着実に高まっていることを示すものです。
(2) 中央アジア側から,今次会合で表明した7億ドル規模の事業実施を含めて各国の国造りに対する日本の支援への高い評価が示されるとともに,国際場裡における協力など様々な分野で日本と中央アジアのパートナーシップを高めていこうとする姿勢が表明され,日本と中央アジアの一層の関係強化に向けた大きなステップとなりました。
(3)貿易・投資,環境・エネルギー,アフガニスタンとの協力等の分野で多岐にわたるイニシアティブが中央アジア諸国から表明され,多様性に富む中央アジアにおいて地域協力の理念・重要性が相当程度定着してきていることが見受けられました。こうした地域協力を推進していく上で,日本が「触媒」として果たしている役割への評価と期待が表明されたことは,大きな意義を有するものです。
(4)日本と中央アジア諸国がアフガニスタン情勢の更なる安定化と経済復興に向けて協力していくとの姿勢で一致したことは,「ポスト2014」に向けた国際協調の必要性が高まる中,本年7月に開催された「アフガニスタン支援に関する東京会合」のフォローアップとして重要な意義を有するものです。