省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

1-5 タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーとの友好関係の強化

南東アジア第一課長 水越英明
 平成18年4月
施策の目標
二国間関係の更なる強化。特に、メコン地域開発支援等域内経済格差是正への取組を通じた地域の平和と安定への貢献。
施策の位置付け
平成17年度重点外交政策に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
我が国はメコン河流域5か国(タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)との間において、両国政府の要人往来をはじめとする対話・交流、日タイ経済連携協定交渉を含む二国間経済協議の実施、本地域を国を跨いで広域的に開発することを目指すメコン地域開発の促進などの施策を通じて、関係の強化や緊密化を図ってきた。

【施策の必要性】

 メコン地域は第二次世界大戦から1990年代初頭に至るまで戦争、貧困、難民の源であり、アジア地域の一大不安定要因であった。この時代の経験に鑑みれば、本地域を含むASEANの安定と均衡のとれた発展は、日本を含むアジア全体の安定と繁栄にとって必要不可欠であり、メコン地域開発によるASEANの新規加盟国(カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー)に対する支援を通じて、ASEAN域内の格差を是正し、ASEANの統合を促進していく必要がある。
 また、これらの国々は伝統的な対日友好国であり、この友好関係を強化することを通じて、我が国の政策や立場に対する支持・協力を得ることは、国際社会において我が国の外交を効果的に推進していく上で必要不可欠である。
 また、メコン河流域5か国は天然資源や優秀な労働力に恵まれた高い開発ポテンシャルを有する地域であり、近年急速に発展しており、貿易投資活動を通じた我が国との経済関係も緊密化していることから、日タイ経済連携協定交渉を含む各種経済協議を通じて、日本との間の人、物品、サービス、資本の自由な移動を促進し、これらの国々の貿易投資環境の整備を行うことは、我が国の経済的利益の確保にとって必要不可欠であり、また政府としてこれらの国々で活動を行う我が国の民間企業を支援していくことは重要である。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1)両国政府の要人往来、各種国際会議に際しての二国間会談の機会を積極的に活用して両国間のハイレベルな対話を継続的に実施することは、これらの国々との伝統的な友好関係を更に強化することにつながる。
(2)平成17年9月に大筋合意した日タイ経済連携協定を含む様々な二国間経済協議を通じたこれらの国々との間のビジネス環境の整備は、日本との間の貿易投資活動を促進し、経済面での関係強化に基づいた安定的な友好関係の実現に有効である。
(3)日本のメコン地域開発に対する支援を通じたASEAN統合の促進は、平成17年12月の日ASEAN首脳会議において、各リーダーによって高い評価が与えられており、二国間のみならずアジア大洋州地域の重要なプレーヤーであるASEAN全体と我が国の関係の強化につながっている。

【施策の効率性】(3行以内)

 メコン地域開発は感染症対策、メコン河流域の環境・社会問題等の国境を越える問題に対処し、地域全体の包括的な開発を目指す構想であり、地域全体で問題意識を共有し、対策のための施策を検討していく。このことは、一国では解決しがたい課題に地域で取り組むという地域協力を促進し、かつ我が国の限られた援助資源を最適配分するということから効率的な施策であるといえる。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
50,109
31,452
単位:千円
(注)本省分予算:投入予算の減少は、メコン河委員会(MRC)及びカンボジア地雷対策センター(CMAC)に対する拠出金をASEAN統合支援拠出金(75億円)に統合したことによるもの。

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
21
21
(注)本省分職員数(定員ベース)
単位:人

【外部要因】

 日タイ経済連携協定については、平成18年2月に協定案文を基本的に確定し、今春の署名に向けて鋭意作業を続けてきたところであったが、2月24日のタイ下院解散後、タイ側より4月に総選挙を行うことになったために署名を延期したい旨の申し入れがなされた。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 メコン地域開発については平成15年12月の日ASEAN特別首脳会議において今後3年間で15億ドルの支援を行うと表明し、平成17年はその2年目にあたることから、本年度の評価は暫定的なものになる。それ以外は通常の評価を行う。

【評価の切り口】

(1)要人往来の実績
(2)二国間経済協議の進捗状況
(3)平成17年度における我が国のメコン地域開発支援の実績

【目標の達成状況(評価)】

(1)要人往来の実績
 以下の通り、要人往来を通じて、二国間関係の更なる強化に寄与した。タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーとの間では活発な要人往来(後述の事務事業シート参照)や国際会議に際しての二国間会談が行われ、各国との友好協力関係を再確認するとともに、EAS(東アジア首脳会議)、国連及びAPECといった多国間の枠組みにおける協力や鳥インフルエンザ等のグローバルな課題についても協力関係が強化された。また、これらの国際会議や会談によって首脳・外相間で個人的な信頼関係が醸成されたことも重要である。

(2)二国間経済協議の進捗状況
 以下の通り、各種の二国間経済協議の実施により、日本とメコン地域各国との経済関係の更なる緊密化に寄与した。日タイ経済連携協定は平成17年9月に首脳間で大筋合意を行い、平成18年2月には協定条文を基本的に確定するに至った。平成17年12月には日ベトナム首脳間で二国間の経済連携協定交渉の開始に向けて共同検討会合を開始することを正式に合意し、平成18年2月に第一回共同検討会合を実施した。平成17年11月にはベトナムにおける投資環境改善を行う日越共同イニシアティブが行動計画の85%を達成し成功裡に終了し、ビジネス界を含む日越両国から高い評価を得た(平成18年2月にはフェーズ2が開始)。これ以外にも、カンボジアに対する経済政策支援やラオスに対する投資セミナーへの実施に協力を行うなど、高い開発ポテンシャルを有するメコン河流域5か国と日本の間の物品、人、サービス、資本の自由な移動を促進し、各国の投資・ビジネス環境を整備するための施策を着実に実施することで、経済のグローバル化に対応しようとする我が国企業の活動を支援してきた。

(3)平成17年度における我が国のメコン地域開発支援の実績
 以下の取組を通じて、ASEAN域内の格差を是正し、ASEANの統合を促進することで「ASEANの強靱性強化」を果たしつつあり、本地域を含むASEANの安定と均衡のとれた発展を支援することで、日本を含むアジア全体の安定と繁栄に貢献した。
 平成17年度我が国はASEAN原加盟国のタイ及びASEAN後発国たるCLMV諸国に対し630億円を超える経済協力を行った。メコン地域開発については、平成15年12月の日ASEAN特別首脳会議において、その後3年間で15億ドルの支援を行うと表明し、平成17年末の2年間を経過した段階で目標の3分の2を十分に超える額の協力を行い順調に進展しており、メコン地域開発を含む「日ASEAN行動計画進捗報告書」は平成17年12月の日ASEAN首脳会議において各国首脳から高い評価を得て了承された。また、平成17年12月の第二回日CLV首脳会議において小泉首相より本目標達成後(平成18年末)にはメコン地域開発のための新しいプログラムを用意することを表明した。また、平成16年11月の第一回日CLV(カンボジア・ラオス・ベトナム)首脳会議の際にCLV政府より要請のあった「開発の三角地帯」(CLV三国国境の貧困山岳地帯)に対しては、ベーシック・ヒューマン・ニーズ分野を中心に16件(総額約20億円)を実施し、平成17年12月に開催された第二回日CLV首脳会議においてCLV側より高い評価を得た。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する。)

「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)我が国が行っているメコン地域開発を通じたASEAN域内の格差是正や、二国間経済協議を通じた日本との経済関係の強化の成果は、事務事業の評価の欄に記載した内容や各種統計資料によっても示されている。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 現時点で我が国との間で二国間経済連携協定締結交渉を開始する予定のないカンボジア、ラオス、ミャンマーに対しては、ASEAN加盟国間でAJCEP(日ASEAN包括的経済連携)による裨益効果の差異を最小限に抑えるとの観点から、投資促進分野を中心に、先方の要望に応じる形でのきめ細やかな補完的取組が必要。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 今後ともメコン河流域5か国との友好関係の強化、経済関係の緊密化に取り組むとともに、これらの国々の発展を支援することを通じて、ASEANの統合を強化し、地域の平和と安定の強化に取り組んでいく。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

石井米雄 人間文化研究機構長
 メコン地域開発は、メコン川流域5か国と中国の1地方(雲南)を対象とし、国をまたいで地域全体を広域的に開発する構想であり、中・下流域をめぐって発生している水源管理問題、環境問題などは、中国領である上流域の開発と密接に関係していることを考慮するとき、メコン川委員会と連携はさらに強化することが重要であろう。所管課の所掌範囲による限界は十分理解できるが、中国領である上流域の開発によって生じる諸問題の解決を視野に入れた政策の立案が可能となるような体制の実現が期待される。要人往来等、上級レベルでの接触の重要性は当然であるが、現地調査を恒常的に行い、その知見を将来の政策立案に結合させるための努力を行なうこともまた、支援の実質化のためにも重要であると思われる。ひとつの方法として、NGOに現地における問題発見のための調査への参加協力をもとめることが考えられよう。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 通常の評価を行った要人往来及び二国間経済協議の進捗状況については施策の目標の観点から適切に評価が行われている。特に、後者については、今後の政策課題の方向性も提示されている。暫定評価としたメコン地域開発支援についても施策の目標が達成されつつある点が記述され、適切に評価されている。

【事務事業の評価】

事務事業名:要人往来をはじめとする対話・交流の継続・促進

事務事業の概要
(1)タイ
(イ)平成17年4月、町村外務大臣(当時)はパキスタンにおけるアジア協力対話(ACD)外相会合に際して、カンタティー外相と二国間外相会談を実施した。
(ロ)平成17年8月、秋篠宮殿下は御研究のためタイを御訪問され、プミポン国王・シリキット王妃両陛下と御接見された。
(ハ)平成17年8~9月、タクシン首相が訪日し、小泉総理と首脳会談を行った。
(ニ)平成17年12月、麻生外務大臣はマレーシアにおける東アジア首脳会議に際して、カンタティー外相と二国間外相会談を行った。

(2)ベトナム
(イ)平成17年5月、京都におけるASEM外相会議に際して二国間外相会談を実施した。
(ロ)平成17年6月、町村外務大臣(当時)はベトナムを訪問し、カイ首相、ニエン外相と会談した。
(ハ)平成17年7月、カイ首相は日本を訪問し、小泉総理と会談した。
(ニ)平成17年11月、韓国におけるAPEC閣僚会議に際して二国間外相会談を実施した。
(ホ)平成17年12月、マレーシアにおける東アジア首脳会議に際して二国間首脳会談を実施した。

(3)カンボジア
(イ)平成17年5月、愛・地球博の博覧会賓客として訪日したフン・セン首相及びハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力相は、皇太子殿下と接見し、小泉総理及び町村外務大臣(当時)と会談を行った。
(ロ)平成17年6月、町村外務大臣(当時)がプノンペンを訪問し、ノロドム・シハモニ国王を表敬し、フン・セン首相及びハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力相と会談した。
(ハ)平成17年12月、遠山外務大臣政務官がプノンペンを訪問し、ソック・アン副首相兼閣僚評議会担当相、ノロドム・ラナリット国民議会議長、ハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力相と会談した。

(4)ラオス
(イ)平成17年は、我が国とラオスが外交関係を樹立して50周年に当たることから、両国において様々な記念事業を実施した。
(ロ)平成17年4月、トンルン・シースリット副首相兼計画投資委員会委員長は、国際機関日本アセアンセンター主催ラオス投資セミナー出席のため来日した。
(ハ)平成17年5月、ソムサワート・レンサワット副首相兼外相は、ASEM第7回外相会合出席のため、京都を訪問した。
(ニ)平成17年5月、サマーン・ヴィニャケート国民議会議長が、衆議院議長招待により来日し、天皇皇后両陛下へ謁見した。
(ホ)平成17年6月、ソムサワート・レンサワット副首相兼外相が、2005年日本国際博覧会「愛・地球博」ラオス・ナショナルデー出席のため来日した。
(ヘ)平成17年7月、逢沢外務副大臣(当時)が、東南アジア諸国連合拡大外相会議(ASEAN・PMC)、ASEAN+3外相会議及びASEAN地域フォーラム(ARF)出席のため、ラオスを訪問。ソムサワート・レンサワット副首相兼外相との会談を行った。
(ト)平成18年2月、トンルン・シースリット副首相兼計画投資委員会委員長が、日本貿易振興機構(JETRO)主催「メコン展」出席のため来日した。

(5)ミャンマー
(イ)平成17年4月、小泉総理はインドネシアにおけるアジア・アフリカ会議出席の機会に、タン・シュエ国家平和開発評議会議長に対して民主化についての働きかけを行った。
(ロ)平成17年4月、町村外務大臣(当時)はパキスタンにおけるアジア協力対話出席の機会に、ニャン・ウイン外務大臣と二国間会談を行った。
(ハ)平成17年8月、福島外務大臣政務官(当時)はミャンマーを訪問し、ニャン・ウイン外務大臣との間で二国間会談を行った。
(二)平成17年12月、麻生外務大臣は、マレーシアにおけるASEAN+3外相会合出席の機会に、ニャン・ウイン外務大臣と二国間会談を行った。
(ホ)平成18年3月、町村前外務大臣はミャンマーを訪問した際、ニャン・ウィン外相と会談し、小泉総理発タン・シュエ議長宛親書を手交しつつ、同国の民主化について働きかけを行った。
有効性
(具体的成果)
(1)タイ
(イ)タイとの間で以下のように活発な要人往来や国際会議に際する二国間会談が行われ、二国間の協力関係を再確認するとともに、グローバルな課題や地域情勢につき政府ハイレベルで率直な意見交換を行ったことにより、我が国がタイとの関係を重視する姿勢を明確に示すことができた。また、首脳、外相間で個人的な信頼関係も醸成された。
(ロ)平成17年4月、町村外務大臣(当時)はパキスタンにおけるアジア協力対話(ACD)外相会合に際して、3月の第二次タクシン政権発足に伴い外相に就任したカンタティー外相と地域情勢等につき幅広い意見交換を行い、個人的信頼関係を構築した。
(ハ)平成17年8月、秋篠宮殿下は御研究のためタイを御訪問され、プミポン国王・シリキット王妃両陛下と御接見された。両国の皇室・王室間の親密な関係により、我が国とタイの関係が一層強化された。
(ニ)平成17年8~9月、タクシン首相が訪日し、愛・地球博を視察して我が国の先端技術に触れ、小泉総理との会談では日タイ経済連携協定の大筋につき合意するとともに、個人的な信頼関係を一層深め、両国関係の強化に資した。
(ホ)平成17年12月、麻生外務大臣はマレーシアにおける東アジア首脳会議に際して、カンタティー外相と二国間外相会談を行い、地域情勢等について幅広い意見交換を行い、個人的信頼関係を構築した。
参考1:日本からタイへの渡航者数(タイ政府観光庁統計)
2004年 116万人
1997年  97万人
参考2:タイから日本への渡航者数(タイ政府観光庁統計)
2004年  14万人
2003年  11万人
2002年  10万人

(2)ベトナム
(イ)平成17年5月及び6月に行われた町村外務大臣(当時)とニエン外相との会談において、両国はベトナムのWTO加盟二国間交渉の早期妥結への協力、ベトナムの我が国常任理事国入りに対する支持など多国間関係における両国間の協調姿勢を再確認することができた。
(ロ)平成17年7月、小泉総理はカイ首相と二国間関係、国連改革、CLV「開発の三角地帯」等について意見交換を行った。本会談により、二国間の友好・協力関係を再確認するとともに、首脳間の個人的な信頼関係が一層醸成された。
(ハ)平成17年11月、麻生外務大臣は韓国におけるAPEC閣僚会議に際し、ニエン外相と二国間会談を行った。本会談により、二国間関係の強化のみならず、国連、APEC等多国間の枠組み、鳥インフルエンザ等グローバルな問題についても双方が協力することで合意した。
(ニ)平成17年12月、小泉総理は、マレーシアにおける東アジア首脳会議に際しカイ首相と会談を行った。会談において、両首脳の立ち会いの下、ベトナムのWTO加盟二国間交渉妥結文書署名式を行った。また、首脳会談の結果を踏まえ、二国間経済連携交渉の開始に向けた共同検討会合、及び「日越共同イニシアティブ」の第二フェーズが開始されるなど、二国間経済関係の一層の発展を促進する上で極めて重要であった。
参考1:日本からベトナムへの渡航者数(ベトナム観光総局)
2005年 32万人(+20.0%)
2004年 27万人(+25.9%)
2003年 21万人(+24.4%)

(3)カンボジア
(イ)平成17年5月、愛・地球博の博覧会賓客として訪日したフン・セン首相及びハオ・ナムホン副首相兼外相は、皇太子殿下と接見した。また小泉総理及び町村外務大臣との会談においては、同首相より我が国ODA及びクメール・ルージュ(KR)裁判への支援につき謝意の表明があり、日本の国連安保理の常任理事国入りを支援する旨述べる等、両国間の良好な二国間関係を再確認する会談となった。
(ロ)平成17年6月、町村外務大臣(当時)がプノンペンを訪問し、ノロドム・シハモニ国王を表敬した。また、フン・セン首相及びハオ・ナムホン副首相兼外相との会談においては、先方より日本の常任理事国入りに対する支持が表明された。また、6件の無償資金協力に関する交換公文の署名式をハオ・ナムホン副首相兼外相との間で行う等、両国の友好協力関係の一層の強化が図られた。
(ハ)平成17年12月、遠山外務大臣政務官がプノンペンを訪問した。ノロドム・ラナリット国民議会議長との会談では、同議長より日本のこれまでの支援に対する謝意の表明があった他、KR裁判の準備状況につき説明があった。ソック・アン副首相兼閣僚評議会担当相との会談では、日本のKR裁判に対する支援に謝意の表明があったので、政務官より日本はKR裁判に対する財政的・人的貢献を行う用意がある旨述べ、経済協力についても意見交換した。ハオ・ナムホン副首相兼外相との会談の中では、同副首相より日本の支援に謝意が表明された他、カンボジアの政治経済状況や地雷問題について意見交換した。政務官からはKR裁判に関する日本の貢献について述べるとともに、カンボジアの人権状況に対する懸念を伝えた。
参考1:日本からカンボジアへの渡航者(カンボジア開発評議会)
2005年 13.8万人
2004年 10.4万人
2003年  8.8万人

(4)ラオス
(イ)外交関係樹立50周年に係る記念事業が、両国において様々実施され、日ラオス関係の裾野が拡がっていることが確認された。
(ロ)逢沢外務副大臣(当時)は、平成17年7月にラオスを訪問し、ASEAN+3外相会議等に出席したほか、ブンニャン首相及びASEAN議長国としてホスト役を務めるソムサワート・レンサワット副首相兼外相との会談も実施した。首相からは安保理改革に対する日本への支持が表明された。
(ハ)民間企業がラオスに対しての投資を行う際の、重要な判断材料となる投資環境整備の重要性については、在外公館からラオス要路に対して累次指摘してきているところであり、ラオス国内の投資環境整備に係る政策決定に重要な役割を担っているトンルン副首相兼計画投資委員会委員長が来日する機会を捉え、ラオス向け投資促進を我が国としても取り組んでいる姿を改めて示すことが出来た。
(ニ)平成17年6月13日は、2005年日本国際博覧会「愛・地球博」ラオス・ナショナルデーであった。ラオスからは、ソムサワート・レンサワット副首相兼外相が来日し、逢沢外務副大臣との会談の中で我が国支援に対しての謝意と評価を述べるとともに、また「ソ」副首相兼外相はフレンドシップ・シティである愛知県田原市を訪問した。同市は、ビエンチャン県サイタニー郡との交流を深めており、平成18年4月中旬には、同市長のラオス訪問が予定されている。
参考1:ラオスにおける在留邦人数
2005年 436名(企業関係者104名)
2004年 417名(企業関係者 90名)
2003年 386名(企業関係者 82名)

(5)ミャンマー
 日本は、ミャンマーの民主化・人権状況を憂慮しており、ハイレベルの要人往来は限られているが、伝統的な二国間関係を基礎に、種々の機会を捉えてミャンマー政府に対し対話を通じた働きかけを実施している。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 要人往来や国際会議等の機会を捉えて政府ハイレベルでの対話を継続することは、各国の対日理解や我が国の外交上の立場に対する支持の取り付けに大きな効果があるのみならず、外交上極めて重要な首脳・外相等政府要人間の信頼関係の醸成に資する。このことから、今後とも要人往来や国際会議の機会を活用し、積極的に二国間の政府ハイレベルでの対話を行い、主要な国際問題や二国間関係についての意見交換を頻繁に行っていくことを通じて、各国との緊密な関係を構築していく。

事務事業名:日タイEPA協議等二国間経済協議の推進

事務事業の概要
経済成長の達成には民間企業の積極的な活動が不可欠であり、我が国の企業は、1980年代以降、タイ、フィリピン、インドネシア等に直接投資を行い、現地における雇用拡大、技術移転に努めてきており、投資先の国が経済発展を達成する上で揺るぎない実績を上げている。メコン河流域5か国は天然資源や優秀な労働力に恵まれた高い開発ポテンシャルを有する地域であり、民間投資・貿易先として極めて有望である。事実、近年メコン地域(特にタイ、ベトナム)は貿易投資活動を通じた我が国との経済関係も緊密化していることから、日タイ経済連携協定交渉、日越共同イニシアティブ、各種投資促進ワークショップなどの各種経済協議を通じてこれら国々との経済関係を更に強化し、貿易投資先としての潜在的能力を更に引き出していくことが重要である。
有効性
(具体的成果)
(1)タイとの間では、日タイ経済連携協定締結に向けて平成17年度だけで閣僚級を含めて様々なレベルで計13回の交渉を行い、平成17年9月に首脳間で大筋合意を行い、平成18年2月には協定条文を基本的に確定するに至った。平成18年春の署名に向けて鋭意作業を続けていたが、2月24日のタイ下院解散後、タイ側より4月に総選挙を行うことになったために署名を延期したい旨の申し入れがなされた。日本としては、タイの情勢を注視しつつ、本協定の早期署名及び発効のために引き続き最善の努力を払う所存である。

参考1:タイの対日輸入額(タイ商務省統計)
2005年 261億ドル
2004年 223億ドル
2003年 181億ドル

参考2:タイの対日輸出(タイ商務省統計)
2005年 152億ドル
2004年 135億ドル
2003年 114億ドル

参考3:日本からタイへの直接投資額(タイ投資促進委員会統計)
2005年 1718億バーツ
2004年 1259億バーツ
2003年  976億バーツ

(2)ベトナムとの間では、日本政府、ベトナム政府、及び日本経済団体連合会により構成される官民合同フォーラムにより、ベトナムに投資する企業が実際に直面する問題について、三者が話し合いによって共通の認識を持つことにより、課題の明確化と実態上の投資環境を改善する「日越共同イニシアティブ」を実施し、平成17年11月には、2年間の実施を総括する第2回評価・促進委員会により「日越共同イニシアティブ」の最終評価が行われ、行動計画に記載された事項の85%が実行に移されたことを確認し、日越双方において非常に高い評価を得た。本イニシアティブの具体的成果の一例として、本イニシアティブが始まった2003年の新規及び増資のベトナムへの外国直接投資額が30.6億ドルであるのに対して、終了した2005年のそれは60.2億ドルとなっている。日本の対越投資が急増した要因は、当然、本イニシアティブの他にもあるが、特に、近年の日系企業による大型投資案件の増加は、既存投資家がベトナムを安定した投資先と評価していることの証拠である。
 「日越共同イニシアティブ」のフェーズ1が日越双方にとって具体的な成果があがったことを受けて、平成18年2月には同様の仕組みでフェーズ2をスタートした。
 また、日越経済関係を更に強化することを目的として、平成17年12月日越首脳会談において二国間の経済連携協定交渉の開始に向けて、共同検討会合を開始することを正式に合意し、平成18年2月に第一回共同検討会合を開催した。今後は早期に正式交渉に移行するべく鋭意交渉を進めていく。

参考1:ベトナムの対日輸入(財務省貿易統計)
2005年 3963億円
2004年 3438億円
2003年 3033億円

参考2:ベトナムの対日輸出(財務省貿易統計)
2005年 5016億円
2004年 4170億円
2003年 3580億円

参考3:日本からベトナムへの新規・認可ベースの直接投資額(ベトナム計画投資省)
2005年 4.1億ドル
2004年 2.5億ドル
2003年 1.0億ドル

(3)カンボジアとの間では、平成16年8月、我が国は開発調査として「カンボジア経済政策支援/投資環境整備」を採択。カンボジア経済の現状と同国政府の要望を踏まえ、日本企業の対カンボジア投資拡大に向けての側面支援を念頭に置き、外国直接投資を梃にする産業振興の施策の提案、対カンボジア直接投資を拡大するためのカンボジア政府のアクション・プランの策定、カンボジア投資環境情報のデータベース整備及び情報提供サービスに係る技術供与、関連省庁の人材育成、を主な目的として、平成17年11月から調査を開始(平成19年3月終了予定)。

参考1:カンボジアの対日輸入(カンボジア計画省)
2005年 100百万ドル
2004年  79百万ドル
2003年  57百万ドル

参考2:カンボジアの対日輸出(カンボジア計画省)

2005年  94百万ドル
2004年  98百万ドル
2003年 130百万ドル

(4)ラオスとの間では、これまで経済政策支援(技術協力)や投資環境整備に係る政策提言プロジェクト(JBIC)を実施したほか、民間企業がラオスに対しての投資を行うに当たり、重要な判断材料となる投資環境整備の重要性については、我が方在外公館からラオス要路に対して累次指摘してきているところである。ラオス国内の投資環境整備に係る政策決定に重要な役割を負っているトンルン副首相兼計画投資委員会委員長も、我が国民間部門に対する期待が高く、国際機関日本アセアンセンター主催によるラオス向け投資促進セミナーに2度(4月東京、7月バンコク)にわたり出席している。特に、7月に行われたセミナーには、タイ国内に進出している邦人企業を中心として多数の出席者を集め、関心の高さを伺わせた他、在ラオス大使館の桂特命全権大使も出席し、投資先としてのラオスの紹介を行った。JBICがUNCTADとの協力の下、2004年7月にラオス及びカンボジア政府に提出した「海外直接投資環境整備に関する政策提言書(ブルー・ブック)」については、フォローアップとしてJBICにより、2005年2月に特定分野の商品開発及び輸出の可能性を探るための調査団がラオスに派遣され、同年4月を目処に報告書を作成中。

参考1:日本からラオスへの直接投資額
2005年 440万ドル
2004年 452万ドル
2003年 334万ドル

(5)平成18年2月にはJETRO主催でメコン地域各国産品の輸出促進及び国情・投資環境紹介を目的として東京で「メコン展」が開催された。先方政府からは、チャン・カンボジア商業大臣、シスリット・ラオス副首相兼国家計画投資委員会委員長、スウィット・タイ商業省政務官、ルオン・ベトナム商業副大臣、ミン駐日ミャンマー大使等の要人が参加した。日本におけるメコン地域への高い関心を反映して、民間企業関係者を中心に3900名の来場があり、JETRO主催の国別展としては過去の入場者数記録を大幅に更新した。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 両国間の物品、人、サービス、資本の自由な移動を促進することは、双方の経済関係の強化に大きな効果がある。我が国の重要な貿易相手国である各国における投資・ビジネス環境の整備は、我が国の経済的利益の確保にとって極めて重要なものであり、政府として我が国民間企業の活動を支援していくことは非常に重要である。今後は、日タイ経済連携協定、日越経済連携協定の早期締結のため協議を実施するとともに、協定締結後はその着実な協力の実施及び運用を確保する。二国間経済連携協定の交渉の対象となっていないカンボジア、ラオス、ミャンマーに対しては、ASEAN加盟国間の格差を拡大させないためにも投資促進分野を中心により積極的な施策を実施する。

事務事業名:メコン地域開発支援

事務事業の概要
 メコン地域開発は、メコン河流域の5か国(ベトナム、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマー)を対象とし、感染症対策・メコン河流域の環境・社会問題等の国境を越える問題に対処し、地域全体の包括的な開発を目指す構想である。我が国は、メコン地域開発を進めていくにあたって、「メコン地域開発の新たなコンセプト」として「地域の一体性の強化」、「持続的な経済成長の実現」及び「環境と調和」という3つのビジョンを掲げている。メコン地域は第二次世界大戦から1990年代初頭に至るまで戦争、貧困、難民の源であり、アジア地域の一大不安定要因であった。この時代の経験に鑑みれば、本地域を含むASEANの安定と均衡のとれた発展は、日本を含むアジア全体の安定と繁栄にとって必要不可欠であり、メコン地域開発によるASEANの新規加盟国(カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー)に対する支援を通じて、ASEAN域内の格差を是正し、ASEANの統合を促進していく必要がある。また、メコン地域諸国は、それぞれ天然資源や優秀な労働力に恵まれた国々であるが、一国のみで経済成長を達成するには限界がある。高い経済成長を達成するためには、国ごとの課題に取り組むことに加え、メコン地域諸国を一つの地域としてとらえ、地域全体として問題意識を共有し、対策のための施策を検討して実施していく。また、ODA資源を地域一帯で活用し、各々の支援活動の補完関係を強めていくことが最も効率的である。
有効性
(具体的成果)
 平成17年度我が国はASEAN原加盟国のタイ及びASEAN後発国たるCLMV諸国に対し630億円を超える経済協力を行った。具体的には、一層の経済開発のために必要なインフラを整備するため、メコン地域において輸送、電力及び通信の広域的ネットワークの確立を目指し、民間投資の促進のための経済政策支援を行いつつ、カンボジアにおける地域通信基幹ネットワーク整備計画、ラオスにおけるメコン地域電力ネットワーク整備計画、ベトナムにおけるカイメップ・チーバイ国際港開発計画などの協力を実施することで、ハード・ソフト両面からの支援を行った。また、一定の発展段階に達しドナー国としての役割を担いつつあるタイと協力して広域的な技術協力を実施した。メコン地域開発については、平成15年12月の日ASEAN特別首脳会議において、その後3年間で15億ドルの支援を行うと表明し、平成17年末の2年間を経過した段階で目標の3分の2を十分に超える額の協力を行い順調に進展しており、メコン地域開発を含む「日ASEAN行動計画進捗報告書」は平成17年12月の日ASEAN首脳会議において各国首脳から高い評価を得て了承された。

 平成18年度は3年間にわたるメコン地域開発支援の最終年にあたることから、来年はこの目標の達成を目指して引き続き支援の着実な実施を行うこととし、カンボジアにおける経済特別区開発に対する支援、ベトナムにおける貧困削減に対する支援などを実施する予定である。また、平成17年12月の第二回日CLV首脳会議において小泉総理が表明したとおり、本目標達成後(平成18年末)にはメコン地域開発のための新しいプログラムを用意することで、我が国のメコン地域開発に対する支援を強化継続していく。

 また、平成16年11月の第一回日CLV首脳会議の際にCLV政府より要請のあった「開発の三角地帯」(CLV三国国境の貧困山岳地帯)に対しては、ベーシック・ヒューマン・ニーズ分野を中心に16件(総額約20億円)を実施し、平成17年12月に開催された第二回日CLV首脳会議においてCLV側より高い評価を得た。「開発の三角地帯」はASEAN後発加盟国の中でも特に貧しい地域であることから、ASEANの格差是正と一体性の強化を促進するとの視点から、引き続き重点的な支援を行っていく。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 平成15年12月に表明したメコン地域開発に対する3年間で15億ドルの支援目標を達成するために、3年のイニシアティブの最終年にあたる平成18年度もこの目標の達成を目指して引き続き支援の着実な実施を行う。また、本目標達成後(平成18年末)に発表するメコン地域開発のための新しいプログラムを用意することで、我が国のメコン地域開発に対する支援を強化していく。また、ASEANの域内格差の是正とASEANの一体性強化というメコン地域開発の目的を達成するには、タイがイニシアティブを取り進めているACMECS(イラワジ-チャオプラヤ-メコン経済協力戦略)や、CLV「開発の三角地帯」への支援等も引き続き継続していく必要がある。

【評価をするにあたり使用した資料】


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