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小泉総理大臣

日・ASEAN特別首脳会議

メコン地域開発の新たなコンセプト

(英語版はこちら)

1. メコン地域開発のビジョン
 メコン地域は、ASEAN新規加盟4ヶ国が所在するASEANの一体性強化の要であり、経済的にも発展の潜在性を有している。東南アジア島嶼部、中国本土及びインドに連接するメコン地域の安定と発展は、アジア地域全体の安定にも不可欠である。
 加えて、メコン地域開発を巡っては、「ASEAN統合イニシアティブ」に見られるように地域協力がASEAN内でより重視されてきており、また、メコン地域を含んだ市場統合の動きが進展しているといった状況がある。こうした点を踏まえ、また、今後ASEAN諸国の意見を踏まえつつ、我が国は次の3つのビジョンに基づきメコン地域開発に協力していく。

(1)地域的一体性の強化
 メコン地域が均衡のとれた形で発展することを通じ、ASEAN域内での格差是正、地域内の関係緊密化を目指す。

(2)持続的成長の実現
 メコン地域の経済発展の潜在性を開花させることが我が国やアジア地域全体の繁栄にも資することを念頭に、経済協力を実施するとともに、貿易・投資や人的交流の活性化を目指し、持続的成長が実現することを目指す。

(3)環境との調和
 自然環境豊かなメコン地域においては、秩序ある開発を進め、地域の環境保全に配慮する。


2. メコン地域開発のための3つの拡充:「経済協力と貿易・投資の統合」
(1)アプローチの拡充
 ● 従来の経済協力とともに、貿易・投資や人的交流の活性化により地域全体において持続的経済成長がもたらされることを目指し、幅広いアプローチを実施する。特に、AFTAや日ASEAN包括的経済連携等、進展しつつある市場統合をメコン地域諸国が十分活用できるよう支援する。

(2)アクターの拡充
 ● メコン地域開発はASEAN諸国、特にメコン地域諸国のオーナーシップの下に行われるものであるが、加えて地方政府、民間部門、NGO等多様なアクターもメコン地域開発に関与していることから、こうした各アクター及びその個々の政策・活動を相互に認識しあい、協力及び調整を進める。
 ● アジア開発銀行(ADB)等の国際的な組織・枠組をメコン地域開発に取り組む上でのパートナーとして、連携を強化する。

(3)協力分野の拡充
 ● 運輸インフラ等ハードウェアの支援に加え、政策立案・制度整備・人材育成といったソフトウェアの支援を重視する。特に、地域全体の経済発展のためには、ヒト・モノの移動を制度的に円滑化すること、基準・制度の調和を図ること等が重要である点に注目する。また、地域のエネルギー事情にも適切な考慮を払う。


3. メコン地域開発の具体策:3本柱
(1)より充実した経済協力
 ● 我が国はメコン地域開発のための経済協力をより一層充実させる。我が国は地域開発に効果的な影響ある適切な案件に対し、この3年間に約15億米ドルの協力を行うことが想定される。
 ● 当面の経済協力には、次のような事項が含まれる。
「東西回廊」の「経済回廊」化に向けての支援。 -カンボジア国道1号線を含む「第2東西回廊」の整備。
道路、橋梁、港湾、鉄道といった運輸インフラ整備。
電力、情報通信技術、水資源管理といった分野における協力。
メコン・インスティテュート等を通じたCLMV諸国への技術協力。
 ● メコン地域開発に係る効果的な援助の実施のため、同地域に対する経済協力の在り方について、関係国・機関とともに更に検討を進める。このため明年のできるだけ早い時期に、これら関係国・機関との政策協議のためのミッションを派遣する。
 ● その際、貿易・投資及びその他地域の経済活動を活性化するための支援、インフラ整備、環境保全等の協力分野を含め、我が国協力の重点分野を検討し、これらの重点分野と具体的案件を有機的に連関した形で位置付ける。

(2)貿易・投資の活性化
 ● 投資金融・輸出金融や貿易保険等を通じた我が国企業による新規加盟国への貿易・投融資支援、インフラ・プロジェクト等への融資や我が国専門家の知的支援等を通じたメコン地域各国の投資環境整備、ASEANに進出している我が国企業による新規加盟国へのミッション派遣、日本商工会議所とメコン地域に所在する日本人商工会議所や日系企業のより緊密な連絡、情報通信技術を活用したメコン地域に関する情報流通の整備・促進といった手段により、我が国企業のメコン地域における経済活動を促進する。
 ● 日本とASEAN諸国との経済連携を着実に推進すると同時に、メコン地域に所在するASEAN新規加盟国が市場統合に対応し、また、WTOに加盟できるよう、政策立案・制度構築・人材育成等様々な側面の支援を実施する。また、物流促進や国境通過業務改善等によるメコン地域内におけるヒト・モノの移動の円滑化、制度・基準の調和推進といった手段により、メコン地域における市場の統合を推進する。
 ● 中小企業育成・振興のための政策立案能力強化及び基礎技術の向上、新規加盟国のための起業家育成プログラムの策定及び実施、職業能力開発制度の整備支援、国際ビジネス技能及びノウハウ習得のための訓練コース実施、新規加盟国商工会議所の機能強化のための専門家派遣、更に上記の諸手段等により、メコン地域における民間部門の発展を促進する。これらの手段は地域全体を視野に入れて実施し、国をまたいで相互補完的な支援となるよう留意する。
 ● メコン地域を含むASEAN各国における債券市場育成を目標とするアジア債券市場育成イニシアティブの一環として、ASEAN諸国及び国際機関等とも協力しつつ、メコン地域の新規加盟国に対し、債券市場の市場インフラ整備に係る技術協力等も含め、積極的に技術支援を実施する。

(3)連携の強化
 ● メコン地域開発に関しGMSプログラムを推進するADBとの連携を強化する。その具体策として、ADB「日本特別基金」のメコン地域開発案件への供与等、ADBを通じたメコン地域開発への協力を積極的に実施する。メコン地域における援助の効率的な実施に向けた我が国政府とADBとの定期的な政策対話の実施、日本貿易保険(NEXI)や国際協力銀行(JBIC)とADBとの連携等を促進する。
 ● 世銀、UNESCAP、メコン河委員会等の国際組織とも、開発案件への経済協力、民間部門の育成、メコン河の水資源管理等、各々がメコン地域開発に関与している分野で、現地レベルを含め、連携・支援していく。
 ● メコン地域開発に関連したASEANによる取組との連携を強化する。具体的には、「ASEAN統合イニシアティブ」(IAI)やタイの「経済協力戦略」(ECS)との協力を強化するとともに、日タイ・パートナーシップ・プログラム(JTPP)、日星パートナーシップ・プログラム(JSPP)等を活用する。
 ● メコン地域開発に関する様々な取組を包括的かつ効果的にフォローアップするために、ASEAN+3関連諸会合、ASEAN拡大外相会議、東アジア開発イニシアティブ(IDEA)等の場を活用する。こうした協議には必要に応じ、他の関係国や国際機関等の関与も検討する。


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