アジア
第9回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議
1 地域・国際情勢に関する意見交換
(1)インド太平洋
河野大臣から,日本は「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の採択を歓迎し,自由で開かれたインド太平洋を実現すべく,ASEANとの戦略的なパートナーシップを強化していきたい旨述べた。また,このビジョンを共有するパートナーたちと共に,質の高いインフラ投資に関するG20原則で確認されたような国際的なスタンダードに従い,具体的な協力を前進させていく意図を表明した。
多くの参加国からも,「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の採択への支持が表明されるとともに,インド太平洋に関するそれぞれの考えや構想についての発言があり,それらの共通点が確認されるとともに,互いに連携させていくことの重要性が強調された。
(2)北朝鮮
河野大臣から,直近の米朝首脳の面会について,これが非核化に向けたプロセスを再活性化する動きであるとして,米国の努力に対する支持と賞賛を表明した。その上で,北朝鮮による弾道ミサイル発射について遺憾の意を表明し,安保理決議に従って,全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDを実現するため,国際社会が一体となって米朝プロセスを後押ししていくことや,「瀬取り」対策を含めた安保理決議の完全な履行の重要性を強調した。また,拉致問題の早期解決に向けて各国による引き続きの協力への期待を表明した。
また,多くの参加国が北朝鮮問題を取り上げ,北朝鮮の完全な非核化及び国際社会が引き続き国連安保理決議を履行していくことの重要性を強調した。
(3)海洋安全保障
河野大臣から,東シナ海や南シナ海を含む全ての海において,法の支配を貫徹しなければならない旨強調した上で,悪化する東シナ海及び南シナ海の現場における状況に関して,深刻な懸念を共有する旨述べた。また,あらゆる一方的な現状変更の試みや他国に対する威圧に強い反対を表明し,関係国に係争中の地形の非軍事化及び国連海洋法条約に従った紛争の平和的解決を要請した。さらに,南シナ海行動規範(COC)は,海洋の自由の原則を尊重しなくてはならず,また,第三者の利益及び全ての国の国際法の下での権利と自由を侵害してはならない旨を強調した。
さらに,ほぼ全ての参加国が南シナ海問題を取り上げ,航行及び上空飛行の自由,国連海洋法条約を含む国際法に従った紛争の平和的解決の重要性に言及した。また,現場における最近の動向への深刻な懸念を表明した上で,非軍事化と自制の重要性を訴えた国が多数あった。さらに,実効的なCOCへの期待を表明するとともに,COCが第三国の権利や利益を侵害すべきでないことを強調した。
(4)ラカイン情勢
河野大臣から,バンコクを訪問する前にコックス・バザールのキャンプを訪問したことを紹介し,キャンプの状況は依然厳しい旨述べた。また,避難民の早期帰還の実現のために,ミャンマーとバングラデシュとの間の建設的な直接対話が必要不可欠である旨を強調した。さらに,日本は,避難民とホスト・コミュニティを支援し,避難民帰還のための環境を整備するようミャンマーを励行することを表明するとともに,ASEANの役割の拡大を評価した。
さらに,多くの参加国がラカイン情勢を取り上げ,ASEANの取組に対する支持が表明されるとともに,避難民の安全,自発的で尊厳のある帰還を実現するための環境が作られること,そして,ミャンマー政府が国連機関と協力することの必要性について強調した。
(5)その他
上記のほか,テロ・暴力的過激主義対策,自由貿易の推進等について議論があった。その中で,一部の参加国からの日本の輸出管理の見直しに対する言及に対し,河野大臣から日本の立場を説明した。
2 EAS協力のレビューと将来の方向性
河野大臣から,最優先の戦略的な課題について議論する地域のプレミア・フォーラムであるEASにおいて,率直な対話を促進する取組を一層強化する必要があるとし,EAS大使級会合(EAMJ)をより活用していくべきである旨述べた。
これに加え,多くの参加国から,EASを地域のプレミア・フォーラムとして更に強化することの重要性を強調する発言があった。