ASEAN(東南アジア諸国連合)

平成27年11月22日
写真提供:内閣広報室
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11月22日(日)午後2時20分頃(現地時刻)から約1時間,マレーシア・クアラルンプールにおいて第18回日・ASEAN首脳会議が開催され,日本から安倍総理が出席したところ,概要次のとおり(議長:ナジブ・マレーシア首相)。

1 日・ASEAN協力のレビューと将来の方向性

安倍総理から,ASEAN共同体の発足,新たな統合目標の設定に祝意を述べ,ASEANが,法の支配や民主主義といった普遍的な価値を共有するパートナーとして,安定し,繁栄していくことは極めて重要であり,今後も,ASEANの統合努力を全面的に支援していく旨を述べた。また,「日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント」の4分野の下で,日・ASEANの協力は着実に進捗しており,日本もコミットメントを着実に実施し,2013年に表明した5年間で2兆円規模のODA供与のうち既に1兆円以上を実施,また,「日・ASEAN健康イニシアティヴ」としての5年間で8,000人の人材育成についても,既に2,000人以上を達成している旨述べた。
ASEAN側からは,総じて,40年にわたる緊密な日ASEAN関係を賞賛し,「ビジョン・ステートメント」に基づき,協力が着実に進捗していることを歓迎する旨が述べられた。

(1)経済分野での協力

安倍総理から,ASEANの更なる統合と,持続的で包摂的な成長を後押しするため,東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)とも協力しつつ,以下の取組を行う旨述べた。
ア 質の高いインフラ投資のため,円借款等の手続きを最大で1年半短縮するとともに,ADBと協調して投融資を拡大し,積極的にリスクマネーを供給する。
イ 基盤産業の確立及び高度化のため,アジア地域で今後3年間で4万人の産業人材の育成(「産業人材育成協力イニシアティブ」),中小企業が利用できる金融制度の充実を支援する。
ウ 「日ASEAN女性起業支援基金」の設立により,マイクロファイナンスによって女性のスモールビジネスを支援する。
また,安倍総理から,日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)のサービス交渉の終了を歓迎するとともに,投資分野のできる限り早期の交渉終了に向けて調整を加速したい旨述べた。
ASEAN側からは,共同体構築等に対するこれまでの支援に謝意が述べられるとともに,「質の高いインフラ・パートナシップ」等のイニシアティブを歓迎する旨が述べられた。

(2)安全保障分野での協力

安倍総理から,地域の安全保障環境が厳しさを増す中,国際協調主義に基づく積極的平和主義の下,地域・国際社会の平和・安定・繁栄に一層貢献していくとの決意を表明し,平和安全法制はその具体的実践のためのものであり,国連PKO等,各国との安全保障協力を一層進めていきたい旨述べた。
また,安倍総理から,ASEAN各国が海を守る能力をシームレスに支援していく旨述べた上で,平和構築支援,暴力的過激主義を含むテロ・国境を越える犯罪対策やサイバーセキュリティに関してもASEANとの協力を更に深めたい旨発言した。
ASEAN側からは,平和安全法制を支持し,地域の平和と安定に対する日本の貢献に期待する旨の発言があった。

(3)その他の分野での協力

ア 安倍総理から,ASEAN防災人道支援調整(AHA)やERIA等を通じ,引き続き防災面においてASEANを支援していく旨述べた上で,「世界津波の日」の制定に向けた全てのASEAN諸国の共同提案国入りに謝意を述べた。
イ 安倍総理から,JENESYS2015,文化のWAプロジェクト,Sport for Tomorrowを通じ,心と心のパートナーシップも着実に深めていきたい旨述べた。
ASEAN側からは,防災面での日本の支援,JENESYS2015等の交流の取組に感謝する旨の発言があった。

2 地域・国際情勢

(1)海洋安全保障

安倍総理から,どの海域であれ,沿岸国は,国際法に従い,境界未画定海域において,軍事,民生利用を問わず,海洋環境に恒常的な物理的変更を与える一方的行動を自制すべきである旨述べ,南シナ海において,大規模かつ急速な埋立てや拠点構築,その軍事目的の利用等,現状を変更し,緊張を高める一方的行為が継続している状況に深刻な懸念を表明した。
また,安倍総理から,東シナ海において,中国は,公船による日本領海への侵入,日中の境界未確定海域での一方的な資源開発を継続しており,中国には一方的行動の中止と東シナ海資源開発について協力することで一致した「2008年の合意」の早期実施を求めている旨紹介した。
さらに,安倍総理から,今こそ「海における『法の支配』の3原則」を徹底すべきであるとした上で,中国に対し,国際的な規範を遵守・共有しながら,地域やグローバルな課題に対してより建設的かつ協調的な役割を果たすよう働きかけていく旨述べた。
ASEAN側からは,特に南シナ海問題についての日本の姿勢や海洋能力構築支援に感謝する旨の発言があった。

(2)北朝鮮

安倍総理から,北朝鮮が,引き続き挑発行動を自制し,国連安保理決議等を遵守することの重要性を指摘し,拉致問題の早期解決に向けて引き続き各国の理解と協力を求めた。
ASEAN側から,拉致問題に関する日本の立場を支持する旨の発言があった。

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