ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年10月24日
評価年月日:平成29年7月14日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一
1 案件名
1-1 供与国名
ラオス人民民主共和国
1-2 案件名
中南部地域中等学校環境改善計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,中南部4県(カムアン県,サバナケット県,サラワン県及びチャンパサック県)において,中等学校の施設及び設備を整備することにより,中等教育へのアクセス・教育環境の改善を図り,もって中等教育の質の向上及び教育現場の整備と人材育成に寄与するもの。供与限度額は13.69億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ラオス側により,施設等の運営・維持管理のための費用が継続的に確保される必要がある。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ラオスの基礎教育分野では,初等教育学校数の増加等により,近年,学校環境・アクセスが改善されてきており,初等教育総就学率は2015年に118.4%に達した。他方,前期中等教育総就学率の全国平均は78.1%(2015年)であり,中でも貧困率の高い中南部地域に属する4県(カムアン県,サバナケット県,サラワン県,チャンパサック県)の前期中等教育総就学率は全国平均と比べても特に低い。
- (2)ラオスは2020年までに後発開発途上国(LDC)から脱却するとの国家開発目標を掲げており,同目標を達成するため,「第8次国家社会経済開発計画(2016-2020)」において,「人材開発」や「質の高い教育へのアクセス」を重点課題に掲げている。また,2015年7月に前期中等教育が義務教育化されたことを踏まえた「第8次教育セクター開発計画(2016-2020)」において,上記の国家開発目標を達成するために,中等教育の総就学率を2020年までに85%にまで改善する目標を掲げ,さらに,中等教育の更なる普及に向け,農村地域でのアクセス改善が喫緊の課題であることから,特に農村地域の中等教育施設整備が重要であると位置付けている。
- (3)我が国は,対ラオス人民民主共和国国別開発協力方針(2012年4月)において,重点分野の一つとして「教育環境の整備と人材育成」を掲げており,本事業を通じてラオスにおける中等教育へのアクセス・教育環境の改善を図ることは同方針に合致する。ラオスは,国連安保理改革等の国際場裡において,我が国と協調的な立場をとっているところ,同国の開発ニーズ及び我が国の支援方針に合致する本案件を実施することは,良好な二国間関係の維持・強化に資する。
2-2 効率性
JICA技術協力「初等教育における算数学習改善プロジェクト」(2016年1月~2022年3月)を通じて,小学校の算数教科書及び教師用指導書の作成,現職教員研修の内容改善,教員養成校学生の算数教科知識の向上を支援しており,初等教育から一貫した支援を行うことにより,本事業との相乗効果が見込まれる。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)対象校(37校)における継続使用可能な教室数が212(2016年:実績値)から454(2023年:事業完成3年後)に増える。
- (2)2,620人(2023年:事業完成3年後)の生徒が新たに就学可能となる。
- (3)中等教育の教育環境が改善され,中等教育の質の向上に寄与する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ラオス政府からの要請書
- (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)ラオス国別評価(2013年度)
- (4)メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(2014年度)