ODA(政府開発援助)

平成29年10月11日

評価年月日:平成29年9月5日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

ギニア共和国(以下,「ギニア」という。)

1-2 案件名

第二次首都圏周辺地域小中学校建設計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ギニア共和国の首都コナクリ市において,小・中学校の建設及び教室家具等の整備を行うことにより,教室不足の緩和を図り,もって同市における初等教育及び前期中等教育へのアクセス向上及び質並びにギニアの基礎生活分野の改善に寄与するものである。供与限度額は19.13億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 環境社会配慮カテゴリーはCであり,本計画は,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月公布)上,環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。なお,外部要因リスク等は特段想定されていない。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)2014年から2016年までにかけて,西アフリカ3か国(ギニア,リベリア,シエラレオネ)においてエボラ出血熱が流行し,ギニアの経済状況も著しく悪化した(同国の経済成長率は2.3%(2013年,世銀)から0.1%(2015年,世銀)に低下)。ギニア政府は,「ポストエボラ社会経済復興計画2015-2017」を策定し,これまで基礎的社会サービスへのアクセス強化を中心に復興に取り組んできたものの,未曾有の感染症流行によりギニアが受けた社会・経済的影響は甚大であり,引き続きドナー諸国・国際機関からの復興支援が求められている。
  • (2)ギニア政府が策定した「経済・社会開発国家計画(2016-2020)」では,人材開発(教育環境の整備)を重点課題として位置付け,また,「教育セクタープログラム2015-2017」では,初等教育普遍化及び前期中等教育の推進のため,全国の小学校3,701教室,中学校869教室の建設を行うことを目標に掲げている。これまでの同国政府による取組の結果,初等教育総就学率は70.3%(2001年)から84.5%(2015年),中等教育の総就学率は22.7%(2001年)から38%(2014年)までに改善しているものの,エボラ出血熱流行後の復興のために更なる支援を必要とするギニア政府の予算のみをもって,上記プログラムの建設目標を達成するのは困難な見通しである。
  • (3)近年,就学者数の増加及び人口流入が顕著な首都コナクリ市においては,教育施設の整備が追い付いておらず,教室内の過密化が著しい。特に,同市内の一部の地区(ラトマ地区,マトト地区)においては,1学級あたりの生徒数が標準である48名に対して平均して100名を超える等,劣悪な教育環境の中での就学を強いられている。現在の教育施設の不足に対し,各小学校及び中学校は二部制により対応しているため,生徒の授業時間は十分に確保されていない。また,同地区では,教室不足のため,近隣の私立小学校から教室を間借りしている公立小学校や中学校もあり,生徒の移動のために授業の開始の遅れが発生する等,授業の円滑な実施に支障が生じている。
  • (4)本計画は,小学校及び中学校の建設,教室家具等の整備により生徒の学習環境の改善を図るものであり,我が国のポストエボラ復興支援やTICAD VIで表明した「5万人の職業訓練を含む約960万人の人材育成」を具体化するものであること,また,持続可能な開発目標(SDGs)ゴール4(教育)に貢献すると考えられることから,無償資金協力にて支援する必要性は高い。
  • (5)更に,ギニアは伝統的な親日国であり,国際場裡においても我が国と密接な協力関係にあること,2017年(1年間),ギニアはアフリカ連合(AU)議長国を務めている等,我が国にとっての外交的重要性が高まっていることから,同国支援の意義は大きい。

2-2 効率性

  • (1)本計画の対象校及び同学区の在籍児童・生徒数の推移について,各校において調査するとともに,ギニアにおけるカリキュラム及び教員による実践状況を確認の上,施設の整備等の計画を行った。
  • (2)また,協力準備調査の過程でギニア側から追加要請のあった学校敷地内の給水施設の建設については,先方の優先事項を整理し,コンポーネントから除外すること,また,本計画における機材(黒板,生徒用机椅子,教師用机椅子,キャビネット等)については,小学校及び中学校としての機能に必要最小限のものに絞ることで先方と合意する等,事業規模の適正化を図った。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)2017年と比べて,事業完成3年後の2022年に,対象小学校9校で教室数が66から189に増加し,小学校生徒合計9,072人が使用可能となる。また,対象中学校3校の教室数が15から78に増加し,中学校生徒合計3,744人が使用可能となる。
  • (2)教室の過密化の解消,男女別トイレの整備等により,教育環境が改善し,生徒の学習意欲が向上する。
  • (3)管理棟の整備により,学校長及び教員の執務環境が改善する。また,運営維持管理及び衛生改善にかかる技術指導により,学校関係者の施設の維持管理に対する意識が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ギニア政府からの要請書
  • (2)「第二次首都圏周辺地域小中学校建設計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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