ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年9月5日
評価年月日:平成29年7月14日
評価責任者:国別開発協力第二課長 寺田 広紀
1 案件名
1-1 供与国名
パラグアイ共和国(以下,「パラグアイ」という。)
1-2 案件名
パラグアイ川浚渫機材整備計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,パラグアイにおける河川輸送の大半を担うパラグアイ川流域において,浚渫船一隻及びその他関連機材を供与することにより,河川輸送環境の維持を図り,もってパラグアイの持続的経済開発に寄与するもの。
供与限度額:27億円
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
本計画で供与される機材を効率的に運用するため,パラグアイ政府が必要な予算措置を行い,適切な維持管理が実施されること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)内陸国であるパラグアイでは,河川輸送が最も重要な輸出入経路であり,中でもパラグアイ~パラナ水路は,パラグアイの河川輸送の8割を担う輸出入の大動脈である。同国政府は,「国家開発計画2030」において同水路の円滑航行の維持を重要戦略に位置付け,同国及び南米地域の輸送インフラ整備を推進している。しかし,同水路のうち同国内を流れるパラグアイ川は流量の年間変動が激しく,渇水期においては,流量が1,800立方メートル/秒程度(平均流量4,000立方メートル/秒)まで減少し堆砂が急速に進行する傾向がある。
- (2)パラグアイ川流域及び水路全体の航行を維持するためには浚渫により3m程度の水深を常時確保することが必要であるが,実施機関(パラグアイ国営航行港湾公社)が現有する浚渫船2隻の浚渫能力が不足しているため必要な水深が確保できず,堆砂が船舶の円滑な航行の妨げとなっており,多大な経済損失が生じている。
- (3)かかる状況を受け,パラグアイ政府より同区間の浚渫に必要な浚渫船及び関連機材の供与要請があった。
- (4)本事業は,2014年の同国大統領訪日時の「日本・パラグアイ共同声明」において両首脳は「両国間の投資促進に向けた具体的な取組」を行うことを確認し,安倍総理はパラグアイの内陸開発途上国としての地理的特徴に留意しつつ支援を行うことを表明している。本事業は,こうしたハイレベルのコミットメントの具体的な成果として重要である。
2-2 効率性
- (1)協力準備調査において堆砂状況及び実施機関の能力,体制及び予算(見込みも含む)を詳細に調査し,相手国政府との間で情報共有を綿密に行い,円滑な計画実施体制を構築した。
- (2)過去統計等データ分析による年間必要浚渫土量の確認に加え,河川現地調査を行うことにより浚渫作業の実態の把握に取り組み,利便性を高めるため,浚渫船サイズを決定する際に航路の幅を考慮して船長(垂線間長)を設定する等機材の設計方針へ反映した。
2-3 有効性
本計画の実施により,以下の成果が期待される。
- (1)実施機関による年間浚渫量が約40万立方メートル(2016年実績値)から,事業完成3年後(2023年)に約150万立方メートルへと増加する。
- (2)パラグアイ川のパラナ川合流点からアパ川合流点の間の河川航路において,通年で円滑な航行の維持に寄与する。
- (3)船舶航行が円滑化されることで,河川輸送に係る経費が削減される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)パラグアイ共和国政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)パラグアイ国別評価(2016年度)