ODA(政府開発援助)

平成29年5月2日

評価年月日:平成29年3月6日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件名

(1)供与国名

トンガ王国

(2)案件名

風力発電システム整備計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,トンガ王国本島のトンガタプ島において,風力発電設備及び系統安定化装置等を整備することにより,再生可能エネルギーの導入促進及び電力供給源の多様化を図り,もって同国のエネルギーの安定供給及び環境・気候変動対策に寄与するもの。供与限度額は21.00億円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 風車や系統安定化設備等の運営維持管理に係る予算配賦と適切な人員配置がトンガ側よりなされる必要がある。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア トンガ王国はエネルギー資源に乏しく,その93%以上を輸入ディーゼル燃料に依存しており,国際的な石油価格の変動等外部要因の影響を大きく受けやすいため,エネルギー安全保障上の脆弱性を抱えている。加えて,その地理的環境からディーゼルの輸送コストも要することから電力料金が割高であり,国家財政や国民の負担となっている。
  • イ こうした状況を受け,トンガ政府は2010年6月に「トンガ電力ロードマップ2010-2020」(以下,「TERM」という。)を策定し,2020年までに電力供給の50%(27ギガワット時)を再生可能エネルギーで賄うことを目標として掲げている。
  • ウ 風力発電は環境負荷の少ない電力供給源であり,ディーゼル燃料の使用量削減が期待される。また太陽光発電による電力供給が困難な夜間の時間帯も発電が可能なことから,夜間の電力供給も可能である。
  • エ 本事業は,再生可能エネルギーの導入促進,及び電力供給源の多様化を図ることで,当国電力セクターの課題解決に寄与するものであり,TERMにおいても優先度の高い事業として位置付けられている。

(2)効率性

  • ア 課題別研修「マイクログリッドにおける再生可能エネルギー導入のための計画担当者研修」において本事業に関連する技術の管理能力向上を図る予定。
  • イ 無償資金協力「マイクログリッドシステム導入計画」において導入されたシステムと本事業で導入予定の機材が接続される予定。

(3)有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • ア 再生可能エネルギー発電量の増加(再生可能エネルギー導入割合(発電電力量ベース)が2016年実績値:7.42%年から事業完成3年後(2022年)目標値:13.80%)により,ディーゼル発電のための燃料消費量が削減(事業完成3年後(2020年)目標値:1,079キロリットル/年)され電力費用負担が軽減される。
  • イ 化石燃料の削減に伴い,温室効果ガスの排出抑制を通じた気候変動の緩和に資する。
  • ウ 電力供給源が多様化することで,エネルギーが安定して供給される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)トンガ政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)太平洋島嶼国のODA案件に関わる日本の取組の評価(2015年度)
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