ODA(政府開発援助)

平成28年3月28日

評価年月日:平成28年1月18日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件名

(1)供与国名

東ティモール民主共和国

(2)案件名

東ティモール国立大学工学部新校舎建設計画

(3)目的・事業内容

 東ティモール国立大学(以下「UNTL」という。)工学部において新校舎建設及び機材供与を行うことで教育環境の改善を図り,もって当該国における産業振興に貢献する人材の輩出に寄与し,経済活動活性化のための基盤づくりに寄与するもの。供与限度額は22.31億円。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア 施設整備に必要な建設予定地の既存構造物の撤去及び整地がUNTLによってなされる必要がある。
  • イ UNTLが建設許可・環境ライセンスを取得する必要がある。
  • ウ 整備した施設,機材を適切に活用できるよう,UNTLがカリキュラムや実験要領等の整備を進める必要がある。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア 東ティモールは2002年の独立回復以来,石油資源の開発が進み,資源収入のGDPに占める割合は2012年時点で約69%である。2006年以降,GDP年率5%~15%(資源収入を含まない)の好調な経済成長を続けており,復興段階から中・長期の経済社会開発段階へ移行し始めた。
  • イ 2011年に政府が発表した「戦略開発計画(Strategic Development Plan(2011-2030)」(以下「SDP」という。)では,2030年までに「上位中所得国」になることを目標に掲げ,石油収入への過度の依存からの脱却,基幹産業の確立,産業の多様化を開発の重点課題としている。また,これら重点課題の解決に向けて,産業政策の確立とともに,高度な技術を有する産業人材育成に注力することとし,SDPにおいても,「将来のリーダーとなる人材育成に必要な高等教育機関強化をUNTLから始める」こととしている。
  • ウ 現在,東ティモールには11の高等教育機関が存在するが,UNTL工学部は唯一の国立大学工学部として,SDPに沿った高度な技術を有する産業人材を輩出すべく,その学生数を現在の約1,200名から2021年には約1,400人まで増加させる予定であり,最終的には4,500名規模となることを目指している。また,2012年には地質・石油学科を新設するとともに,2015年現在,3年制から4年制への移行を図っている。
  • エ しかし,現学生数に対し,教室数は不足しており,25名用の教室で35名が学習する,あるいは,実習棟を臨時教室として利用するなど劣悪な学習環境となっている。また,教育用機材についても,量的・質的に十分な状況にはなく,今後更なる学生数の増加に伴い,機材不足がより深刻になる見込みである。したがって,校舎新設及び教育用機材の提供によりUNTLの教育の環境の改善を図る必要がある。

(2)効率性

  • ア UNTLの既存大学施設の現状及び活動状況を考慮し,UNTL工学部の運営能力に適合した施設規模及び機能とする。
  • イ 中庭等の建物以外の外部空間を活用し,限られた建物規模ながらも施設に求められる機能を充足できる計画とする。
  • ウ 酷暑環境の中で省エネに配慮し,快適な学習・執務環境が得られるよう,施設の断熱や日射の遮蔽,自然換気を適切に行う。LED照明等の高効率な設備を導入し,エネルギーコストの低減に努める。
  • エ インフラや既存施設の管理状況を考慮し,維持管理の容易性やコスト低減に留意する。

(3)有効性

 本件の実施により、以下の成果が期待される。

  • ア UNTL工学部の学生数の増加
    基準値(2015年)1,201人→目標値(2021年:事業完成3年後)1,400人
  • イ UNTL工学部の卒業研究数
    基準値(2015年)0/年(注)→目標値(2021年:事業完成3年後)300/年
    (注)3年制から4年制への移行中であり,2015年時点では4年制の卒業生未輩出。
  • ウ 学生一人当たりの床面積
    基準値(2015年)5.6m2/人→目標値(2021年:事業完成3年後)10.2m2/人
  • エ 定性的効果
    実践的教育が実施され,産業振興に貢献する人材が輩出する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)東ティモール民主共和国政府からの要請書
  • (2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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