ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成28年3月16日
評価年月日:平成28年1月7日
評価責任者:国別開発協力第三課長 今福 孝男
1 案件名
1-1 供与国名
ベナン共和国
1-2 案件名
グラズエ市及びダッサズメ市における地下水を活用した飲料水供給計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,グラズエ市及びダッサズメ市において,新規水源を開発し,配水管及び高架水槽等の水道施設を整備することにより,対象地域における給水量の増大,対象地域における水因性疾患の削減,住民の生活環境改善及び水汲み労働の軽減を図り,もって国民の生活改善に貢献する持続的成長及び貧困削減に寄与するもの。供与限度額10.71億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画は,環境社会配慮カテゴリー分類がBであり,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。
- (2)土地収用等に係るベナン側負担事項が適切に実施されることが前提条件であり,本計画完成後は地下水を継続的にモニタリングしながら取水量を調節する必要がある。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ベナン政府はミレニアム開発目標達成のための取組として,国家開発計画「貧困削減のための成長戦略(SCRP2011-2015)」や国家水政策において安全な水へのアクセス改善を重要課題として掲げている。
- (2)全国給水率は57%(1990年)から78%(2015年WHO/UNICEF)に改善されたが,本計画の対象であるグラズエ市及びダッサズメ市の給水率はそれぞれ47%,58%と依然として全国給水率より低く,また,ベナン水道公社(以下「SONEB」)が管轄する全国の都市給水施設の一人一日平均給水量は39.40L/人/日(2012年と2013年の平均値,SONEB)であるのに対し,対象2市の同施設では10.4L/人/日(SONEB)と,一人当たりの給水量も非常に少ない。さらには,昨今の人口増加に伴う水需要の増加に加え,既存水源井戸の過剰揚水等に伴う揚水量の減少により,本計画対象地域の給水事情はさらに厳しくなっている。
- (3)かかる状況下,安全な水へのアクセス確保に向け,本計画対象地域において他国ドナーによる複数の表流水開発計画が策定されているが,実施の目途は立っておらず,本計画を通じた新規水源開発と給水施設の拡張による給水量の増大が強く求められている。
2-2 効率性
試掘により揚水量の確認ができた井戸のうち,維持管理及び敷設する導水管の長さにかんがみ,市街地に近い井戸を活用する。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)本計画完成3年後で,一日平均の取水量が,グラズエ市において240m3/日(2014年)から590m3/日(2021年),ダッサズメ市において352m3/日(2014年)から1,352m3/日(2021年)に改善される。
- (2)住民の衛生状況が改善され,水因性疾病の罹患率が減少する。
- (3)児童及び女性の水汲み労働が軽減する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ベナン政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書