ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成28年3月4日
評価年月日:平成28年1月20日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治
1 案件名
(1)供与国名
タジキスタン共和国
(2)案件名
ソグド州及びハトロン州東部道路維持管理機材整備計画
(3)目的・事業内容
本計画は,ソグド州及びハトロン州東部において,幹線道路整備を担う道路維持管理局に道路維持管理機材を供与することにより,同管理局の道路維持管理能力の向上及び物流の効率化を図り,もってタジキスタン全土及び周辺地域の運輸セクターの経済インフラ整備に寄与するもの。供与限度額は19億9,200万円であり,道路維持管理機材(ブルドーザー,エクスカベーター,ダンプトラック,除雪・融雪機材,災害対応機材等)の供与及びアスファルト・骨材プラントの設置を行う。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
以下の事項がタジキスタン政府により実施される必要がある。
- ア プラント設置用地の確保
- イ 整地及び環境関連手続,免税措置の実施
また,治安情勢の急変にも留意しつつ案件を実施する必要がある。
2 無償資金協力の必要性
(1)必要性
- ア 内陸国のタジキスタンにおいては,道路網は国内の物流だけでなく周辺国との交易を担う主要な経済インフラとなっており,同国政府は「2025年までのタジキスタン共和国国家運輸開発特別プログラム」(2011年)において,幹線道路の建設・改修及び維持管理を重要目標として位置付けている。
- イ 他方で,道路網の大部分は旧ソ連時代に建設されたものであり,経年及び1991年の独立後の内戦による損傷等が移動・輸送コストの増大をもたらしている。こうした課題を解決するため,道路の補修と維持管理に必要な機材・人材の更なる質の向上が急務である。
- ウ かかる背景の下,タジキスタン政府より我が国政府に対し,ソグド州及びハトロン州道路維持管理局への機材整備の要請がなされた。ソグド州及びハトロン州東部は同国全人口の約35%を占める約300万人が居住する人口密集地であり,近隣諸国・国内各州に通じる約5,800kmの道路を始め,国際・国内物流の要となっている。
- エ 本計画は,ソグド州及びハトロン州東部の幹線道路整備を担う道路維持管理局に道路維持管理機材を供与することにより,同管理局の道路維持管理能力の向上及び物流の効率化を図り,もってタジキスタン全土及び周辺地域の運輸セクターの経済インフラ整備に寄与するものであることから,実施の必要性は高い。また,本件は,2015年10月の安倍総理のタジキスタン訪問のフォローアップとしても位置付けられ,高い外交的効果が期待される。
(2)効率性
- 維持管理能力の向上の確保
供与機材が十分に整備され,適切に活用されるよう,ロシア語の機材維持管理マニュアルの作成及び初期操作・運転指導を行うとともに,機材管理に係る技術支援を実施する。
(3)有効性
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
- ア 道路維持管理機材の整備により,年間の道路補修(オーバーレイ)実施距離がソグド州管理局で8km(2014年)から13km(2020年)に,クリャブ管理局で7km(2014年)から8km(2020年)に,それぞれ増加する。
- イ 同様に,年間のポットホール(穴)補修面積が,ソグド管理局で71,000m2(2014年)から109,000m2(2020年)に,クリャブ管理局で24,000m2から48,000m2(2020年)に,それぞれ増加する。
- ウ 災害・積雪・雪崩時における道路の通行確保体制強化,舗装補修の強度・耐久性の向上,路面の凸凹が改善されることによる走行性(乗り心地)の向上及び物流の効率化・改善に寄与する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)タジキスタン政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)ドゥスティ~ニジノピャンジ間道路整備計画の事業実施報告書(道路維持管理に関する評価)