ODA(政府開発援助)

平成28年1月12日

評価年月日:平成27年2月12日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1 案件名

(1)供与国名

エジプト・アラブ共和国

(2)案件名

カイロ大学小児病院外来診療施設建設計画

(3)目的・事業内容

 本計画は、カイロ市において、カイロ大学小児病院の内科系外来診療棟の整備及び関連機材の供与を行うことにより外来診療サービスの改善がされること、また、研修機能を整備することにより大学病院としての教育機能が強化されることを目的とする。供与限度額は、15.60億円。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア 本計画は、内科系外来診療棟の整備及び関連機材の供与を主たる内容としており、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
  • イ エジプト政府により、電気・上下水道の引き込み、既存機材の移設等の先方負担事項が確実に実施される必要がある。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア エジプトの母子保健関連指標は未だ改善が必要な状況にある。また、公的医療機関では医療機材・医薬品等の不足、地方における専門医の不在といった問題点が指摘されている。近年の急激な人口増加及び都市集中により、都市の公的医療機関へ患者が集中し、収容能力を超えて患者を受け入れる病院も多いなど、多くの課題がある。
  • イ 本計画の対象であるカイロ大学小児病院は、貧困層に対する小児医療サービスの中核的役割を担っているが、建設後30年以上が経過し建物は老朽化し、また患者の増加によるスペース不足から内科系外来診療科が分散して配置される等、患者導線が複雑化する中での診療を強いられており、外来診療サービスや病院業務効率の改善が緊急の課題となっている。

(2)効率性

 対ベナン無償資金協力「ラギューン母子病院整備計画」のJICAによる事後評価等では、病院整備と併せて総合的品質管理手法である5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)とカイゼンを段階的に導入したことにより、病院職員の意識が向上し、病院環境の改善に寄与したことが報告されている。本計画では同評価結果を踏まえ、スリランカにおける第三国研修によって総合的品質管理手法5S-KAIZEN-TQMに係るカイロ大学小児病院関係者の能力向上を図ることにより、本計画を効率的に実施する。

(3)有効性

  • ア 2013年(基準年)から2020年(目標年:事業完成後3年後)の間で、本件実施により、以下のような成果が期待される。
    • (ア)平米当たりの外来患者数が89人から48人に改善。
    • (イ)一般X線撮影数が5,061件から8,950件に増加。
    • (ウ)超音波検査数が17,445件から20,300件に増加。
    • (エ)生化学検査数が189,521件から221,740件に増加。
    • (オ)脳波検査数が377件から2,000件に増加。
    • (カ)新施設における研修の実施数が0回から233回に増加。
  • イ 病院環境およびサービスの質改善により、患者の満足度及び従業員の満足度・モチベーションが向上する。
  • ウ 研修室が整備され研修が実施されることにより医療従事者の能力が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等


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