ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年11月17日
評価年月日:平成27年11月9日
評価責任者:国別開発協力第1課長 原 圭一
1 案件名
1-1 供与国名
ミャンマー連邦共和国
1-2 案件名
洪水及び地滑り被害地における学校復旧計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,洪水及び地滑りによって被害を受けた学校の復旧及び学習環境の整備を行うことによって,被災地の子どもの教育環境の改善を図り,被災地域の復旧・復興及び国民の生活向上に寄与することを目的とするミャンマー教育省の計画に対して財政支援を行うもの。供与限度額は,15億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
以下の事項がミャンマー政府により実施される必要がある。
- (1)我が国に対して要請のあった洪水及び地滑り被害を受けた校舎493校を優先的に再建及び修復し,学習環境の整備による教育環境の改善の実施
- (2)我が国支援のビジビリティの確保
- (3)迅速かつ円滑な実施のためのモニタリングの確保
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ミャンマーは2015年6月に「教育基本法」の改定案を作成し,現在,国会において同法に関連する「基礎教育法」案を審議中である。「基礎教育法」案には,基礎教育期間を,これまでの11年間から12年間にし,さらに幼児教育1年間を加えた計13年間にすることが規定されており,基礎教育期間の2年増加に伴い学校施設の増強・整備が急務となっている。また,近年のミャンマーの経済成長に伴い,就学率の向上が重要課題の一つとされており,初等・中等教育施設の増設,学習環境整備の必要性が生まれている。
- (2)このような状況の中,2015年7月に発生した洪水により,12州・地域(エーヤワディー地域,バゴー地域,ヤンゴン地域,マグウェイ地域,マンダレー地域,ザガイン地域,チン州,カチン州,カレン州,モン州,ラカイン州,シャン州)において,約162.4万人が被災し,学校施設については4,116校(うち608校が損壊)が被害を受け,我が国に対して,うち493校の学校校舎再建・復旧の要請があった。早急に学校の復旧及び学習環境の改善に着手しなければ,子供たちが適切な学習環境下で教育を受ける機会が失われることとなる。
- (3)本計画は,洪水及び地滑りによって被害を受けた学校の復旧及び学習環境の改善を行うことにより,被災地での教育環境の改善を図ることにより,被災地域の復旧・復興及び国民の生活向上に貢献することが期待される。
2-2 効率性
- (1)対象校の選定:
- 対象校の選定に当たっては,ミャンマー教育省,各国ドナー,国際機関及びNGO等との連携を密にしながら相乗効果を高める。
- (2)迅速かつ円滑な実施及びモニタリング:
- 在ミャンマー日本大使館及びJICA事務所,既存の専門家及び実施中の技術協力プロジェクトの活用や調査団等の派遣を通じ,ミャンマー教育省と連携を図り,迅速かつ円滑な実施及びモニタリングを行う。
2-3 有効性
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)洪水及び地滑り被害を受けた地域の児童・生徒が適切な教育を受ける機会が回復される。
- (2)上記(1)を通じ,被災地域の復旧・復興が促進される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ミャンマー連邦共和国政府からの要請書
- (2)JICAの概要資料(JICAを通じて入手可能)