ODA(政府開発援助)

平成27年10月19日

評価年月日:平成27年7月4日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

ミャンマー連邦共和国

(2)案件名

東西経済回廊整備計画

(3)目的・事業内容

 モーラミャインとミヤワディを繋ぐ東西経済回廊のミャンマー部分のうち,ボトルネックとなっている区間の橋梁等を整備することにより,交通需要増加への対応及び国内物流の効率化を図り,もってインドシナ諸国との貿易の活性化及び直接投資の流入促進に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事・資機材調達
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    338.69億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア 環境影響評価:本計画は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に掲げる道路・鉄道・橋梁セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。また,本計画にかかる環境影響評価(EIA)報告書はミャンマー国内法上,作成が義務付けられていない。
  • イ 用地取得及び住民移転:本計画では約8.4haの用地取得並びに42名の非自発的住民移転が生じる見込みで,ミャンマー国内手続き及びJICAの「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に準拠して作成された「簡易住民移転計画」に沿って適切な補償及び住民移転が進められる。
  • ウ 外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
     経済の拡張及びASEAN経済共同体の設立(2015年)により,ミャンマーの主要貿易国タイとの貿易量は大幅な増加が見込まれている。現在,ミャンマー・タイ間の貿易は海上輸送が中心だが,輸送距離は約4,000kmと長く平均21日を要するため,陸上輸送へのシフトが期待されている。一方,陸路はタイ側の整備が進む反面,ミャンマー側は急勾配・カーブ,1車線の山越え,雨期の道路水没,橋梁重量制限等,ボトルネックが多数あるため,ヤンゴン・バンコク間870kmの輸送に平均3.5日を要する上,費用は海上輸送の3倍となっている。
     地域連結性の観点でも,東西経済回廊はメコン地域6カ国で整備の重要性が合意されており,ミャンマー側区間の早期対応が喫緊の課題となっている。
  • イ 我が国の基本政策との関係
     2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針においては,「持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」を重点分野の一つとしている。本計画は,主要幹線道路である東西経済回廊を整備することによりミャンマーの持続的経済成長の促進に寄与するものであり,同方針に合致している。

(2)効率性

 本計画では,アジア開発銀行やタイ政府による回廊整備,並びにミャンマー政府が民間企業を通じて行う道路の拡幅等との平仄をとり,一体的且つ迅速な整備を通じた案件実施により一層の効率性を確保する。(各々の事業の重複はない)

(3)有効性

 本計画により,事業完成1年後の2024年には,ジャイン・コーカレー橋,アトラン橋,ジャイン・ザタピィエン橋の1日あたり交通量は,それぞれ10,490台(2014年実績値比+8,696台),7,270台(同+6,094台),6,930台(同+5,754台)となる見込み。さらに,20トン以上の重車両について,モーラミャイン・コーカレー区間(エインドゥ経由)の走行費用は,1台あたり63,200チャット(67,200チャット減額),同区間の走行時間は2.04時間(2.49時間短縮)と大幅に改善し,貿易の活性化及び直接投資の流入促進が見込まれる。また,ミャンマーの経済発展及び国民生活の向上を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書,「メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(第三者評価)」報告書(PDF)別ウィンドウで開く,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く」(2010年4月公布),その他国際協力機構より提出された資料。

 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。

 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。


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