ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年10月9日
評価年月日:平成27年1月9日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史
1 案件名
(1)供与国名
ケニア共和国
(2)案件名
ナイロビ市医療・有害廃棄物適正処理施設建設計画
(3)目的・事業内容
本計画は,本邦技術を活用した医療廃棄物処理場等の建設及び処理場運営により,ナイロビ市における医療廃棄物の処理能力を向上し,同市及び同市周辺地域の住民生活及び周辺環境の改善を図ることを目的とする。供与限度額は16.20億円。
本計画では,被援助国政府の代理人として業務を行う調達代理機関を通じた調達代理方式を採用している。被援助国政府には,外務省がふさわしいと判断した調達代理機関を推薦している。また,本計画実施後は,事業の運営・維持管理のための本邦企業を含む特別目的会社である民間会社が設立される。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
調査段階において調達代理機関が契約するコンサルタントによる事業性審査を通じて事業性の有無を確認することが必要となる。
2 無償資金協力の必要性
(1)必要性
- ア ケニアの首都ナイロビ市は,人口約314万人のケニア最大の都市であり,2030年には594万人までの増加が見込まれ,廃棄物の発生量が現在の1,848トン/日から2030年には3,990トン/日までの増加が見込まれている。他方,現在,既存の廃棄物最終処分場に処理容量の3倍を超える廃棄物が持ち込まれ,土壌汚染や悪臭等の発生等の都市衛生上の大きな課題となっている。
- イ 特に高度な処理能力が求められる医療廃棄物に関しては,現在,ナイロビ市内で年間約1万トン発生しているが,十分な処理能力を有する施設が不足し適切な処理が為されないまま市内に放置されている。これは有害金属による土壌汚染やダイオキシン等の拡散等を引き起こすだけでなく,二次感染までも引き起こす可能性があり,ナイロビ市民の生活環境や周辺環境に悪影響を与えている。
- ウ ケニアの国家開発計画として2008年に発表された「Vision2030」では,持続可能な経済成長のために環境保全が重要視され,都市部における汚染対策及び廃棄物管理体制の改善が必要とされている。特にナイロビ市の新規最終処分場の建設及び廃棄物管理体制の確立が最優先事業として位置付けられている。
- エ かかる状況下,ケニア政府は,本邦技術を用いて,医療・有害廃棄物処理能力を向上させるとともに,都市衛生環境の改善及び二次感染リスクの軽減を図るために,我が国無償資金協力による高度処理焼却施設等の建設について要請越したものである。
(2)効率性
- 本計画では,ケニア政府のニーズに沿って,本邦企業による技術を活用可能な高度焼却施設を建設することとした。また,現在実施中のナイロビ市廃棄物管理能力向上プロジェクトと連携し,案件の効率的な実施を図る。
(3)有効性
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
- ア 年間約70万トン(うち医療廃棄物約1万トン)発生しているナイロビ市内の廃棄物のうち,医療廃棄物を含む有害廃棄物を年間約1.2万トン処理できるようになる。
- イ 上記により,土壌汚染,大気汚染,悪臭発生及び医療廃棄物による二次感染のリスクが軽減され,ナイロビ市の都市衛生環境が改善されるとともに,ケニアの環境管理能力が向上する。
- ウ 本邦企業が我が国の技術を活かして事業を運営することにより,本邦企業のケニアへの展開が促進される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ケニア共和国政府からの要請書
- (2)本邦企業及び調達代理機関からの聴取内容