ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年8月3日
評価年月日:平成27年5月18日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史
1 案件概要
(1)供与国名
アンゴラ共和国
(2)案件名
電力セクター改革支援プログラム
(3)目的・事業内容
アンゴラにおいて電力及び投資環境に係る政策制度等の改善を行うことにより,これらのセクターの改革を図り,もって同国の持続的な経済発展に寄与するものである。
- ア 主要事業内容
- 一般財政支援
- イ 供与条件
供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件 236.4億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- ア 環境影響評価(EIA):本件は「国際協力機構環境社会評価ガイドライン」上,環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため,カテゴリCに該当する。
- イ 外部要因リスク:特になし。
2 資金協力案件の評価
(1)必要性
- ア 開発ニーズ
アンゴラの電力セクターは,発電容量の不足(現状2,120MW),電力へのアクセス率の低さ(全国平均30%),非効率な送配電網(送配電ロス率55%)等の問題を抱えており,政府は2025年までに発電容量を8,742MW,電力アクセス率を60%に引き上げることを目標に,優先的に取り組むべきアクションとして、電力セクターの構造改革,PPP等民間セクターの活用を含めた発電,送配電に係るプロジェクトの実施促進等を掲げている。同政策には,インフラ整備とともに上記目標を実現するために必要な政策アクションとして,電力セクターに係る法制度の整備,民間投資を呼び込むための投資環境(189カ国中181位,世銀のDoing Business2015)の改善等が掲げられている。また,アンゴラ政府は近年の原油価格の下落を原因とする歳入の低迷によって緊縮財政を余儀なくされている。 - イ 我が国の基本政策との関係
我が国は,アンゴラに対する支援に関し,アンゴラが復興段階から開発段階への移行期にあるとの認識に立ち,(ア)「経済開発」(イ)「平和の定着」(ウ)「人間の安全保障」の3分野を援助重点分野に掲げており,本件は(ア)に合致する。
(2)効率性
技術支援により専門家を派遣し,政策アクション達成状況のモニタリング及び円借款に要する手続きを指導する等の案件管理体制を強化することにより効率性を確保する。
(3)有効性
電力セクターの構造改革,法制度改善,同セクターへの民間投資の促進を通じて電力セクターの効率性の向上,及び投資促進に向けた法制度等の改善による投資環境の改善,公共財政の持続性の改善が図られ,同国の持続的な経済発展に寄与することが期待される。さらに,アンゴラの投資環境を改善することにより,本邦企業を含む民間セクターのビジネス環境の整備にも貢献することが期待される。
3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表
を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。