ODA(政府開発援助)

平成27年6月24日

評価年月日:平成27年3月25日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1 案件名

1-1 供与国名

バングラデシュ人民共和国

1-2 案件名

ダッカ及びラングプール気象レーダー整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、ダッカ及びラングプールの既設の気象レーダーシステムを気象ドップラーレーダーシステムに更新することにより、気象レーダー観測網における精度の高い気象観測・予測情報の安定的な提供を図るもの。この協力により、気象災害による被害の軽減及びバングラデシュにおける社会脆弱性の克服に寄与することが見込まれる。
 供与限度額は28億8,100万円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 特記すべき事項はない。

2.無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)インド洋に面したバングラデシュでは、その地理的特性から、洪水・サイクロンなどの自然災害が多く発生する。これに対し、同国の気象局は、地上観測所、バルーン観測に加え、気象レーダーからのデータを基に気象観測・予測を行い、洪水予警報センターや災害管理局の防災関連機関と連携しながら、洪水予測に必要な情報提供及び関係機関・メディアへの情報伝達を行っている。
  • (2)他方、既存のレーダーでは風の観測ができず、また運用開始から約15年が経過したことによるシステムの老朽化が進み、故障等による稼働停止や観測精度の低下など、気象観測・予測に支障が生じている。また、ダッカでは、都市化に伴う環境変化により、気象レーダーの電波に障害が発生している。このような事態に対し、バングラデシュ全土、特に急速に拡大する首都圏の住民を災害から守るため、精度の高い気象観測・予測情報を安定的に提供することが必要とされている。
  • (3)本計画は災害被害の低減に資するものであり、同国の開発政策に合致するとともに、防災という地球規模課題に対応するものであり、早急な対応が必要であり、個人の生命や生活に対する脅威への対応という人道上のニーズからも実施意義は高い。

2-2 効率性

 本計画では、実施機関の人員体制を確認した上、機材の運用維持管理計画において具体的な拡充体制案について実施機関と合意を得ることで、機材が適切に維持管理され、最大限有効活用されるようにしていることから、高い効率性が見込まれる。

2-3 有効性

 本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

  • (1)新たに半径200km内における最大75m/秒までの風速観測が可能となり、雨量強度1mm/h以上の降雨探知範囲が半径350kmから450kmに拡大する等、より正確で早期の警戒情報の発信が可能となり、災害対策及び避難活動支援等が適時に開始され、サイクロンや洪水等の気象災害の被害が軽減される。
  • (2)ドップラーレーダーが3基から5基に増加することにより、バングラデシュ全土の観測能力(レーダーデータ合成図)が向上する等、詳細な風向・風速等の観測が可能になることによって、航空機離発着の安全性が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)バングラデシュ政府からの要請書
  • (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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