ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年5月26日
評価年月日:平成27年3月9日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓
1.案件名
1-1.供与国名
バングラデシュ人民共和国
1-2.案件名
廃棄物管理機材整備計画
1-3.目的・事業内容
本計画は、廃棄物収集車両の老朽化が進む南北ダッカ市及びチッタゴン市において廃棄物収集車両を供与することにより、廃棄物運搬能力の改善を図るもの。この協力により、廃棄物収集車両150台を供与し、併せて導入車両に係る配車計画の策定支援及び維持管理能力の強化を行うことにより、地域の生活環境改善に寄与することが見込まれる。
供与限度額は14億8,600万円。
1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
- 外部条件:
- バングラデシュ政府並びに南北ダッカ市及びチッタゴン市の廃棄物関連政策が大きく変更されないこと。バングラデシュの治安・政治情勢が極端に悪化しないこと。
2.無償資金協力の必要性
2-1.必要性
- (1)バングラデシュでは、都市への急速な人口集中や市街地の拡大に伴い、都市における廃棄物増大、スラム拡大など都市環境の悪化が深刻な問題になっている。とりわけ首都の南ダッカ市、北ダッカ市(以下「南北ダッカ市」という。)及び第二の都市であるチッタゴン市では、人口急増と経済発展に伴う廃棄物の増大による住環境の悪化は緊急に取り組むべき課題である。
- (2)バングラデシュ政府は、南北ダッカ市において廃棄物マスタープランの策定、収集車両の増加、処分場整備等を図ってきたが、廃棄物管理の実施体制の脆弱さ、廃棄物収集運搬や清掃に関する機材の不足等、依然として課題を抱えている。特に、南北ダッカ市における廃棄物収集車両は老朽化したものが多く、廃棄物の収集率は7割弱に留まっている。このような事態を受け、都市環境改善のための適切な廃棄物管理が必要とされている。
- (3)また、本計画は環境・気候変動対策(緩和)という地球規模課題に対応するものであり、早急な対応が必要であるとともに、地域の衛生・生活環境の改善という人道上のニーズからも実施意義は高い。
2-2.効率性
本事業では、技術協力プロジェクトと連携・調整しつつ、廃棄物収集・運搬、安全管理、自治体との協議や住民への啓発・教育の実施等を含め、総合的に廃棄物管理能力向上を図ることにより、高い効率性が見込まれる。
2-3.有効性
本件の実施により、以下のような成果が期待される。
- (1)南北ダッカ市及びチッタゴン市における廃棄物収集量が3都市併せて4,547トン/日(2014年)から6,377トン/日(2019年)に、また、収集率が68%(2014年)から84%(2019年)に増加する。(各都市の増加の内訳は以下のとおり。)
- 廃棄物収集量(トン/日):南ダッカ市(1,991→2,475)、北ダッカ市(1,356→2,040)、チッタゴン市(1,200→1,862)
- 廃棄物収集率(%):南ダッカ市(66→75)、北ダッカ市(65→85)、チッタゴン市(75→98)
- (2)対象地域における衛生・生活環境及び住民の健康状態が改善される。
- (3)メタンガス発生等の公害防止を通じて、気候変動の緩和を支援する。
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)バングラデシュ政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)