ODA(政府開発援助)

平成27年4月28日

評価年月日:平成27年3月9日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1.案件名

(1)供与国名

ベナン共和国

(2)案件名

アトランティック県アラダ病院建設・整備計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,アトランティック県アラダ市において,新たに拠点病院を整備することにより,当該地域における保健行政能力の強化及び医療サービスの改善を図り,もって母子保健を含む保健医療サービスへのアクセス改善に寄与することを目的としている。供与限度額は19億円である。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がベナン共和国政府により実施される必要がある。

  • (ア)先方政府の負担事項(整地,インフラ引き込み等)の予算が確保されること。
  • (イ)必要な人材配置がなされること。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • (ア)ベナンでは,妊産婦死亡率は340(出生10万件あたり),5歳未満児死亡率は90(出生1千件当たり,共にWHO/2012),と高く,「国家保健開発計画」の優先課題として「妊産婦及び5歳未満児死亡率の削減」を掲げているが,ミレニアム開発目標(MDGs)達成が困難な状況にある。
  • (イ)ベナンには,34か所のゾーンがあり,各ゾーンには拠点病院(HZ)の設置が定められ、保健省は国内未整備ゾーンのHZの整備を進めている。本計画の対象地域であるアトランティック県は,経済都市コトヌが位置するリトラル県に隣接し,同国において最も人口が多く(約140万人),2002年から2013年の人口増加率は5%で,今後,人口増加とともに保健医療サービスのニーズ拡大が予想される。また,県内3つのゾーンのうち,アラダ,トッフォ,ゼの各ゾーンにはHZがないため,緊急帝王切開や交通外傷手術,輸血等の処置が必要となった場合は,他ゾーンのHZや大学病院まで2時間以上かけて搬送せねばならず,妊産婦や新生児死亡の増加要因のひとつとなっている。加えて,これら患者を受ける側の周辺病院も,混雑により適切なサービスの提供に支障を来しており,対象及び周辺ゾーンにおける母子保健を含む医療サービスの実施体制の強化が求められている。

(2)効率性

  • (ア)対ベナン共和国国別援助方針(2012年12月)では,「保健・医療」を重点分野の一つとし,レファラル体制の強化を通じ,母子保健を含む保健医療サービス提供の拡充を目指す「母子保健プログラム」を実施してきた。これまでに無償資金協力「ラギューン母子保健病院整備計画」(2007),個別専門家派遣「母子保健アドバイザー」(2008~現在)などの実績があり,本計画は,「母子保健プログラム」の中核案件として,これまでの実績を踏まえつつ実施する。
  • (イ)同国の保健セクターに対して,WHO,国連人口基金,アフリカ開発銀行,イスラム開発銀行等が支援しており,これらの支援との相乗効果により,医療サービスのアクセス改善等の効果を最大限高めることとする。

(3)有効性

 本件の実施により、以下のような成果が期待される。

  • (ア)本計画完成3年後には,外来患者数7,300人/年,入院患者数2,140人/年,正常分娩数560人/年,帝王切開術数440件/年及びラボ検査総数15,800件に増加することが期待できる。
  • (イ)地域の妊婦の緊急時,交通事故等の際,2~4時間かかっていた他ゾーンの病院への搬送時間が大幅に短くなることで,患者および家族の身体的,経済的負担が減る。
  • (ウ)アラダ,トッフォ及びゼの各ゾーンからの患者を受け入れていた他ゾーンの病院の慢性的な混雑が緩和される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ベナン共和国政府からの要請書
  • (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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