ODA(政府開発援助)

平成27年4月24日

評価年月日:平成26年3月1日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1.案件名

1-1.供与国名

モザンビーク共和国

1-2.案件名

ナカラ回廊送変電網強化計画

1-3.目的・事業内容

 モザンビークのナンプラ州において新規変電所の建設及び既存の変電所の強化を行うことにより,電力需要が着実に増加する北部系統への電力供給の向上・安定を図り,もって同国北部地域の地域住民の生活向上及び経済活動の促進に寄与するもの。
供与限度額:20.12億円

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)以下の事項が,モザンビーク政府により実施される必要がある。
    • ア 本計画により建設及び改修された変電所を適切かつ継続的に維持管理すること。
    • イ 活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
  • (2)本計画はJICA環境社会配慮ガイドラインに掲げる送変電・配電セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。他方,工事期間中は実施機関であるモザンビーク電力公社と施工業者が大気質,騒音・振動,廃棄物についてモニタリングし,供与後はモザンビーク電力公社が廃棄物についてモニタリングを実施する。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

  • (1)モザンビークの電力系統は,南部系統と中・北部系統の2系統に分離されており,2012年の中・北部州の電化率は約14%と南部州の約50%に比べて著しく低い状況にある。中・北部系統の中でも,天然資源や農業開発のポテンシャルを有するナカラ回廊地域(北部5州)の電力需要は,今後十年間で急増することが見込まれている。
  • (2)その一方で,電力供給設備については,現在同国最大の電源であるカオラバッサ水力発電所が中・北部系統に接続されているものの,現状以上に中・北部州の電化に活用することができない状況である。
  • (3)このような状況下,モザンビーク政府は,2014年に電力マスタープラン(2012年~2027年)を改定し,短中期的な対応として送配電網の強化を重点課題に位置付けている。マスタープランでは,ナカラ回廊地域において,目下の電力不足に加えて電力需要の急増が見込まれており,中長期的な電源開発と並行して既存の電力系統を強化し,電力供給の効率化・安定化を進める必要がある旨言及されている。特に既存の変電所の脆弱性が課題となっており,絶対数が不足していること,また設置から30年以上経過していることに起因する老朽化等により,現在,停電が頻繁に発生している。これらの背景により,北部地域の電力供給の安定化を図るため,我が国に対し,無償資金協力「ナカラ回廊送変電網強化計画」が要請された。
  • (4)なお,本件は,2013年5月TICAD Vにおいて我が国が表明した支援策「インフラ整備」に該当するとともに,2014年1月の日モザンビーク首脳会談で安倍総理から表明した「ナカラ回廊を中心とする700億円のODAの供与」の公約実施に資する。

2-2.効率性

 新設する変電所の規模,供与する機材の範囲等については,モザンビークの電力マスタープランで示された北部の電力構想及びモザンビーク電力公社の維持管理体制を踏まえ,モザンビーク政府との間で優先順位を付し,事業実施に必要不可欠なものを基準とした。

2-3.有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)本案件を通じて,事業完了後には,ナミアロ・モナポ地区110kvの変電設備容量が実施前と比較して3倍に増加する。(基準値:2014年実績16MVAから目標値:2020年(事業完成3年後)56MVA)
  • (2)ナカラ回廊に変電所が整備されることにより,同地域の多くの企業や住民が安定して電力供給を受け,経済活動や市民生活の改善に繋がる。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)モザンビーク政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る