ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年4月8日
評価年月日:平成27年1月26日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
1.案件名
1-1.供与国名
ミャンマー連邦共和国
1-2.案件名
ヤンゴン市無収水削減計画
1-3.目的・事業内容
ヤンゴン市マヤンゴン地区における上水道関連設備投資と同施設のマネジメント等を含む事業の実施を通じ,当該地域における漏水率の低減と,水供給能力及び無収水対策マネジメント能力の向上に貢献する。
同事業の実施機関であるヤンゴン市開発委員会は,上記事業全体を含む包括契約に基づく,我が国企業が代表となる特別目的会社による実施を想定しているところ,同事業のうち無収水対策設備投資部分について無償資金協力を行う。供与限度額は21.06億円。
1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)ミャンマーの関連政策に大きな変更が生じない。
- (2)調査段階における事業性審査を通じ,事業性の有無を確認することが必要となる。
2.無償資金協力の必要性
2-1.必要性
- (1)ミャンマー旧首都のヤンゴン市は,全人口約6千万人のうち約1割弱の510万人が集中する中心都市である。ヤンゴン市の上下水道システムの歴史は古く,上水は1842年に整備が始まった。現在では4つの貯水池と多数の井戸を水源としている。ヤンゴン市の上水道整備を所掌しているのはヤンゴン市開発委員会(YCDC)である。
- (2)YCDCから配水管網による給水を受けている人口は,ヤンゴン市全体の35%(推定)であり,市の中心部では24時間給水を達成しているものの,ヤンゴン市全体の平均給水時間は9.2時間に留まっている。また老朽化した送配水管の更新を含む無収水対策が適切に行われていないことから,無収水率は65%(推定)にも上っている。水源の約9割を表流水(貯水池)に依存し,表流水の水質が良好ではないにもかかわらず,3分の2が浄水処理をしないまま直接給水されている。水道メーター設置率は約7割と比較的高いが,水道料金はメーターの設置された家庭で約8円/m3,設置されていない家庭では月額約170円と低く抑えられており,水道料金収入は十分ではない。YCDCは,頻繁に起こる施設・機材の故障や断水への応急的な対応に留まり,新規の施設整備や,老朽化した施設の更新には十分に対応できていない。
2-2.効率性
YCDCは,2014年から我が国民間企業と連携し,草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用した無収水対策に関わるパイロット事業を実施しており,本パイロット事業と連携し,事業の効率的な実施を図る。
2-3.有効性
- (1)本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
基準年(2011年) 完成時(2022年) 無収水率 66% 30% 無収水量 23,170m3/日 10,539m3/日 販売可能な水量の増加 - 12,640m3/日 給水人口の増加 - 84,800人/日 - (2)我が国企業の技術等による質の高い公共サービスが実現し,ミャンマーにおける我が国企業の展開に資することが期待される。
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)官民連携促進策「成長加速化のための官民パートナーシップ」に関わる民間企業提案書
- (2)ミャンマー政府の要請書