ODA(政府開発援助)

平成30年4月10日

評価年月日:平成30年2月1日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

セネガル共和国(以下「セネガル」という。)

1-2 案件名

ンブール県水産物付加価値向上のための改良型水揚場整備計画

1-3 目的・事業内容

 ンブール県ンブール市及びジョアール市において,高度な衛生管理が可能な水揚施設を整備することにより,セネガルの零細漁業者の漁獲物を,安定的に付加価値の高い輸出向け水産物として流通させることを図り,もってセネガルの持続的経済成長に寄与する。供与限度額は13.08億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画の環境社会配慮カテゴリー分類はBであり,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる影響を及ぼしやすい港湾セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。
  • (2)セネガル政府により,本計画サイト内の商業移転に関する補償手続きが滞りなく行われる必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)セネガルにおける零細漁業は,同国の輸出総額の約15%を占める水産セクターにおいて,年間総生産額の約65%を占め,約60万人が従事する重要な輸出産業の一つである。一方,水揚施設の整備は遅れており,零細漁業で漁獲された水産物の鮮度・品質劣化による価値の低下が問題となっている。
  • (2)首都ダカールの南に位置するンブール県ンブール市及びジョアール市では,両市に一つずつある国の輸出認証を受けた水揚施設において,国内の零細漁業生産量の約40%を取り扱っているが,水揚浜から施設までのアクセスや施設内の水産物取扱区画における衛生・品質管理が不十分であり,輸出認証を取得し続けることが難しい状況にある。
  • (3)セネガル政府は,国家開発計画「セネガル新興計画」及び水産政策「水産分野政策書簡」において水産物の付加価値向上を優先課題に挙げており,当該施設の整備を同計画における優先事業に位置付けている。本計画は,このような状況下,同国政府から我が国に対して,支援要請がなされたものである。
  • (4)我が国は,対セネガル国別援助方針において,「持続的経済成長の後押し」を重点分野としており,本計画は,同重点分野における開発課題「第一次産業の振興」の中の「持続可能な漁業振興プログラム」に合致する。また,我が国が2016年8月にケニアで開催したTICAD VIにおいて表明した「フード・バリュー・チェーンの構築による生産性・付加価値向上」に寄与するものである。
  • (5)西アフリカの主要国であるセネガルは,西アフリカの内陸国への玄関口として,流通,経済活動などの地域拠点となっており,日本企業の西アフリカへの進出に際しても重要である。我が国は同国との間で漁業協定を有しており,我が国漁船が同国EEZ内で操業するなど,漁業分野でのつながりが深い。
  • (6)セネガルは,我が国と同時期(2016~2017年)に安保理非常任理事国を務める等,国際場裏において協力関係にある。また,2017年12月には同国のサル大統領が我が国を訪問し,日セネガル首脳会談において,同国に対する開発協力の重要性を確認している。我が国にとって,外交的重要性が高いセネガルの経済・社会開発を支援し,二国間関係の強化を図ることの意義は高い。

2-2 効率性

  • (1)コスト増につながる大規模な基礎工事を必要とするサイトは本計画の対象外にした。
  • (2)資機材の調達を原則的にセネガル国内で行うことで,調達コストの縮減を図った。
  • (3)セネガルには,高度な衛生管理が可能な水揚施設の運用経験がないことから,ソフトコンポーネントにより施設の衛生管理にかかる技術指導を行い,初期の施設の稼働性を確保する。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待される。

  • (1)事業完成3年後(2023年),高度な衛生管理が可能な水揚施設を利用する年間の零細漁業者数が,ンブール市では3,700人以上,ジョアール市では2,000人以上に増加する(2016年時点で0人)。
  • (2)ンブール市及びジョアール市の水揚施設において,水産物取扱区画の衛生管理が改善する。
  • (3)ンブール市及びジョアール市の水揚浜において,国内向け水産物と輸出用水産物の水揚げ区画が明確に区分けされる。
  • (4)ンブール市及びジョアール市の水揚施設が,輸出用水産物を取り扱う施設としての基準を満たすことにより,継続的に輸出認証を取得することが可能になる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)セネガル政府からの要請書
  • (2)協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)「バリューチェーン開発による水産資源共同管理促進計画策定プロジェクト」詳細策定調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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