ODA(政府開発援助)

平成30年4月2日

評価年月日:平成30年3月12日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件概要

(1)供与国名

ミャンマー連邦共和国

(2)案件名

住宅金融拡充計画

(3)目的・事業内容

 仲介金融機関を介した低中所得世帯への住宅ローン供給及び仲介金融機関や関係機関等への能力向上・体制構築支援を実施することにより,低中所得世帯への住宅供給の促進を図り,国民の生活向上及びミャンマーにおける住宅セクターの発展に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 資金供与(ミャンマー経済銀行から仲介金融機関への転貸を通じたツーステップローンの実施)
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    150億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

環境影響評価:本計画は,「国際協力機構環境社会ガイドライン」上,環境や社会への望ましくない影響が最小限であるため,カテゴリCに該当する。
外部要因リスク:特になし

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 近年高い経済成長を実現しているミャンマーでは,都市部への人口流入とそれによる住宅不足への対応が課題となっている。JICAが改訂に協力したヤンゴン都市圏開発マスタープラン(2016年12月)によれば,ヤンゴン都市圏の人口は2014年の554万人から2040年には1,080万人に増加すると推計されており,これに伴い新たに約120万戸の住宅供給が2040年までに必要とされている。
 住宅開発を所管する建設省都市・住宅開発局(Department of Urban and Housing Development。以下「DUHD」という。)は,2016年から2020年までの5年間において,政府供給により約36,000戸の低中所得者向け住宅を建設するとともに,2030年までに官民合わせて100万戸の住宅を供給する計画を有している。
 一方で,2013年に設立された国内唯一の住宅金融専門の政府系金融機関である建設住宅開発銀行では,長期・低利融資のための原資の不足や担保制度の不在により,住宅ローンの実績は限られている。また,住宅の質についても課題がある。ミャンマー政府が定めた建築物の設計を行う際の指針は存在するものの,強制力はなく,建築物に耐震設計や防火設備の設営等を義務づける法律は制定されていない。このように低中所得世帯向けの住宅供給の促進を図る上で,長期かつ低利な原資を確保するとともに,担保制度等を含む住宅金融制度の向上,住宅の設計及び建設の質の確保が必要となっている。
我が国の基本政策との関係
 2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針では,「国民の生活向上のための支援」を重点分野の一つとしており,本件は本方針に合致している。また,2016年11月の安倍内閣総理大臣とアウン・サン・スー・チー・ミャンマー国家最高顧問との会談において安倍内閣総理大臣が表明した「日本・ミャンマー協力プログラム」では,「都市開発・都市交通」は重要な協力プログラムの一つとして掲げられている。我が国はこれらプログラム実施のために官民併せて2016年度から5年間で8千億円規模の貢献を行う旨表明しており,本計画はそれを具体化するものである。

(2)効率性

 本計画初期段階では,DUHDが建設する住宅を対象とした住宅ローンを供与予定であり,JICAは,2015年10月からDUHDに住宅政策アドバイザーを派遣し,ミャンマー政府の住宅供給政策や住宅マスタープラン策定を支援している。

(3)有効性

 本計画の実施により,現在仲介金融機関による低中所得世帯向け住宅ローンの貸付実行件数(239件/年(2017年実績値))が増加することが見込まれる。また,耐震性・防火性を高めた新標準設計に基づいて建設された住宅が,事業完成2年後(2024年)に4,800戸(0件/年(2017年実績値))になることが見込まれる。本計画を通じて,ミャンマーの住宅金融制度の強化,設計審査及び物件検査体制の強化,住宅の質の向上が見込まれ,ミャンマー国民の生活の向上に寄与する。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,「メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(第三者評価)」報告書(PDF)別ウィンドウで開く国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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