ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成30年2月28日
評価年月日:平成29年11月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
タンザニア連合共和国(以下「タンザニア」という。)
1-2 案件名
第二次ニューバガモヨ道路拡幅計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,ダルエスサラーム市において,ニューバガモヨ道路(モロッコ交差点-ムウェンゲ交差点)の拡幅を行うことにより,同道路の渋滞緩和を図り,もってダルエスサラーム市の交通・物流の円滑化に寄与する。供与限度額は37.82億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画は,「国際協力機構環境社会配慮」ガイドライン上大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でなく,影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため,環境社会配慮カテゴリはBである。
- (2)タンザニア道路公社により,道路用地が確保され,同国内手続き及び補償・移転計画に沿って非自発的住民移転が進められること。
- (3)タンザニア道路公社により,汚染対策等についてモニタリングがされること。
- (4)タンザニア道路公社により,道路の定期点検・日常の維持管理等が適切に実施されること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)タンザニアでは,全国の自動車登録台数が年率7%(2001年~2010年の平均,国家統計局)で増加するなど,国内のモータリゼーションが急速に進行している。同国政府は,2016/2017年度~2020/2021年度を対象とした第2次5か年開発計画(Five Year Development Plan)において,「経済構造転換のための産業育成及び人間開発」を目標に掲げており,道路を含む適切なインフラサービスの整備を推進している。
- (2)首都ダルエスサラーム市は,人口約436万人(2012年)を抱える経済都市であり,2002年から2012年までの10年間で人口は年率5.8%で増加し,2027年には1,000万人を超えると予想されている(2014年,世銀)。市内の人口増加に伴い,交通量も増加の一途をたどっているものの,居住エリアが拡大しつつある北部と市中心部を結ぶニューバガモヨ道路を含め,ダルエスサラーム市の道路網の整備は進んでおらず,交通渋滞が大きな問題となっている。
- (3)かかる状況を解消するための支援として,我が国は,2010年から「ニューバガモヨ道路拡幅計画」を実施し,ムウェンゲ交差点-テゲタ区間12.9キロメートルを4車線に拡幅した。一方,当該区間につながるモロッコ交差点-ムウェンゲ交差点区間4.3キロメートルは2車線のままであり,交通のボトルネックとなっていることから,タンザニア政府から,ニューバガモヨ道路の残りの区間の拡幅に対する支援の要請を受けた。
- (4)本計画は,我が国の対タンザニア援助重点分野「経済成長と貧困削減を支えるインフラ開発」の協力プログラム「運輸・交通網整備プログラム」に位置付けられるとともに,2016年8月に開催したTICAD VIにおいて表明した,約100億ドルの質の高いインフラ投資を具体化するものである。
- (5)タンザニアは金や天然ガス等天然資源が豊富であり,東アフリカ共同体(EAC)の本部所在国でもある同地域における重要国である。また,タンザニアは,国際場裏において,我が国と基本的立場を共にする友好国である。独立以来穏健な外交方針と安定した内政を維持してきたタンザニアの社会・経済の安定と成長の維持は,東アフリカ地域全体の安定にとって,また,同地域との関係を重視する我が国にとっても極めて重要である。
2-2 効率性
舗装特殊材料,コンクリートプラント,アスファルトプラント等は本邦調達とする一方,他の資機材調達は現地調達とすることにより,工事品質の確保とコスト縮減を図る。
2-3 有効性
本計画の実施により,対象区間において,以下の成果が期待される。
- (1)年平均日交通量が70,000台/日(2023年:事業完成3年後)に増加する(44,000台/日(2014年:実績値))。
- (2)平均速度は,40キロメートル毎時(2023年:事業完成3年後)に上がる(3キロメートル毎時(2014年:実績値))。
- (3)輸送量(旅客量)が,8,030万人/年(2023年:事業完成3年後)に増加する(5,475万人/年(2014年:実績値))。
- (4)輸送量(貨物量)が,1,278万トン/年(2023年:事業完成3年後)に増加する(913万トン/年(2014年:実績値))。
- (5)排水設備の整備により,道路の年間冠水日数が,0日/年(2023年:事業完成3年後)に減少する(30日/年(2014年:実績値)))。
- (6)旅客輸送や物流の定時性確保,交通の利便性の向上とともに,車線分離,副道,歩道,交差点整備等により,交通安全の確保に寄与する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)タンザニア連合共和国政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)