ODA(政府開発援助)

平成30年2月7日

評価年月日:平成29年8月29日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件名

1-1 供与国名

ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)

1-2 案件名

電力供給緊急改善計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,エーヤワディ地域のミャンアウン火力発電所における老朽化した既存のガスタービン発電機(1975年製)に替えて発電効率の優れたガスエンジン型発電機を整備し,同火力発電所の発電効率を向上し総発電量を増加させることにより,ミャンマーにおける電力需給ギャップの緩和を図り,国民の生活向上及び持続的経済成長に寄与することを目的としている。供与限度額は,25億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 ミャンマー政府による本計画の迅速かつ円滑な実施及びモニタリングを確保する。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ミャンマーでは近年,外国資本の投資急増による急激な大型工場や商業ビルの増加及び人口増加にともない,電力消費の拡大傾向が続いている。ミャンマーの発電量の7割以上を水力発電が占めているため,乾期(12月~5月)には大都市ヤンゴンを中心として大規模な計画停電が避けられない状況にある。
  • (2)ミャンマー国内の既存発電所の発電量は,経年劣化のため定格出力の約7割程度と推定されており,電力マスタープランに基づき,発電能力を年率約13%のペースで拡大する目標が掲げられているものの,発電所の増強が電力消費に追いついておらず,依然として発電所の新設やリハビリテーションに対するニーズは高い。
  • (3)今後も,ヤンゴン市を中心に大規模な計画停電も予定されるなか,可能な限り時間をかけずにミャンマー国内の電力供給能力を強化するため,既存発電機の発電効率を向上させ,発電能力を強化する必要がある。
  • (4)2016年11月に実施された,安倍総理大臣とアウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談において,安倍総理大臣から「日ミャンマー協力プログラム」(産業発展を可能とするエネルギー協力)を踏まえて,日本は官民併せて2016年度から5年間で8千億円規模の貢献を行う旨表明しており,本計画はその支援を具体化するものである。
  • (5)本計画は同国の電力不足解消のための支援であることから,ミャンマーに進出している日本企業にも裨益するものであり,本件を実施する必要性は高い。

2-2 効率性

 円借款「チャンギンセメント工場拡張計画」(第一期1979年度,第二期1981年度)及び「チャンギンセメント工場内鉄道輸送力増強計画」(1982年度)によりチャンギンセメント工場の拡張や既存鉄道の電化を実施している。ミャンアウン火力発電所は同工場へ送電しており,本計画により電力供給の安定化が見込まれることから,本計画とこれらの協力は相互に補完するものである。

2-3 有効性

 本計画の実施により以下の成果が期待される。

  • (1)ミャンアウン火力発電所の最大出力が12メガワット(2016年実績値)から16メガワット(事業完成時(2019年))以上に増加する見込みであり,ミャンマーの電力需給ギャップの改善が図られる。
  • (2)計画停電が緩和され,国民の生活環境が向上する。
  • (3)電力供給量が増加することにより,持続的な経済成長に必要なインフラ整備にとっての制約が緩和される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ミャンマー連邦共和国政府からの要請書
  • (2)メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(2014年度)
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