ODA(政府開発援助)

平成30年1月5日

評価年月日:平成29年11月6日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

ベナン共和国(以下「ベナン」という。)

1-2 案件名

アトランティック県小学校建設計画

1-3 目的・事業内容

 ベナン南部のアトランティック県において,初等教育の教室増設,付帯施設(校長室,トイレ)建設,学校家具の整備等を行うことにより,対象地域における初等教育へのアクセス及び学習環境の改善を図り,もって同国の人的資源開発に寄与する。供与限度額は14.57億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画の環境社会配慮カテゴリ-分類はCであり,環境への望ましくない影響は最小限だと判断される。
  • (2)ベナン政府により,建設工事(資材置場等を含む。)のために必要な用地の確保が確実に実施される必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ベナンでは,2006年に教育セクター上位計画「教育セクター10か年計画」(2006~2015)が策定され,初等教育が完全無償化されたことを背景に,就学児童数が大幅に増加しているのに対し,教室建設が追いついておらず,1教室あたりの平均児童数は43.6名(2005/06)から50.6名(2015/16)になっており,教育環境の改善が喫緊の課題となっている。
  • (2)とりわけ,同国南部に位置するアトランティック県は,ベナン最大の経済都市であるコトヌ市に隣接し,ベッドタウンとして人口が増加しており,1教室あたりの平均児童数が約65.9人(2015/16)とベナンの平均児童数を大きく超えていることから,「教育セクター10か年計画」において,教室増設に係る最優先県に指定されている。
  • (3)ベナン政府は,2012年に改訂した「教育セクター10か年計画」において,2020年に向けて,初等教育については年間1,199教室,就学前教育については年間314教室の建設が必要であるとしており,国家開発計画「政府行動計画2016~2021」の重点分野に「教育の質の改善」を掲げ,教育環境の改善に取り組んでいる。このような状況の中,同国政府から我が国に対して,本計画への支援要請がなされたものである。
  • (4)我が国は,対ベナン国別援助方針において,「人的資源開発」を重点分野としており,本計画は,同重点分野における開発課題「基礎教育の拡充」の中の「基礎教育改善支援プログラム」に合致する。また,我が国が2016年8月にケニアで開催したTICAD VIにおいて表明した「平和で安定したアフリカの実現に向けた約960万人の人材育成」を具体化するものである。
  • (5)過去6回のTICADの全てに国家元首が参加しているベナンは,国際場裏において我が国の基本的立場を支持する友好国であり,我が国の対アフリカ政策において重要な位置付けにある。開発協力による二国間関係の維持・発展は,国際場裏における協力関係の強化の観点からも意義が高い。

2-2 効率性

  • (1)コスト増につながる大規模な造成又は,基礎工事において特殊工法を必要とするサイトは本計画の対象外にした。
  • (2)複数のサイトで同時に工事を実施することで工期短縮を図るとともに,資機材の調達をベナン国内で行うことで調達コストの縮減を図った。
  • (3)青年海外協力隊員による基礎教育分野の人材育成活動との連携により,教育への公平なアクセスと質の改善に向けた相乗効果が期待される。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)対象校において継続使用される教室数が,141室(2016/17年実績値)から351室(2023年(事業完成3年後))に増加する。
  • (2)対象校における就学児童数が,7,026人(2016/17年実績値)から17,334人(2023年(事業完成3年後))に増加する。
  • (3)教育環境の改善により,教員の授業力の向上及び児童の学習意欲が向上する。
  • (4)男女別のトイレを整備することにより,特に女子児童の通学意欲が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ベナン政府からの要請書
  • (2)「アトランティック県小学校建設計画」協力準備調査報告書
    (JICAを通じて入手可能)
  • (3)「日本の教育協力政策2011~2015」の評価
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