ODA(政府開発援助)

平成30年1月4日

評価年月日:平成29年9月4日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

セネガル共和国(以下「セネガル」という。)

1-2 案件名

ダカール州配電網緊急改修・強化計画

1-3 目的・事業内容

 ダカール州東部に位置するソコシム開閉所(変圧は行わずに電路を開閉する施設)を変電所に改修・強化及び周辺地域の配電網を整備することにより,新興開発地区を中心としたダカール州東部への電力の安定供給を図り,もって同国の持続的経済成長に寄与する。供与限度額は29.34億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画の環境社会配慮カテゴリ-分類はBであり,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。
  • (2)セネガル政府により,整備される施設・資機材の設置及び建設工事のために必要な用地の確保が確実に実施される必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)セネガルの首都ダカールには,国内の産業活動の約80%が集積し,全人口の20%以上に相当する310万人が居住する。同都市が地方部からの急激な人口流入に伴い無秩序に肥大化してきたこと,国内の電力需要が2000年から2016年の間に倍増しており,今後も順調な経済成長を背景に年間7%以上の需要拡大が見込まれていることを踏まえ,同国政府は,計画的な都市作りと電力等社会インフラの拡充を視野に入れ,従来から発展してきたダカール市中心部に加えて,ダカール州東部に新興開発地区(ジャムニアジョ及びダガホルパ)を設け,分散型の都市構造による計画的な都市開発を進めている。
  • (2)ダカール州東部に位置するソコシム開閉所は,両新興開発地区に加えてダカール近郊都市への電力供給の拠点であるものの,1959年に整備された旧式の設備で老朽化が著しく,粉塵や塩害に起因する火災等の事故により,特に貧困層の居住地区を中心に停電を頻繁に起こしている上,施設の安全性も問題となっている。当該施設の整備は,同国政府の国家開発計画「セネガル新興計画」における緊急的に対応すべき優先事業であり,我が国がJICAの技術協力により策定支援した「ダカール首都圏開発マスタープラン」においても重要な開発戦略に位置付けられている。
  • (3)本計画は,このような状況を受け,同国政府から我が国に要請されたものであり,ダカール州東部に位置するソコシム開閉所を変電所に改修・強化及び周辺地域の配電網を整備することにより,新興開発地区を中心としたダカール州東部への電力の安定供給を図り,もってセネガルの持続的経済成長を後押しするものである。
  • (4)我が国は,対セネガル国別援助方針において「持続的経済成長の後押し」を重点分野としており,本計画は,同重点分野における開発課題「経済発展のための基盤整備」の「経済インフラ整備プログラム」に合致する。また,我が国が2016年8月に開催したTICAD VIにおいて表明した「質の高いインフラ整備」を具体化するものである。
  • (5)セネガルは,西アフリカ内陸国への玄関口として,流通及び経済活動などの地域拠点となっており,日本企業の西アフリカへの進出ポイントとして地理的・戦略的に極めて重要である。また,我が国と同時期(2016~2017年)に安保理非常任理事国を務め,安保理改革を支持する等国際場裡において協力関係にあることから,開発協力による二国間関係の維持・発展は,国際場裡における協力関係の強化の観点からも意義が高い。

2-2 効率性

  • (1)本計画のソフトコンポーネントにおいて,設備の運営・維持管理がより確実かつ効率的に行われるよう,工事期間中にOJTを実施する。
  • (2)既設の設備との整合性を取りつつ,建設工事用の資機材は現地調達を採用することでコスト縮減を図った。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)事業完成3年後の2023年に,ソコシム変電所の送電端電力量が204ギガワット時,設備利用率が34%となる。
  • (2)電力供給の信頼性が向上する。
  • (3)ダカール州東部の生活向上や経済活動の促進に寄与する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)セネガル政府からの要請書
  • (2)「ダカール州配電網緊急改修・強化計画」協力準備調査報告書
    (JICAを通じて入手可能)
  • (3)ダカール首都圏開発マスタープラン
    (JICAを通じて入手可能)
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る