ODA(政府開発援助)

平成29年10月4日

評価年月日:平成29年2月21日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治

1 案件名

(1)供与国名

ボリビア多民族国

(2)案件名

「国道7号線道路防災対策計画」

(3)目的・事業内容

 本計画は,ボリビアの国道7号線のサンタクルス県アンゴストゥーラ~パリサーダ間の5地点において,斜面崩壊及び土石流に対する対策工事等を実施することにより,自然災害による対象区間道路の交通障害の軽減を図り,もって地方開発等を通じた生産力向上に寄与するもの。供与限度額は16億9800万円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 考慮すべき留意点としては,以下の事項が挙げられる。

  • ア 同国政府によって,国道7号線上の他の斜面崩壊箇所について,災害時に通行止めが生じない水準で対策がなされること。
  • イ 当初想定外の気象条件(異常降雨等)により,本事業完成までの期間に,国道7号線にて事業実施の支障となる大規模斜面崩壊や地すべり等により地形が大きく変動しないこと。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア 2009年にモラレス大統領は「政権プログラム2010-2015」を発表し,その中で道路整備を主要課題の一つとして挙げている。特に,国道7号線を含む輸送回廊の改善と地方道路の整備を推進し,経済の活性化を図ることとしている。
  • イ 内陸国のボリビアでは,農産物,生活必需品等の国内輸送の70~80%を道路輸送に頼っており,太平洋側及び大西洋側等周辺諸国との貿易についても道路が主要な役割を担っている。しかしながら,ボリビアの厳しい地形や気候条件により,斜面崩壊、落石等の道路災害や落橋などが毎年のように頻発し,国内経済及び都市や農村住民の生活に著しい負の影響を与えている。特に,サンタクルス県とコチャバンバ県を繋ぐボリビアの物流の根幹である国道7号線のうちアンゴストゥーラ~パリサーダ間は,国道5号線を経由し隣国のチリへ抜ける輸送回廊として重要な区間であるものの,2006年及び2007年の集中豪雨により,斜面崩壊,落石/岩盤崩壊、地すべり,土石流等が生じ4名の人命が失われるとともに,延べ約60日間にわたり交通が遮断されサンタクルスへの物資供給が滞るなど,ボリビア経済へ多大な影響を与えた。
  • ウ このため,ボリビアは国道7号線の災害箇所のうち,今後の大規模な災害発生の可能性が高い(またそれにより長期通行止めとなる可能性がある)箇所を緊急災害対策箇所として選定し,この中でも特に災害発生時の被害規模が大きくボリビア政府では対応困難な5箇所について,道路防災対策工事に係る無償資金協力を我が国に要請してきたものである。
  • エ ボリビアは日系人も多く伝統的な友好国であり,亜鉛,鉛,リチウム等の天然資源を豊富に有することから,資源外交の観点からも重要な国である。本事業を通じボリビア政府の国家開発計画の開発目標にある生産力の向上及び地方の貧困対策に寄与し,同国の開発ニーズに応えることは同国との二国間関係の強化に資すると期待される。

(2)効率性

 JICAによる技術協力プロジェクト「ボリビア道路防災及び橋梁維持管理キャパシティディベロップメントプロジェクト」(2009年~20012年)及び個別専門家「道路防災対策アドバイザー」により強化されたボリビア政府の橋梁の維持管理能力が,本道路の維持管理にも適用される。

(3)有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • ア 自然災害による国道7号線(アンゴストゥーラ~パリサーダ間)の通行止め箇所が21か所(2007年(実績値))から0か所(2022年(事業完了3年後))に,通行止めの日数が年間64日(2007年(実績値))から0日(2022年(事業完了3年後))に減少し,通行状況が大幅に改善される。
  • イ 道路防災対策を実施することで,災害時に復旧を要する工事範囲が縮小されることから,道路維持管理の効率化に寄与する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ボリビア政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告署(JICAを通じて入手可能)
  • (3)ボリビア国別評価(2010年度)
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