ODA(政府開発援助)

平成29年9月15日

評価年月日:平成29年9月11日
評価責任者:国別開発協力第二課長 寺田 広紀

1 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

北東州道路網連結性改善計画(フェーズ2)

(3)目的・事業内容

 インド北東州地域における国道40号線の改良及び国道54号線のバイパス新設等を行うことにより,同地域内及び国内外他地域との連結性向上を図り,もって同地域内の経済開発を通じて,連結性の強化に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • 国道40号線の道路改良(約81キロメートル)及び維持管理
    • 国道54号線のバイパス新設(約24キロメートル)及び維持管理
    • コンサルティング・サービス(施工監理等)
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    386.66億円 1.2% 30(10)年 一般アンタイド

    (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア EIA(環境影響評価)
     本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月公布)」(以下「JICAガイドライン」という。)に掲げる影響を及ぼしやすい特性に該当するため,カテゴリAに該当する。本事業による環境影響評価(EIA)報告書は,国道40号線改良及び国道54号線バイパス建設ともにインド国内法上作成が義務付けられていないものの,それぞれの区間のEIA報告書は国道インフラ開発公社(NHIDCL)により2017年6月までに作成されている。
  • イ 用地取得及び住民移転
     本計画は,ミゾラム州で約46ヘクタールの用地取得に伴い,20世帯(133人)の物理的住民移転を含む257世帯(1485人)への影響が生じ,メガラヤ州で約238ヘクタールの用地取得に伴い,291世帯(1,343人)の物理的住民移転を含む402世帯(2,057人)への影響が生じる。ミゾラム州及びメガラヤ州の法手続き,並びにJICAガイドラインに沿って作成された住民移転計画に基づき用地取得・住民移転が行われる予定である。なお,本事業に係る住民協議では,事業実施に対する特段の反対意見は確認されていない。
  • ウ 外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
     インドにおいて,道路は鉄道と並び国内の物流の大部分を支える重要な輸送手段として,運輸部門のうち85.2%の旅客輸送,62.9%の貨物輸送を担っている(道路交通省)。こうした中,経済成長著しい同国では,平野部において主要幹線道路をなす国道整備が進む一方,財政的かつ技術的な課題から,山岳部の国道整備が遅れている。とりわけ北東州地域については,他地域と比較して山岳部が多く,全道路の舗装率が28.5%(全国平均:63.4%),国道における2車線以上の道路の比率が53.0%(同77.9%)という状況である(道路交通省)。また,多雨(メガラヤ州の一部では10,000ミリメートル強の年間降水量)による土砂災害の多発が物流を阻害し北東州地域の経済開発の制約となっている。また,上記の理由から道路が地域のライフラインとしての機能を十分に果たしているとは言えない状況であり,物資の安定供給,医療・教育施設へのアクセスが阻害されるなど,地域住民の生活に不便を強いる形となっている。
     対象地域では自給型農業が主産業で,一人当たりGDP(2010-2011年)は34,405インドルピーと,全国平均の59,606インドルピーより著しく低く,インド本土との地域格差が大きな国内問題となっている(2011年国勢調査)。石炭等の資源が豊富なことから鉱業や果樹・花卉等の高付加価値農業が産業として有望視されているものの,貧弱な道路インフラにより域内外との連結性が十分でなく,かかる産業への投資を促進する観点から,北東州地域では経済活動の基盤となる域内道路網改善が必要となっている。
     インド政府は北東州地域における特別プログラム(Special Accelerated Road Development Programme for North-East)において,約1,000キロメートルに及ぶ地域内主要都市間の道路網整備を掲げている。また,モディ首相は2016年度予算のうち約1,700億円を北東州地域の道路整備に割り当てる等,道路整備は同地域開発の重点政策の一つとなっており,本計画もその一部として位置付けられている。
     本計画を実施することは,インド北東州地域における国道40号線の改良及び国道54号線のバイパス新設等を行うことにより,同地域内及び国内外他地域との連結性向上を図り,もって同地域内の経済開発に寄与するものであり,インドの開発政策との高い整合性を有している。
  • イ 我が国の基本政策との関係
     2016年3月に策定された「対インド国別援助方針」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(ア)連結性の強化,(イ)産業競争力の強化及び(ウ)持続的で包摂的な成長への支援を掲げている。本計画は,連結性向上に資する案件であることから,上記(ア)に合致する。
     我が国の対インド国別援助方針(2016年3月)では,「連結性の強化」を重点分野の一つとして定め,開発課題に「地域ネットワークの整備」を位置付けており,本計画はこれに合致する。また,インドは,日本と価値観を共有するアジアの主要国の一つであり,「自由で開かれたインド太平洋戦略」においても,同国との二国間関係は高い相乗効果を生むことが期待されており,同国への支援は,外交政策上重要である。

(2)効率性

 本計画において,山崩れを初めとする土砂災害が発生しやすい自然条件であるため,斜面災害対策を取り入れ土砂災害が発生しないように努める。なお,災害復旧を含む運営維持管理に関する予算,体制が確保されるように実施機関と合意済みである。

(3)有効性

 運用・効果指標として,いずれも2016年に比べて事業完成4年後(2026年)に,対象区間の平均移動速度(キロメートル/時)が国道40号線で30キロメートル/時から50キロメートル/時に,国道54号線で24キロメートル/時から40キロメートル/時に速まる見込みである。
 また,本計画の実施を通じて,インド北東州地域における国道40号線の改良及び国道54号線のバイパス新設等を行うことにより,同地域内及び国内外他地域との連結性向上を図り,もって同地域内の経済開発に寄与することが期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,インド国別評価報告書国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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