ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年8月25日
評価年月日:平成29年7月14日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
モザンビーク共和国(以下,「モザンビーク」という。)
1-2 案件名
送変電網緊急改修計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,首都マプト市近郊において既存変電所を改修すること等により,南部系統への電力供給の向上・安定化を図り,もってモザンビークの地域経済活性化に寄与する。供与限度額は13.90億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画は,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてカテゴリCに分類されており,環境への好ましくない影響は最小限であると判断される。
- (2)本計画で調達する変電設備の据付用地や移動式変電所の接続スペースが確保される必要がある。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)モザンビークの電力系統は,南部系統と中・北部系統に分離されており,首都マプトが位置する南部系統の電力は,同国最大の電源であるカオラバッサ水力発電所(最大出力2,075メガワット)で発電した電力を南アフリカ共和国経由で再輸入することにより賄われている。同国と南アフリカ共和国政府の間で長期の売電契約が締結されているため,当面は電力輸入量の大幅な増加は困難である一方,年間約7%の経済成長を背景にマプト市を中心に電力需要の増加が見込まれている。
- (2)国内の既存の変電所では変電設備の老朽化(稼働30年以上)による故障が相次いでおり,特にマプト市に位置するインフレネ変電所では,4基ある変圧器のうち1基が故障している状況にあり,マプト市近郊では停電が頻発している。このため,電力供給の安定化を図ることが喫緊の課題となっている。
- (3)かかる状況から,インフレネ変電所の改修等を含む本計画に係る要請がモザンビーク政府から我が国になされた。
- (4)本計画は,同国政府が策定した電力マスタープラン(2012年~2027年)において重点課題とされている,既存の4送配電網の強化に対応するものとして位置付けられている。
- (5)本計画は,TICAD VIにおいて我が国が表明した「経済の多角化・産業化」の一環としての質の高いインフラ整備に含まれる,特に経済活動に不可欠な電力供給について官民合わせてアフリカ全体の発電容量を約2,000メガワット増強させる取組に合致しており,外交的意義は高い。
2-2 効率性
- (1)新たに変電所を建設するのではなく,老朽化し過負荷運転状態となっている既設変電所の既設変圧器を改修することとした。
- (2)主要変電設備は日本又は第三国から調達することとしつつも,基礎工事の発注,資材調達は可能な限り現地調達とすることとした。
2-3 有効性
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)インフレネ変電所の変電設備容量が436メガ・ボルトアンペア(2015年実績値)からに620メガ・ボルトアンペア(2023年予想値(事業完成3年後))に増加する。
- (2)電力供給信頼度の向上(電力需要増大への対応,過負荷状態の解消,停電の頻度の減少等),周辺地域の生活向上・経済活動の促進が期待できる。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)モザンビーク政府からの要請書
- (2)「送変電網緊急改修計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)モザンビーク国別評価(2008年度)