ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年8月24日
評価年月日:平成29年7月14日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
エチオピア連邦民主共和国(以下,「エチオピア」という。)
1-2 案件名
ティグライ州中等学校建設計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,エチオピアのティグライ州において,中等学校施設の新規建設及び教育機材の整備を行うことにより,中等教育の就学環境の改善を図り,もって同国における教育の質の向上に寄与するもの。供与限度額は14.38億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画は,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてカテゴリCに分類されており,環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
- (2)エチオピアでは,2016年10月より非常事態宣言が発令されていることから,現地の治安情勢を踏まえた安全対策を講じる必要がある。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)エチオピア政府は,中等教育を強靭な社会・経済の基礎とし,質の高い教育へのアクセス向上に取り組んでいる。同国全土の初等教育(1~8年生)の純就学率は2000/01年度の48.8%から2014/15年度の94.3%へと大幅に改善されている一方,中等教育(9~12年生)の純就学率は21.0%(2014/15年度)と低水準のままである。その主な原因としては,中等教育施設整備の遅れが挙げられており,初等教育修了生の増加に対して中等教育施設及び教育機材の供給が追い付いていない状況である。
- (2)ティグライ州においても同様の傾向が見られ,2014/15年度の中等前期教育純就学率(9~10年生)は48.2%,中等後期教育純就学率(11~12年生)は12.2%と低く,同州が掲げる目標である中等後期教育を含む中等教育就学率65%には届いていない。また,同州における中等教育就学生徒の学校から住居までの平均距離は約15キロメートル(一般的には約10キロメートルがアクセス可能範囲)と悪く,早急なアクセスの改善が求められている。
- (3)かかる状況から,同州における中等教育施設の新規建設及び教育機材の整備に係る要請が,エチオピア政府から我が国政府になされた。
- (4)本計画は,2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)で我が国が表明した「若者への教育・職業訓練等をはじめとする平和と安定の実現に向けた基礎作り」に則して実施されるものであり,外交的意義は大きい。
2-2 効率性
- (1)設計に当たり,現地の一般的な建築仕様を採用するとともに,新設する7校について基本的な設計を統一することで,工期の短縮,調達・加工のコスト縮減を図った。
- (2)建設工法は,現地において一般的で施工が容易な鉄筋コンクリート造を主構造とし,建築資機材については,耐久性,コスト縮減及びメンテナンスを考慮し選定する。また,資機材は主にエチオピア国内調達とする。
- (3)計画対象7校のうち1校を選定し,モデル校として先行して工事を開始することで,事前に施工手順や課題等の確認を行い,品質を確保する。
2-3 有効性
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)中等学校7港の新設により,継続利用可能な教室が80教室増加し,新たに6,400人/年の生徒が,中等教育を受けることができるようになる。
- (2)ティグライ州における,中等学校へのアクセスが改善する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)エチオピア政府からの要請書
- (2)「ティグライ州中等学校建設計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)エチオピア国別評価報告書(2009年度)