ODA(政府開発援助)

平成29年7月6日

評価年月日:平成29年2月10日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

マラウイ共和国

1-2 案件名

「ドマシ教員養成大学拡張計画」

1-3 目的・事業内容

 本計画は,3年制のドマシ教員養成校に対し,4年制に編成し大学に格上げするための施設及び機材の整備を行うことにより,質の高い中等有資格教員の輩出を図り,もって基礎的社会サービスの向上に寄与する。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 環境社会配慮カテゴリーはCであり,本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月)上,環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)マラウイは最貧国からの脱出を目標に開発に取り組んでおり,同国の成長・開発戦略において教育・技術開発や青年育成・能力開発,農業・食料安全保障や灌漑・水開発,輸送インフラ等9つの優先課題を設定し,国全体の経済成長とともに国民の基礎的サービスの拡充に取り組んでいる。
  • (2)同国の教育分野においては,1994年に初等教育を無償化した結果,初等教育就学者数が急増し,それに伴い中等教育就学者数が増加傾向にある。中等教育就学者の増加を受け,マラウイ政府は中等学校教員数を賄うため,初等資格教員を中等教員として再配置をすることで対処してきた。そのため,本来中等教育を教える資格を有する教員は中等学校教員全体の約5割に留まっている。これを受け同国政府は,マラウイで最大規模の初等教員養成校であったドマシ教員養成校を中等教員養成校とすることで,中等有資格教員数の拡充に取り組んでいる。しかしながら,一定の水準以上を保持する有資格教員は限られており,質の高い中等教育を提供する教員不足が課題となっている。
  • (3)かかる状況の下,マラウイ政府は中期国家開発計画「第二次マラウイ成長開発戦略」において,3年制のドマシ教員養成校を4年制に編成し,大学に格上げすることで,一定水準を満たす中等有資格教員の輩出拡大計画を打ち出しており,本計画は同政府による右取組を後押しするものである。
  • (4)我が国はマラウイに対し,1971年に経済協力を開始して以来,無償資金協力や技術協力を通じ,主要ドナー国として同国の開発に大きく寄与している。また,我が国は対マラウイ国別援助方針において,深刻な貧困からの脱却のための支援を基本方針として,「基礎的社会サービスの向上」のための支援を重点分野として定めており,本計画と合致している。
  • (5)我が国は第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において,官民総額300億ドル規模のアフリカの未来への投資を実施するとし,その一部において平和と安定の実現に向けた基礎造りとして教育をはじめとする人材育成を行う旨表明していることから,本計画はその取組をマラウイにおいて具体化するものであり,実施にあたって外交的意義は高い。

2-2 効率性

  • (1)マラウイ政府の要請を踏まえつつ,十分な教員配置や,同政府の維持管理予算の確保状況を現実的に考慮し,計画規模を決定した。
  • (2)既存教室の用途の見直しや,先方負担による改修も含めて既存施設を最大限活用することにより,施設全体として必要な機能を保持しつつ,新設に係る経費を縮減した。
  • (3)技術協力「中等理数科教育強化プロジェクト」(協力期間:2013年8月-2017年7月)と連携し,本計画を実施する。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)新規中等教育学位取得者数が基準値(2016年)0名から,目標値(2019年:事業完成3年後)300名となる。
  • (2)有資格教員が増加することにより,中等教育の質が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)マラウイ政府からの要請書
  • (2)「ドマシ教員養成大学拡張計画」協力準備調査報告書
    (JICAを通じて入手可能)
  • (3)マラウイ国別評価(2012年度)
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