ODA(政府開発援助)

平成29年7月5日

評価年月日:平成29年5月30日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

ケニア共和国(以下「ケニア」という。)

1-2 案件名

第二次ウゴング道路拡幅計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ナイロビ市西部と中心部を結ぶウゴング道路の拡幅及び付帯設備の整備(経済インフラ整備)を実施することにより,ウゴング道路の交通渋滞の緩和を図り,もってケニアの持続的な経済・社会の発展に寄与する。供与限度額は26.80億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は,既存道路の改修・拡幅を行うものであり,環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため,環境社会配慮カテゴリはBである。
  • (2)ケニア都市道路公社により,道路用地が確保され,電柱や地下埋設物等の移設が実施されること。
  • (3)本計画で改修・拡幅される道路の定期点検・日常の維持管理等がケニア都市道路公社により適切に実施されること。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ケニアの首都であるナイロビ市では,人口が214万人(1999年)から423万人(2015年)へと16年間で約2倍に増加し,またケニア全土の新規の車両登録台数が毎年20万台前後で推移していること等を背景として,市内の交通量が急増している。しかし,市内道路網や公共交通の整備が追い付かず,交通渋滞が深刻化し,さらには渋滞時に対向車線の逆走や歩道乗り上げ通行などの危険行為が見られ,交通安全上の問題となっている。
  • (2)ケニア政府は,国家開発計画「Vision2030」(2008年~2030年)にて,道路網の改善と拡張を目標として掲げ,Vision 2030の中期実施計画を示した「第二次中期計画2013-2017」では,運輸インフラ分野において取り組むべき優先課題として首都圏の交通混雑緩和を挙げている。
  • (3)ウゴング道路はナイロビ市中心部と西部を結ぶ幹線道路の一つであり,近年の交通量増加等により朝夕のピーク時には通勤・通学の交通が集中する路線である。しかし,現行2車線(片側1車線)では交通量に見合っておらず,平均走行速度が時速10キロメートル以下となる区間が発生するなど,市内でも渋滞が著しい路線の一つである。また,同道路周辺には東アフリカ最大規模のキベラ・スラムが位置しており,貧困層である同スラム住民も市中心部へのアクセス道路として利用しているが,渋滞による乗合バス追加料金の負担を強いられ,同住民の多くは徒歩や自転車等で移動を行わざるを得ない状況が生じている。
  • (4)現在,我が国の支援(2012年度無償資金協力「ウゴング道路拡幅計画」(以下「フェーズ1」という。))にて,ウゴング道路の約2.6キロメートル区間を対象として,上下線分離式の4車線化に係る整備を実施している。
  • (5)本計画は,ナイロビ市西部と中心部を結ぶウゴング道路の拡幅及び付帯設備の整備を実施することにより,ウゴング道路の交通渋滞の緩和を図り,もってケニアの持続的な経済・社会の発展に寄与することを目的とする。
  • (6)ケニアは,東アフリカ地域の政治,経済の中核を担う国であり,また,ソマリア,スーダンなどの和平プロセスに意欲的でもあることから,同国への支援は,アフリカにおける平和構築に資するとともに,域内経済への波及効果も大きい。
  • (7)ケニアは,我が国の国連安保理常任理事国入りを支持するなど,我が国と国際場裏において協力関係にあり,昨年8月にはアフリカ大陸初の第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)の開催国となった。さらに,TICAD VIの日ケニア首脳会談(於:ナイロビ)後に発出された共同声明において,両首脳は,力強く,持続可能でバランスのとれた成長を促進するため,質の高いインフラに投資することの重要性を強調し,ケニヤッタ大統領は,運輸等の分野におけるケニアのインフラ整備における日本の重要な役割を歓迎しており,我が国として支援する意義は高い。
  • (8)昨年8月に実施されたフェーズ1の起工式において,出席したケニヤッタ大統領から我が国に対して,本計画への協力を期待している旨のメッセージが多数の市民,メディアの前で表明されている。また,首都の中心部における道路整備は,首都に暮らす市民の生活環境改善に直接的かつ目に見える効果を与えることから,広報効果が高い。

2-2 効率性

  • (1)信号機は本邦調達とし,道路照明は第三国調達とした。アスファルト合材,生コンクリート,骨材等の資材は現地調達とした(精密な機械は本邦調達とするものの,その他の資機材は,コストを極力抑えるため,第三国あるいは現地調達する。)。
  • (2)道路の維持管理に係る実施機関の実施能力について,JICAの技術協力「道路メンテナンス業務の外部委託化に関する監理能力強化プロジェクト」を通じて強化することにより,本計画の効率性向上を図る。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)1車線当たりの年平均日交通量が18,600台/日(2022年:事業完成3年後)に増加する(14,100台/日(2016年:基準値))。
  • (2)輸送量(旅客数)が約5,800万人/年(2022年:事業完成3年後)に増加する(約4,400万人/年(2016年:基準値))。
  • (3)輸送量(貨物量)が約330万トン/年(2022年:事業完成3年後)に増加する(約250万トン/年(2016年:基準値))。
  • (4)整備区間(約3.4キロメートル)の所要時間が6.4分(2022年:事業完成3年後)に短縮する(40分(2016年:基準値))。
  • (5)歩道・自転車道の整備による歩行者・自転車利用者の安全が確保される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ケニア共和国政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)ケニア国別評価(2014年度)
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