ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年6月1日
評価年月日:平成29年2月10日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
ザンビア共和国
1-2 案件名
「第二次ルサカ郡病院整備計画」
1-3 目的・事業内容
本計画は,ルサカ州ルサカ郡において,3か所のヘルスセンター(チパタ,カニャマ,チャワマ)の施設整備と機材整備を行うことにより,ルサカ市民の保健サービスへのアクセス改善及びルサカ市民への基本的な保健サービスの向上を図り,同地域の持続的な経済成長を支える社会基盤の整備に寄与する。供与限度額は39.08億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月)上,環境社会配慮カテゴリーはCであり,環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ザンビアにおける保健セクターの状況は,乳児死亡率29(出生1,000対,2013年),5歳未満児死亡率87.4(出生1,000対,2013年UNICEF統計),妊産婦死亡率280(出生10万対,2013年),HIV感染率12.5%(15~49歳人口,2013年)であり,保健セクターの一層の改善が必要となっている。
- (2)しかし,ザンビア総人口の約15%(約140万人)が集中する首都ルサカ郡においては,基礎的な保健サービスのみを提供するヘルスセンターは存在するが,基礎的な医療サービスを提供するとともに基本的な手術等を行える第1レベル病院が絶対的に不足している。そのため,外科手術および帝王切開が出来るザンビア大学医学部付属教育病院は,高度医療を担う第4次レベル病院であると同時に,ルサカ市域における第1次レベル病院の役割を果たしており,慢性的な混雑状況にある。
- (3)これに対し,ザンビア政府はルサカ郡における5つの区域でヘルスセンターを1か所ずつ指定し,必要とされる第1次レベルの医療サービスが提供できるよう施設の強化・機能の拡充を行うことを計画した。本計画の前フェーズとなる無償資金協力「ルサカ郡病院整備計画」(2013年~2016年)において,5つの区域のうち2か所(マテロ,チレンジェ)のヘルスセンターの機能拡充を図っており,本計画は残り3か所(チパタ,カニャマ,チャワマ)のヘルスセンターの機能拡充を行うものである。
- (4)なお,本計画は,我が国がTICAD VIで表明した「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進や栄養改善のための協力の強化」にも則しており,我が国の国際的な公約達成にも寄与する。
2-2 効率性
- (1)建設する施設の規模についてザンビア国保健省側とも協議の上,適正な規模かつ効率的な事業になるよう留意した。また,建設資材費のコストダウンや,華美なデザインとしない等の対策を行い,効率的な事業になるよう留意した。
- (2)フェーズ1である「ルサカ郡病院整備計画」とのコスト比較を行い,効率的な案件形成を行った。
2-3 有効性
本件の実施により,対象ヘルスセンター周辺における地域住民への医療サービスの質の改善が期待され,定量的にも基準値と比較し目標年(2022年(事業完成3年後))において以下の効果が期待される。各指標の基準値は,(1)は2013年~2015年の実績平均,(2)及び(3)は2015年の実績値。
- (1)外来患者数:チパタ・ヘルスセンターにおいて191,156人/年から239,136人/年,カニャマ・ヘルスセンターにおいて183,947人/年から230,117人/年,チャワマ・ヘルスセンターにおいて190,506人/年から238,323人/年の外来患者の受入が可能となる。
- (2)帝王切開件数:チパタ・ヘルスセンターにおいて161件/年から580件/年,カニャマ・ヘルスセンターにおいて0件/年から746件/年,チャワマ・ヘルスセンターにおいて0件/年から518件/年の帝王切開手術が可能となる。
- (3)基礎的外科手術件数:チパタ・ヘルスセンターにおいて655件/年から903件/年,カニャマ・ヘルスセンターにおいて0件/年から1,147件/年,チャワマ・ヘルスセンターにおいて0件/年から795人/年の基礎的外科手術が可能となる。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ザンビア政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)ザンビア国別評価報告書(2006年度)