ODA(政府開発援助)

平成29年5月18日

評価年月日:平成29年2月24日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場雄一

1 案件名

1-1 供与国名

ウガンダ共和国

1-2 案件名

ウガンダ東部チョガ湖流域地方給水計画

1-3 目的・事業内容

 対象地(チョガ湖流域5県9か所)の人口密集地域(Rural Growth Centres(RGC))において,高架水槽,給水管路等の施設を整備することにより,同地域における給水率の向上を図り,もって同地域の生活環境整備に寄与する。供与限度額は17.06億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)環境社会配慮カテゴリーはBであり,本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月)」に掲げる上水道セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。
  • (2)本計画実施の前提条件として,建築許可の取得がある。なお,「ウガンダ国チョガ湖流域地方給水計画準備調査」によって当該地域に十分な地下水があり,給水に問題無いことを確認している。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ウガンダ共和国(以下「ウガンダ」という。)は,天然資源を有する近隣内陸国と外港(ケニアのモンバサ港)を結ぶ要に位置しており,周辺地域の安定と発展を推進する上で重要な役割を担っている。一方で,一人当たりGNIは700米ドル(2015年,世銀)で最貧国に分類されており,生活・衛生水準は依然低い状況である。特に,飲料水を含む給水率が低く,マラリアや下痢症,寄生虫症など非衛生的な水を原因とする疾病が顕著である。また,人口増加が著しい地域では更に給水が不足しており,給水率の改善が課題となっている。
  • (2)係る状況下,ウガンダ政府は,「国家開発計画」のもと,社会セクターにおける8つの重点分野の一つとして水・衛生セクターの改善を挙げており,2020年までに地方部の給水率を79%に向上する目標を設定している。しかし,現状は全人口の約82%が居住する地方部の給水率は平均65%に留まる。本計画対象地域で全人口の約30%を占めるチョガ湖流域5県においては,ウガンダ中部の一大水系であるチョガ湖の水資源開発が期待される一方で,給水率は約57%と平均と比べて低い状況にある。
  • (3)さらに,対象5県にはRural Growth Centre(RGC)と呼ばれる公共施設及び商用施設等が所在する人口密集地域があり,こうした地域での水需要が高くなっている。ウガンダ政府は,同地域に対し,「RGC長期戦略(Long-term Strategy for Investment Planning, Implementation and Operation & Maintenance of Water Supply and Sanitation in Rural Growth Centres, 2005)」を定め,給水施設や管路を普及させようとしているが,財政的な制約や施設管理の技術不足などがあり,十分な成果には至っていない。上記の状況を踏まえ,ウガンダ政府は自助努力による解決が困難であるため,当該チョガ湖流域における給水率の改善について支援を要請したものである。
  • (4)ウガンダは,国際場裡における日本の立場を支持する友好国であり,二国間関係の維持・発展の観点から同国への支援は重要である。
  • (5)また,TICAD VIに際して行われた日・ウガンダ首脳会談において,ムセベニ大統領より日本によるインフラ整備の継続を希望する旨発言があり,これに対し安倍総理より,引き続き質の高いインフラを提供していきたい旨表明したところであり,本計画の実施は安全な水など生活環境の改善の分野でこれに応えるものである。
  • (6)我が国が上記のような課題解決を支援することは,対ウガンダ国別援助方針(2012年6月)の重点分野「生活環境整備(保健・水)」に合致する。
  • (7)また,本計画は,TICAD VIの機会に我が国が表明した水・衛生環境の改善を含む「公衆衛生危機への対応能力及び予防・備えの強化」に合致する。

2-2 効率性

  • (1)当初建設を予定していた6県20か所の給水施設から,優先順位の高い5県9か所の選定を行った。給水範囲を決める時点で,人口の密集した地域に限ったことで,適正な規模(配管網の長さ)の配水管網を設計することができた。
  • (2)複数の井戸を水源として同時に取水するところ,高架水槽までの導水管路を1本にまとめ,コスト縮減を図った。管路材料としては,必要な技術仕様を満たすuPVC管が最も安価であることが判明したためuPVC管を採用することとした。また単価については,過去に我が国が実施した同様の案件での建設価格等と比較し,妥当性を判断するなどして,効率性を高めた。
  • (3)JICA技術協力プロジェクト(2015年~2019年)「村落地方給水維持管理・衛生改善プロジェクト」と連携し,本計画を実施する。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)基準値(2015年実績値)から目標値(2022年:事業完了3年後)への推移として,一日あたりの給水量が581立方メートル増加することが見込まれる。
  • (2)定性的効果として,以下が見込まれる。
  • 対象RGC住民の水汲み労働が軽減される。
  • 衛生的な飲料水の供給により,水因性疾患が減少する。
  • ソフトコンポーネントにより給水施設の運営・維持管理能力が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ウガンダ政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)2015年~2019年技術協力「村落地方給水維持管理・衛生改善プロジェクト」
  • (4)ウガンダ国別評価(2010年度)
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