ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年4月18日
評価年月日:平成29年2月10日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
ガーナ共和国
1-2 案件名
ガーナ国際回廊改善計画
1-3 目的・事業内容
テマ市においてテマ交差点の立体化により交通の円滑化を図るとともに,中部州において国道8号線の改修を行うことにより,対象道路の円滑かつ安全な道路交通の確保を図り,もってガーナの経済インフラ向上に寄与するもの。供与限度額は62.59億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)道路用地及び迂回路用地が確保され,電柱や地下埋設物等の移設が実施されること。
- (2)施設の効果的な運用並びに維持管理を図るための体制が構築されること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ガーナは国内輸送の95%を道路に依存している状況にあり,地域社会の生活基盤を支える道路網の整備が喫緊の課題である。また,ガーナの国内交通網整備は,西アフリカ域内の発展にとっても有益であることから,広域的な観点も含め,ガーナ国内の経済成長を見据えた運輸交通整備が重要である。
- (2)同国政府は2008年に策定した「国家運輸政策(National Transport Policy)」に基づき,西アフリカ地域の交通ハブとしての機能を強化すべく国際幹線道路の整備を進めるとともに,「中期国家開発政策枠組み(Mid-Term National Development Policy Framework(2014-2017)」においても,主要都市を結ぶ幹線道路の整備,幹線道路都市部での混雑緩和等に取り組むとしている。
- (3)特に,首都アクラを含む西アフリカの海岸都市を結ぶ「ラゴスーアビジャン回廊」とガーナとブルキナファソを結ぶ「東部回廊」の交差するテマ交差点においては,現行のラウンドアバウト式の交差点では増加する交通量に対応できず,著しい渋滞が発生し,円滑な交通の阻害となっている。また,内陸部の主要都市クマシと海岸部を接続する国道8号線においては,特に南部地域で老朽化が進み,また,車線不足による慢性的な渋滞が発生するなど,改修の必要が生じている。
- (4)野口英世博士やガーナ産カカオを使用したチョコレートに象徴されるように,長きにわたる親日国であり,また,日本企業による西アフリカ進出のゲートウェイとしても期待されるガーナ共和国に対する経済協力は,二国間関係の維持・発展の観点から重要である。
- (5)我が国は2016年8月にケニアで開催したTICAD VIにおいて,G7伊勢志摩原則に沿った「質の高いインフラ投資」の推進による連結性の強化を推進するため,ガーナを含む西アフリカ成長地域を総合開発の三重点地域の一つと位置付けているほか,約100億ドルの質の高いインフラ投資を実施することを表明しており,本計画はこれらを具体化するものである。
2-2 効率性
- (1)必要性,施工効率を勘案し,ガーナ共和国政府とも調整の上,規模の絞り込みを行った。
- (2)施設の整備に関しては,複数案を検討し,持続的かつ効率的な運用・維持管理を行う上で最も合理的な構造を採用した。
- (3)立体交差点の掘割道路には雨水の自然流下が可能な縦断線形を採用し,排水に必要なポンプ設置を不要とした。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような効果が期待される。
- (1)テマ交差点流入年平均日交通量が62,000台/日(2015年実績値)から113,000台/日(事業完成3年後2023年)に増加する。
- (2)テマ交差点における輸送旅客数が86.6百万人/年(2015年実績値)から156.8百万人/年(事業完成3年後2023年)に増加する。
- (3)テマ交差点における輸送貨物量が44.3百万トン/年(2015年実績値)から74.3百万トン/年(事業完成3年後2023年)に増加する。
- (4)西アフリカ地域の交通の利便性及び安全性が改善する。
- (5)幹線道路等の質の高いインフラ輸送による連結性強化が図られる。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ガーナ共和国政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)ガーナ国別評価報告書