ODA(政府開発援助)

平成27年6月22日

評価年月日:平成27年3月6日
評価責任者:国別開発協力第1課長 宮下 匡之

1.案件名

1-1.供与国名

サモア独立国

1-2.案件名

アピア港安全向上計画

1-3.目的・事業内容

 本計画は,サモアにおける唯一の商港であるアピア港において,岸壁の延長及びコンテナヤードの補修をメインとした港湾施設の改修やタグボートの修復を行うことによって,安全で効率的な港湾機能の確保を図り,もって持続的経済成長の達成に寄与することを目的としている。供与限度額は34億7,700万円である。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がサモア政府により実施される必要がある。
 工事開始に必要な環境許可等の取得の他,保守担当の職員が十分な技術を有することや,適切な運営管理と定期的な整備点検のための予算的措置を毎年講じること等,本事業実施後の港湾施設等の適正な運営維持管理体制を確立すること。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

  • ア アピア港の旧岸壁は建設後約50年が経過し老朽化しており,また船舶の離着岸を支援するタグボート2隻の老朽化も進んでいることから,船舶の入出港,離着桟及び係留時の安全性が脅かされている状況にある。
  • イ サモアにおいては,多くの食料品を含む生活物資,飲料水の浄水に必要な薬剤及び各種医薬品・医療機材等の大部分の輸入がアピア港を通じなされてきているところ,個人の生命,生活に対する脅威への対応という観点からも,早急に安全性を高める再整備が必要である。
  • ウ サモア政府は「サモア開発戦略2012-2016」の中で,インフラ整備を優先分野とし,その目標として「効率的で安全で持続的な輸送ネットワークの構築」が掲げられている。そのための戦略エリアとして掲げられた7項目に,港湾施設関連サービスの機能向上,港湾保安システムの改善,国際的な安全基準に従った効率的な管理及び調整がなされたサービスの提供が含まれている。なお,債務持続性等の観点から,円借款での実施は難しい。

2-2.効率性

  • ア サモアには港湾構造物に関する設計基準が制定されていないことから,設計に際しては我が国の「港湾施設の技術上の基準・同解説」等,日本の基準を適用することを基本とする。ただし,荷重条件,地震時荷重等については,現状のオペレーションや既存構造物の設計事情を踏まえて設定する。
  • イ 現存のタグボート2隻は我が国無償資金協力で供与されたものであり,2隻ともに日本の造船所で建造され日本産品の機器が艤装されていることから,エンジン及び艤装品の点検・補修のために必要となる部品及びパーツの調達先は日本とする。

2-3.有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • ア アピア港のインフラが整備され,荷役作業の安全性,利用者の快適性が増加し,港湾活動等の経済活動が活発化する。また,貨客混在が解消され,旅客の安全性が確保される。また,船員,船舶代理店職員などの港湾関係者の安全性への不安が解消される。
  • イ 大型客船の船長対岸壁接岸延長(係留時に船長の30%以上が岸壁よりはみ出す客船の全寄港客船に対する割合)が,58.3%(基準値:2014年実績値)から0%(目標値:2020年(事業完成3年後))に改善される。防舷材の不備に起因する事故(岸壁コンクリートとの衝突による船体の損傷)が無くなることが期待できる。
  • ウ 航路標識の補修・更新等により,洋上船舶からの港口の視認可能距離が昼間は約1.7倍,夜間は約5.7倍に改善される(いずれも基準値及び目標値は上記イに同じ)。
  • エ サモアは国際場裏で我が国の立場を支持する大洋州地域における重要なパートナーである。また,我が国は2012年5月の第6回太平洋・島サミットにおいて,「東日本大震災の経験を踏まえた防災協力」,「環境・気候変動」,「持続可能な開発と人間の安全保障」,「人的交流」,「海洋問題」の5つの柱を中心に支援を実施していくことを表明しており,本件支援は同支援策の一環として,同国との二国間関係の維持・発展に寄与することが期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)サモア政府からの要請書
  • (2)JICAの準備調査報告書
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る