世界の医療事情

バヌアツ

令和元年7月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 バヌアツ共和国(国際電話国番号678)

2 公館の住所・電話番号

在バヌアツ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan, The Melanesian Port Vila Nambatu Area Lini Highway,
電話:29397
ホームページ:https://www.fj.emb-japan.go.jp/jointad/vu/ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在フィジー日本国大使館 医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

(1)気候

 熱帯性気候で,年間平均気温は24~26℃,1年を通して19~30℃で変化します。

(2)医療水準

 医師は,公立病院ではバヌアツ人常勤医の他,キューバ,中国からの派遣医師,多くはインターン医師から構成されています。首都ポートビラ,第二都市ルーガンビルには外国人医師経営の複数のクリニックがあります。但し,公立病院においても多くの診療科では専門医がおりません。血液検査・レントゲン検査は公立病院で受けることができますが,検体をオーストラリアなどへ送付して実施することもあります。入院・手術・特殊検査は後述のビラ中央病院・北部地区病院,海外の医療機関へ紹介されます。また,国内での手術は簡単なものに限られます。やや高度な医療を要する時は,国内では対応出来ず,ニュージーランドやオーストラリアなどの海外へ行く必要があります。

(3)医療制度

 適切な検査機器が少なく治療施設も不十分なため,ごく簡単な診療以外は近くの先進国に早めに出られた方が賢明です。先進国の医療費は高額で,支払いの保証がなければ診療が受けられない可能性があります。バヌアツに限らずこれら島嶼国を訪問する時は,万一の場合に備えて必ず十分な額の海外旅行傷害保険等に事前に加入して下さい。

(4)水質・食品など

 現地の人々は水道水を直接飲用していますが,硬水であり大雨の後などには濁ることも多いので,煮沸・濾過して使用するかミネラルミネラルウォーターを使用されるのが賢明です。また,上水道が普及していない地方島で河川・湖水・雨水を貯水して供給している場合は細菌等に汚染されている可能性があります。必ず煮沸・濾過してから飲料水として用いるか,ミネラルウォーターを使用して下さい。生鮮食品も,流通の過程で汚染されている可能性が高いため,生で食することは避けてください。野菜などをサラダで食べる場合は,流水で十分に洗ってから食べてください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)消化器感染症

 飲料水・食事・飛沫を介して,ウイルス性感染性胃腸炎(発熱・嘔吐・下痢)や細菌性消化器伝染病(腸チフス・赤痢など:下痢・血便・腹痛・発熱など)や原虫・寄生虫(ランブル鞭毛虫症・アメーバ赤痢など:下痢・腹痛など)等,一年中感染する危険性があります。ウイルス感染症は脱水等の合併症を起こさないように注意して下さい。細菌性感染症には抗生物質,原虫・寄生虫には駆虫剤など,それぞれに対応した治療薬を必要とします。

(2)デング熱

 デングウイルスを保有するネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることによって発症します。潜伏期間は2日から1週間程度で,頭痛,高熱,関節・筋肉痛に加えて赤い発疹が出現します。重症化する(デング出血熱:全身から出血し易くなります)ことがありますので,疑わしい時は必ず医療機関を受診して下さい。治療は対症療法のみです。

(3)マラリア

 バヌアツ北部からシェファ州のエピ島に至る地域を中心にマラリアの罹患者が発生しています。蚊に刺されることによって媒介され発症し,初期症状は悪寒,高熱,ですが頭痛・下痢などの感冒様症状で発症することもあります。流行地に滞在した方は,数ヶ月後に発症することもありますので,帰国後に異常があれば医療機関を受診し,渡航歴をお伝え下さい。2018年の統計(WHO)では,当国の年間マラリア罹患者数は700名と近年減少傾向にあり,2012年以降は死亡者数0名,現地医療機関ではマラリアの検査,治療薬は入手可能ですが,妊婦・乳児・脾臓に疾患のある方などは重症化し易いので充分に感染対策を施し,予防を心がけるようにして下さい。

(4)皮膚疾患

 高温多湿なため,湿疹や真菌症(カンジダや糸状菌など)を起こし,さらに細菌感染を合併して,皮下膿瘍を生じます。治療は抗生物質(内服・外用)を用いたり,切開して排膿することもあります。また,陸上では,ムカデ,ブヨ,ダニ(ヒゼンダニ含む),南京虫,しらみ,ゴキブリ,アリなどにも注意して下さい。海では,動物性プランクトンに噛まれて強い痒みを伴う発疹を生じたり,クラゲに刺されて,重症皮膚炎を起こすこともあります。

(5)シガテラ中毒

 珊瑚に共生している海藻に付くプランクトンの一種が作るシガトキシンなどの毒が,食物連鎖で魚の肉や内臓に蓄積し,それを食べた人に発症する中毒症です。

 このプランクトンは,珊瑚が死滅した後に大量に発生することが知られており,海が荒れて珊瑚礁が破壊される雨季(特にサイクロンの後など)に多く発生します。症状は神経症状,胃腸症状,関節・筋肉痛や痒みなどです。死亡率は低いのですが,「ドライアイス・センセーション」と呼ばれる神経症状(冷たいものに触ったり,冷たいものを飲んだりすると感電したような痛みを感じます)に数ヶ月に渡り苦しめられることがあります。この毒素は加熱処理でも分解されません。治療も対症療法しかありません。

(6)犬咬傷

 犬が放し飼いになっており,しばしば犬に噛まれることがあります。現在のところ,バヌアツでは狂犬病の心配はありませんが,破傷風を発症する恐れがありますので,不用意に犬には近寄らないようにしてください。また,破傷風の予防接種を受けておいてください。万一,犬に噛まれたら,破傷風ワクチンの追加接種をすぐに受けてください。場合により,破傷風免疫ヒトグロブリンの接種も必要となります。

(7)その他

 太平洋の島嶼国にはコショウ科の植物のカバを砕いたもの,粉末状になったものを水に溶かして飲用する習慣があります。特にバヌアツのカバは,他の島嶼国の国々より濃い濃度で作られているため肝機能障害を起こしたり,不衛生な製造過程で汚染されている場合もあり,下痢の原因にもなりますので十分な注意が必要です。

6 健康上心がける事

(1)雨水を貯めた水も水道水も安心して飲用に供しうる物ではありません。飲料水にはミネラルウォーターを飲用するようにして下さい。

(2)高温多湿な気候のため,食べ物は腐りやすく細菌が繁殖しやすいので,食中毒に十分注意してください。

(3)気温が高く発汗しやすい気候であるため,水分や電解質をスポーツドリンク等で意識して多めに補給し,脱水にならないように注意してください。熱中症を避けるため,長時間炎天下で行動することは避けてください。

(4)蚊を媒介とするデング熱,チクングニア熱,ジカウイルス感染症が発生しています。外出する際には長袖シャツ,長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくする,昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を使用する等,蚊に刺されない対策を行ってください。

(5)紫外線が非常に強いため,日焼け止めクリームを使用し,直射日光に素肌をさらさないようにしてください。また,目の保護のためにサングラスなどを着用するようにしてください。

(6)バヌアツには,潜水病(減圧症)の治療機器が首都ポートビラの民間救急搬送会社『プロメディカル』に1台のみありますが,治療費は非常に高額です。無理をしない安全なダイビングを心がけて下さい。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(任意)

  • 成人:A型肝炎,B型肝炎,破傷風など。
  • 小児:就学に必要なワクチン(3)参照。

(2)小児の予防接種スケジュール

ワクチン名 回数 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 1 生直後        
ポリオ(注1) 3 6週 10週 14週 6歳 12歳
DPT(3種混合)(注2)
+B型肝炎
+インフルエンザ菌b型
3 6週 10週 14週    
麻疹(注3) 1 1年        
B型肝炎(単独) 1 生直後        
TD 2 7歳 12歳      

(注1)ポリオは経口生ワクチンです。(日本は2回のみです。) 生後14週のみ経口生ワクチンと不活化ワクチン(IPV)接種を共に行っています。

(注2)通常の3種混合DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)に,B型肝炎とインフルエンザ菌b型の2種を加えて,5種混合が行われております。

(注3)MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)接種は行われず,麻疹ワクチンのみ接種しています。

(注4)義務教育時(6,12歳)に,TD(ジフテリア・破傷風)を接種しています。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現在はあまり厳密ではなく,未接種でも入学が許可されることがあります。しかしながら,当地の医療事情を考慮しますと,予防接種を受けることをお勧めいたします。なお当国にはワクチン接種による副作用に対する補償制度はありませんので,ワクチン接種は本邦で全て済ませて来られる方が賢明です。

8 病気になった場合(医療機関等)

 首都ポートビラには公立総合病院が1ヶ所,北部のサント島にも公立総合病院が1ヵ所あり,緊急の場合は基本的には24時間診療をしてくれることになっております。また,ポートビラには複数の個人クリニックもあります。救急車を呼ぶ電話番号は,(1)ポートビラ 22-100「緊急112」(2)サント島地域 774-2448 (3)マレクラ島地域 48-416,尚,(1)(2)地域では民間救急搬送サービス「緊急115」も利用できます。

 救急車が実際に患者を迎えに来るまでに時間がかかる場合も多いため,直接病院に行かれた方が早い場合もあります。

ポートビラ エファテ島

(1)Vila Central Hospital
所在地:PMB 0913, Port Vila
電話:22100
概要:公立の総合病院で,内科,外科,小児科,産婦人科,眼科,耳鼻科,救急外来などがあります。外来では一般医・診察可能な看護師が行います。専門医の受診は,通常一般医・開業医からの紹介,予約が必要です。
(2)Medical Centre(Port Vila)
所在地:Lini Highway
電話:23065/22826
概要:要予約。内科,外科,産婦人科など。バヌアツ在住外国人が多く利用します。

ルーガンビル エスピリトゥ・サント島

(1)Northern District Hospital
所在地:Lugsnvill, Santo
電話:36354
概要:北部地域サント島の公立総合病院で救急外来は24時間対応しています。
内科,外科,小児科,産婦人科,眼科,耳鼻科,歯科などがあります。

9 その他の詳細情報入手先

(1)厚生労働省検疫所:
http://www.forth.go.jp/index.html別ウィンドウで開く

(2)米国疾病予防管理センター(CDC):
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/samoa別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 バヌアツではほとんどの病院で英語が通じます。(一部フランス系医療機関では通じにくいこともあります)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。


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