世界の医療事情

ソロモン諸島

2022年10月

1.国名・都市名

 ソロモン諸島(国際電話国番号677)

2.公館の住所・電話番号

4th Floor, Point Cruz Arcade Building, Hibiscus Avenue, Point Cruz, Honiara, Solomon Islands

休館日:毎週土日

電話:22953 /20627(閉館時緊急電話)

3.医務官駐在公館ではありません

 在パプアニューギニア日本国大使館 医務官が担当

4.衛生・医療事情一般

 ソロモン諸島は、大小1000以上の島々からなるメラネシア地域の島嶼国です。南緯5度~12度20分、東経155度30分~169度45分に位置しており、日本との時差は2時間です。熱帯海洋性気候のため高温多湿であり、季節は4月から11月のやや涼しく湿度の下がる貿易風期、11月から4月の雨の多いモンスーン期の2期に分かれています。

 高温多湿の当地では、食品の衛生状態が悪くなりがちです。また、頻繁に市内で停電が発生しますので、冷蔵品や冷凍品といえども品質が悪いことが多いので注意が必要です。ホニアラ市内には上水道が完備されていますが飲用には適しません。

 ソロモン諸島の医療体制は極めて脆弱であり、医療統計の信頼性が乏しいのが実情です。各州の主な都市には公立の基幹病院がありますが、いずれも第二次世界大戦後に米軍や豪軍が設立した病院を拡充しているに過ぎず、邦人が受診するには厳しい環境です。首都ホニアラの 国立中央病院(National Referral Hospital)(通称No9:米軍駐留時の第9病院)がソロモン諸島で最高水準の病院とされていますが、同病院でさえMRIなどの高度な医療機器はなく、通常の医療資材にも事欠く状況です。邦人の入院治療が必要になった場合に、入院可能な施設は現在のところ当国には皆無と言っても過言ではありません。軽症~中等症の疾患の場合であれば、私立のクリニックで治療が可能ですが、入院を要する疾患の場合は、原則として国外で治療することになります。緊急移送には多額の費用がかかります。チャーター機を利用した場合、2000万円程度を請求されることもありますので、ソロモン諸島を訪問される際には、事前に十分な保証額の旅行傷害保険に加入していることをご確認ください。

 ソロモン諸島には、医療保険制度はありません。国立中央病院の場合、薬代、入院費は無料ですが、医療技術面、衛生面に加え、設備は充実しているとは言えません。首都ホニアラ市内には、数カ所の私立のクリニックがあり、発熱や下痢などの軽い症状の場合は、これらのクリニックを受診することになります。マラリアやデング熱の簡易検査も可能です。何れのクリニックも入院施設はありません。

5.かかり易い病気・怪我

(1)マラリア:

 ソロモン諸島のマラリアの約61%は熱帯熱マラリアであり、発症すると重症化しやすく、生命にかかわる事があります。妊婦や乳児、脾臓の無い人はマラリアが重症化しやすいため十分な感染予防対策を講じてください。

 マラリアを媒介するハマダラ蚊は、通常、日没後の夕刻から日の出前の明け方にかけて吸血行動をとりますが、ソロモンの媒介蚊(Anopheles farauti)は、日没前の夕方や日が出た後の早朝に屋外で吸血行動をとると言われています。夕方~日没後、早朝に外出する場合は、皮膚の露出を避ける注意が必要です。蚊取り線香や防虫剤の使用、蚊帳の使用、長袖の着衣・靴下の使用など、蚊に刺されない工夫をすることが重要です。マラリアの症状は、悪寒・高熱ですが、頭痛や下痢といった症状も発症する事もありますので、異常を感じた場合は、早めに医療機関で血液検査を受けて下さい。検査が陰性の場合でも、発熱が続く場合は繰り返し血液検査を受けてください。数ヶ月後にマラリアが発症する事もありますので、帰国後に異常があれば受診時には必ずソロモン諸島に渡航したことがある旨を自ら申し出てください。

 マラリアの症状に類似した熱帯性疾患は多数ありますので、病院を受診される際は信頼できる医療機関を選択することが重要となります。

(2)デング熱:

 典型的な症状は、発熱、発疹、頭痛、関節の痛みなどです。日中屋外で吸血行動をする蚊が媒介するウイルス性疾患であり、都市部でよく見られます。命に係わる事は稀とされていますが、重症化する場合もあります。マラリアと誤診される症例が多いため、その正確な症例数は把握されていませんが、診断技術の普及に伴い症例数は増加しています。

(3)下痢症、食中毒、A型肝炎、腸チフス、赤痢アメーバなどの経口感染症:

 汚染された食物や調理器具を介して経口的に感染します。腸チフスは、初期症状がマラリアと類似することもあります。当地では、便の培養検査や詳細な血液検査を行う医療機関がないため、確定診断ができない事が多く、症状が典型的な場合は診断せずに投薬治療を行うこともあります。体重が減少するほどの下痢、発熱を伴う下痢、血液が混じった下痢などの症状は重篤な疾病である可能性がありますので、躊躇することなく医療機関を受診してください。これらの疾病は、口から摂取する物に対して常に注意を払うことで大部分は予防可能です。当地を訪れる際には、A型肝炎、腸チフスの予防接種を受けておくことをお薦めします。

(4)皮膚感染症:

 小さな傷から進入した細菌が繁殖し腫れ物が大きくなり、切開・排膿が必要となることがあり、当地ではボイルと呼ばれています。皮膚を清潔に保つとともに、蚊や昆虫類に刺されないようにすることが重要です。海岸近くは、小さいハエ(サンドフライ)や砂の中に存在する寄生虫(Hookworm)が存在しますので、なるべく皮膚が露出しないようにし、裸足で歩かないようにする事も重要です。

(5)シガテラ毒素:

 熱帯の珊瑚礁に生える有毒な藻を食する魚をさらに大きな肉食魚が食べることにより累積(生物濃縮)した毒素によって起こる中毒症状です。食後1~8時間後に発生し、吐き気、下痢、腹痛といった消化器症状の他、めまい、麻痺、ドライアイスセンセーションと呼ばれるドライアイスに触ったような感覚の異常などの神経症状が出現します。加熱しても解毒されませんので、現地の人が食べていないような熱帯の大型の魚を食べる事は避けるようにして下さい。

6.健康上心がける事

 当地の生活では、下の2点に気をつけることで、かなりの疾患の予防が可能になります。

(1)蚊に刺されないようにする(マラリア、デング熱、ボイルなど)

(2)食物に注意する(A型肝炎、腸チフス、シガテラ中毒など)

 (1)の対策としては、外出時の着衣はなるべく露出部分が少ない物として下さい。女性の場合は、スカートの着用をなるべく避けて下さい。昆虫忌虫剤を使用する、蚊帳を使用する、網戸を整備する、室内はクーラーをかけ温度を下げる、扇風機や天井のファンを利用するなど、各自の住居環境と生活様式に合わせた防蚊対策を施されることが重要です。

 (2)の対策としては、十分加熱処理したものを食し、生水や氷の摂取は避けて下さい。葉物野菜などは十分水道水で洗浄し、まな板や包丁などの調理道具の衛生状態に気をつけて下さい。食品の賞味期限や臭いに気をつけ、衛生状態が不良な信頼できないレストランでは生ものの摂取を控えるなど、常に口から摂取する物に対して気を配ることが大事です。また、外出後や食前の手洗いを十分に行うことも重要です。

その他

 当地は紫外線が強いので、日焼け・脱水症・熱中症に注意が必要です。屋外では、十分に水分を補給するとともに、なるべく皮膚の露出を少なくするように心がけてください。

7.予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 破傷風・A型肝炎・B型肝炎・腸チフスの予防接種をお薦めします。

 狂犬病の報告はありません。

 黄熱病流行地域からの旅行者には黄熱病ワクチンの接種証明が必要です。また、当国到着後、空港にて麻疹の予防接種証明書の提示を求められる可能性もあります。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ソロモン諸島の小児定期予防接種一覧※1
初回2回目3回目4回目
BCG/HepB 生直後      
ポリオ(経口生ワクチン) 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月  
DPT(三種混合)/Hib/HepB ※1 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 6歳
破傷風
トキソイドの追加接種
MR(麻疹/風疹) 12ヶ月 18ヶ月    
ムンプス 実施されていない      
肺炎球菌(PCV13) 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月  

※1 通常のDPT(三種混合ワクチン:ジフテリア・百日咳・破傷風)にインフルエンザb菌、B型肝炎の2種を加えて5種混合として接種されています。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 入学時にはワクチンの接種証明を必要とされるそうですが、日本人の入学実績が無いため実情は不明です。

8.病気になった場合(医療機関)

◎ホニアラ市

(1)国立中央病院 (National Referral Hospital
所在地:Box 349, Honiara, Solomon Islands
(ホニアラ市、マタニコ橋東側、南太平洋大学(USP)隣、通称No.9)
電話:23600
概要:診療時間:一般外来 月~金曜 8:30~16:30
24時間体制の救急部門があります。邦人が利用できる施設環境ではありませんが、ホニアラ市内の唯一の入院施設があります。
(2)Honiara Private Medical Centre
所在地:Level1, Hyundai Mall, Mendana Ave., Honiara, Solomon Islands
(ホニアラ市、中央市場・ホニアラ港近くのモール;ヒュンダイモール内)
電話:24027
概要:診療時間:月~金曜 8:00~17:00、土曜 9:00~13:00
港の隣のモール1階のきれいなクリニックです。簡単な血液検査やマラリア・デング熱の簡易診断も可能です。状況により、ホテルへの往診も可能です。
(3)Family Medical Centre
所在地:ホニアラ市、チャイナタウン近く
電話:25197
概要:診療時間:月曜 ~ 金曜 8:30~16:30、土曜 9:00~12:00
小児科医の他、内科、外科、産婦人科、眼科、歯科の専門医が施設を共同利用するシステムで診療をしています。眼科と歯科がある事が特徴です。
(4)Honiara International Medical Centre
所在地:Level1, Tongs Building, Maromaro. Prince Philip Highway, Honiara, Solomon Islands P.O.Box 2199
(ホニアラ市、ショッピングモールのパナティナ・プラザに隣接する建物)
電話:38346/847-2739
概要:診療時間:月曜 ~ 金曜 8:00~17:00、土曜 8:00~13:00
内科、総合診療科のソロモン人医師が診療をしている外国人を対象としたクリニックです。各種血液検査、心電図の検査ができます。

歯科

(1)BS Honiara Medical Clinic
所在地:Supreme Plaza Kukum
電話:21666
診療時間:月曜 ~ 土曜 7:00 ~ 12:00

9.その他の詳細情報入手先

(1)ソロモン大使館のホームページ
https://www.sb.emb-japan.go.jp/j/別ウィンドウで開く

(2)米国疾病管理センター(CDC)のソロモン諸島に関するホームページ(英文)
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/solomon-islands別ウィンドウで開く

(3)世界保健機構(WHO)のソロモン諸島に関するページ(英文)
http://www.who.int/countries/slb/en/別ウィンドウで開く

10.一口メモ

 ソロモン諸島は、英語が公用語であり、大部分の医療機関で英語による診療が可能です。主要言語版については、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(英語)を参照願います。

11.新型コロナウイルス関連情報

 ソロモン諸島政府は、新型コロナウイルス対策として、ソロモン国民以外のソロモン諸島への入国は許可していませんでしたが、2022年7月以降は、入国要件として2回以上の新型コロナウイルスワクチン接種証明書と到着前72時間以内の新型コロナウイルス検査の陰性証明を提示することで、入国が許可されています。

 なお、状況は今後変化する可能性がありますので、以下の新型コロナウイルス専用ページで最新の情報を確認して下さい。

 https://solomons.gov.sb/ministry-of-health-medical-services/covid-19-updates/別ウィンドウで開く

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