世界の医療事情
パラオ
1 国名・都市名・国際電話番号
パラオ共和国(国際電話番号680)
2 公館の住所・電話番号
- 在パラオ日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Embassy of Japan in Palau, Palau Pacific Resort, Ngerkebesang, Koror, Republic of Palau 96940 (P.O. Box 6050)
- 電話:488-6455、488-6456
- Fax:488-6458
- ホームページ:在パラオ日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。
3 医務官駐在公館ではありません
在フィリピン日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
パラオ共和国は、東京の南3,200kmの赤道付近に位置し、人口は約1万8000人、300ほどの島から成り立っています。
熱帯海洋性気候に属し、年間平均気温は約27℃で、一年を通してほぼ一定です。日本のような四季はなく、雨期(5から10月)と乾期(11から4月)に分かれています。乾期でもスコール性の雨が降るため、年間を通じて湿度が高く(平均湿度84%)、高温多湿で細菌やカビなどが繁殖しやすい環境にあります。このため、食中毒やアメーバ赤痢といった消化器系の疾患が多く発生します。また、2016年11月には、パラオ国内で初めて、ジカウイルス感染症の感染者が確認されています。2018年12月にはそれまで発生していなかった新しいタイプのデング熱が発生しました。
パラオでは慢性的な医師不足が深刻で、入院施設を有する総合病院も国内に一か所あるのみ、科によっては専門医不在で医療レベルは十分とは言えません。専門医の診察を要する患者は台湾・フィリピン・グアム・ハワイなど国外の病院を受診します。邦人が大きな怪我や病気で専門的な治療が必要となった場合は、国外(日本など)へ緊急搬送をすることになり、その際には診療費や緊急移送費など多額の費用が必要となります。事故・病気に備え、海外旅行傷害保険への加入をお勧めします。
潜水病治療に用いる高圧酸素治療装置はベラウ国立病院に設置されていますが、担当医師不在やメンテナンス等の理由により使用できない可能性もあるので注意を要します。
5 かかり易い病気・怪我
(1)食中毒
主に細菌やウイルスに汚染された飲食物を経口摂取することにより発症。主な症状は腹痛・嘔吐・下痢で、発熱や倦怠感・血便等を伴うこともある。人から人へ直接うつることはないが、吐物や排泄物を介して感染することがある。
(2)デング熱
デングウイルスを有する蚊に刺されることで感染。潜伏期間は4から7日間で、突然の高熱・頭痛・関節痛・発疹が主症状。重症型のデング出血熱を発症すると、生命に危険が及ぶこともある。予防は蚊に刺されないようにすること。
(3)潜水病
スキューバダイビング中の急浮上等により、血液中に溶けていた気体(主に窒素)が血管内で気泡化し、血栓の原因になったり、直接血管を塞いだりすることにより、関節痛やしびれ、時には意識障害をきたす。症状によっては高圧酸素療法が必要になる場合もある。スキューバダイビングをされる場合は、インストラクターの指示をしっかり守ること。
6 健康上心がけること
- 生水や水道水は飲用に適していません。ミネラルウォーターの利用をお勧めします。
- 日差しが非常に強く、湿度が高いため、外出する際には日焼け止めを使用し、帽子着用の上、こまめに水分を補給するよう心掛けてください。また紫外線が強いため、サングラスの着用をお勧めします。
- 蚊にさされないよう、肌の露出を少なくし、虫除けスプレーを使用してください。
- マリンスポーツは体力を消耗するため、無理はせず、余裕のあるプランを立ててお楽しみください。
- 狂犬病の危険はほとんどありませんが、放し飼いの犬が多いため咬まれないように注意しましょう。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)
- 成人:A型肝炎・B型肝炎・破傷風等の予防接種を推奨。
- 小児:日本の定期・任意予防接種に加えて、A型肝炎等の予防接種を推奨。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | |
---|---|---|---|---|
B型肝炎 | 出生時 | |||
DPT・ポリオ・B型肝炎 (5種混合ワクチン) |
生後1か月半 | 6か月 | ||
DPT(3種混合ワクチン) | 生後4か月 | 15か月 | 4から6年 | |
インフルエンザ菌b型(Hib) | 生後1か月半 | 4か月 | 6か月 | 12か月 |
ポリオ(IPV) | 生後3か月 | 4から6年 | ||
肺炎球菌(13価) | 生後3か月 | 5か月 | 7か月 | 15か月 |
ロタウイルス | 生後1か月半 | 4か月 | 6か月 | |
MMR(麻疹・風疹・おたふくかぜ;3種混合ワクチン) | 生後12か月 | 15か月 | ||
ツベルクリン検査 | 生後12か月 | 4から6年 |
なおB型肝炎陽性の母親から生まれた児は、出生時にB型肝炎免疫グロブリンも接種します。
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
- 必要な予防接種:小児定期一般接種と同じ
- 予防接種証明書:予防接種手帳を提示し、Belau National Hospital(ベラウ国立病院)で発行してもらえます。不足している予防接種は同院で接種が可能です。
8 病気になった場合(医療機関等)
Koror コロール
- (1)Belau National Hospital(ベラウ国立病院)
- 所在地:Meyuns, Koror
- 電話:488-2552、488-2553、488-2558(救急部受付)
- FAX:488-1211
- 診療時間:月曜日から金曜日7時30分から16時30分
- 概要:国内唯一の総合病院で、救急部は24時間オープン。要請に応じて救急車の派遣サービスも行う。病院には内科・外科・小児科・産婦人科・歯科以外の専門医がいないため、疾患によっては十分な検査および治療が受けられません。また、高次救急は期待できません。潜水病の治療に用いる高圧酸素治療装置を設置。治療費は主要クレジットカード(VISA、Master)で支払いが可能。
- (2)Belau Medical Clinic
- 所在地:Dngeronger, Koror(Yano’s Market隣)
- 電話:488-2687、488-2688
- FAX:488-1087
- 診療時間:月曜日から金曜日8時から11時、17時から20時
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ(もしもの時の医療英語)
パラオの病院では診察の際、医師やその他職員とは英語で会話が可能です。病院での英語については、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照してください。